第二章:各地での活躍 第4話:都の人々との対話

 幸明と月白の旅は、ついに大きな都にたどり着いた。

 石畳の道、立ち並ぶ商家、そして武家屋敷。

 かつてないほどの人の多さに、二人は圧倒されそうになった。

 

 都では、自然との関わりが薄れ、人々の暮らしが変化していた。

 便利さを求めるあまり、自然の恵みを忘れかけている様子が見て取れる。


 幸明は都の中心にある広場で、人々に語りかけることにした。


 「皆さん、自然の大切さを思い出してください。私たちは自然の一部なのです」


 しかし、多くの人々は幸明の言葉に耳を貸さず、忙しなく行き交うばかり。

 中には、「自然なんて関係ない。今を生きるのに精一杯だ」と言い放つ者もいた。


 月白も不安そうに辺りを見回している。都の喧騒に、動物たちの声が聞こえづらくなっているようだった。


 そんな中、一人の若い商人が幸明に興味を示した。


 「面白いことを言うね。もっと詳しく聞かせてくれないか?」


 幸明はその商人と対話を始め、自然との共生の重要性を説いた。

 その話を聞いた商人は、「これは商売のヒントになるかもしれない」と目を輝かせた。


 次の日、その商人は友人たちを連れてきた。

 幸明の話に興味を持つ人々が少しずつ増えていく。


 月白も、都の人々に寄り添うようになった。

 特に子供たちは月白に興味津々で、その姿に大人たちも心を開いていった。


 数日後、幸明たちの話を聞きに来る人々が増え、小さな集会が開かれるようになった。


 「自然の恵みを活かした商品開発」「都市の中の小さな自然」など、様々なアイデアが生まれ始めた。


 幸明は嬉しそうに語った。

 「これが始まりです。小さな変化が、やがて大きな流れになるはずです」


 都を去る日、多くの人々が二人を見送ってくれた。


 「また来てください。次はもっと多くの人に話を聞いてもらいますから」と、最初に興味を示した商人が言った。


 幸明と月白は、希望の種を蒔いた都を後にした。

 都での経験は、彼らに新たな視点をもたらした。

 人々の暮らしと自然との調和。それは簡単なことではないが、決して不可能ではない。


 次なる旅路へ。幸明と月白の挑戦は、まだまだ続いていく。

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