文楽
某凡人
一曲目
運良く永遠の眠りに…と買った大量の酒が散らばった部屋で目が覚めてしまって舌打ちをした。
平日の時間は午後2時、太陽がうざったいくらい眩しい。
ぼやけた目でくしゃくしゃの頭を少し掻く。
朝一発目の煙草を吸ってシャワーを浴びに風呂に向かって気付いた。
昨日からリンス切らしてたんだ…
まぁもういっか
風呂に行く気力すら無くなってゴミ溜めのような部屋でまたやけ酒をすることにした。
気分転換がてらに散歩をすることにした。
いつも通りの幼い頃からの町。
見かける物もありきたりで何回も目を通した物ばかりだ。
そんな町の中を歩いても特に興味が出るものもない。
気まぐれでいつも見る花屋で適当に花束を作って貰うことにした。
出来映えはとても良かった。
家に帰ってベランダに花束を置いて朝の飲みかけの酒を煽る。
遺書も残してあるけどビールの瓶に詰めて海に流した。
誰にも見られないし拾われないだろうから。
作っておいた動画をアップロードしてしばらくボーとしてた。
それから暫くしてネットに上がった自ら作った歌姫の歌声を聴きながらベランダに向かった。
これで良かったと心の中でどれほど唱えただろうか
夢を諦めたときも…
大切な物を失ったとき泣けなかったのも…
…もうちょっと選択肢あったかもな、なんて今更遅すぎるけど
体が宙に浮く感覚。
目は閉じているからいつ地面に着くか分からない。
つんざく様な悲鳴が下から聞こえる。
体が地面に激突する
コンクリートが徐々に体の熱を奪っていく。
目の前が暗くなっていく。
目を開く。
目しか開かない。
見えないけど体中悲惨なことになっているだろう。
空は綺麗だった。
文楽 某凡人 @0729kinoko
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