第二章:各地での活躍 第7話:月白の成長

 旅の途中、幸明は月白の変化に気づき始めていた。

 月白の体から放たれる光はより強く、そしてより繊細になっていたのだ。


 ある日、二人が森の中で休んでいると、怪我をした鹿が近づいてきた。

 月白はすぐに立ち上がり、鹿に近づいた。


 幸明が見守る中、月白は目を閉じ、体から光を放った。

 その光は鹿を包み込み、傷を癒していく。しかし今回は、それだけではなかった。


 光が消えると、鹿は完全に癒えていただけでなく、その目には新たな輝きが宿っていた。

 まるで、生命力そのものが高まったかのようだった。


 幸明は驚きを隠せなかった。

 「月白、君の力が...さらに強くなっているようだね」


 月白は小さく鳴き、幸明の手に顔をすりつけた。

 その仕草には、自信と不安が入り混じっているようだった。


 その夜、幸明は月白と向き合って座った。


 「月白、君の中に眠る力は、まだまだ成長していくんだろうね。

 でも、覚えておいて欲しい。力は使い方次第で、善にも悪にもなり得る」


 月白は真剣な表情で幸明の言葉を聞いていた。


 「だからこそ、私たちは常に謙虚でなければならない。

 自然の一部として、調和を保ちながら生きていくことが大切なんだ」


 月白は小さく鳴き、同意を示した。


 この日以降、月白の力の使い方はより慎重になった。

 同時に、その効果はより深く、広範囲に及ぶようになっていった。


 幸明は月白の成長を見守りながら、自分自身も大きな責任を感じていた。

 この特別な存在と共に旅をする者として、自分も成長し続けなければならない。


 二人の旅は、新たな段階に入ったのだった。

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