15話 大改装

せっかく謎を解いて進んだ先の階層で未完成とか言われたら流石に可哀想だから、新しく9階層も増やすことにした。


といっても、そろそろチュートリアルのネタも尽きてきた。何にしようかな。


やっていない鳥型モンスターのチュートリアルか、それともモンスターの攻撃方法に対するチュートリアルか、あとは正式にダンジョンの環境変化を取り入れるか……


罠、謎解きと来て、また〇〇系のモンスターを倒してみようって内容が戻る流れは美しくない。

モンスターの攻撃方法だって、ゴブリンスポナーがランダムに武器を持ったゴブリンを出すから、今更チュートリアルにするのもな。

残りは環境変化のチュートリアルか……


よし。決めた。


まずはいつも通り迷路の形にフロアを作る。


そして追加で2万ポイント払って浸水という環境に変化させた。

浸水はダンジョンの床から30cmほどの深さの水が溜まる環境変化だ。


さらに追加でポイントを払えば、もっと深さを深くできるが、今回はチュートリアルだからこれで良い。


あとは水性モンスター……シーサースネークとマジックスライムでいいかな。2種類のモンスターのスポナーを置く。


シーサースネークは2m〜3mくらいある大きさの蛇で、水の中を素早く泳ぎ、噛みつき攻撃と巻きつき攻撃をしてくる。頑丈で初心者用の武器だとダメージがあまり通らない。


マジックスライムはその名の通り魔法を使うスライムだ。本体は相変わらず弱いが透明で水と同化してるのでかなり見つけにくい。思わぬところから魔法が飛んでくるからなかなか対処が大変だ。


看板には水の中を気をつけながら進んでみよう、と書いておいた。


水ときたら炎の環境変化もやりたい所だが、次は10階層目。キリが良い階層だからボスを置きたい。


となると11階層目が炎となるがなんかそれだと環境変化のチュートリアルの間にボス戦がくることになって微妙だ。


しばらく考えて、今作った9階層を11階層にし、新しくそれっぽい9階層、ボス戦の10階層、炎の12階層を作ることにした。


まず今度こそ9階層になるフロア。


いつも通り迷路の形をさせ、3m四方の部屋を10箇所に設置した。入り口は壁型のドアにする。


壊せる壁と違って、壁型のドアはあくまでもドアなので違和感が見つけやすい。

そして作った部屋の7部屋には8階層目までに登場したモンスターをランダムに複数体置く。もちろんオークも登場する。

2部屋には宝箱を、最後の1部屋には10階層目のボス部屋に続く扉を開けられる鍵を置いた。


隠し部屋を見つけ、鍵を探そうって言うチュートリアルだ。


続いて10階層目。作りは5階層目とほとんど同じだ。ただ、必要な鍵の本数とボスとして配置するモンスターが違うだけ。


ボスはゴブリンキングにした。

ゴブリンなのに大きさはオークほどあり、通常のゴブリンを次々と召喚する。早めに倒さないとゴブリンの量が大変なことになるので、初見突破するのはなかなか難しいんじゃないだろうか。


ゴブリンキングが鳴くとゴブリンが召喚される仕組みだから、最初に喉を潰すのがおすすめだ。


11階層目はさっき作った水の環境変化のやつで、12階層目は考えていた通り炎の環境変化にする。

と言っても通常よりダンジョン内の温度が15℃ほど高いだけだ。


本当はゲームによくあるマグマが流れている感じにしたかったんだけど、ちょっとポイントが高すぎた。

だから2万ポイントで変化させられる火山の洞窟ってやつにした。名前のくせにマグマ要素も火の要素もない。ただ暑いだけ。


ただ暑いだけでも、防具をつけている探索者にはキツいだろうから、今はこれで我慢をしておく。


代わりに設置するスポナーは炎感が強いモンスターにした。


まず1種類目。ファイヤーバード。


簡単に言うと燃えている鳥だ。火の玉を飛ばしてくる。死んでも復活はしないフェニックスの劣化版だと思ってくれて良い。


2種類目。フレイムウルフ。


簡単の言うと燃えている狼だ。3匹から最大10匹までの群れで動く。火の玉は飛ばしてこないが攻撃が全て炎属性となる。


看板は暑い環境に気をつけて……いや、ダンジョンで暑さに気をつけるって変か。熱中症予防じゃあるまいし。


悩んだ末に、暑い環境のダンジョンを探索しよう!と書いた。水と比べてシンプルだ。


これは水の環境の方が難しいのでは?

というか、炎と水の前にもっと簡単な森とかから始めるが普通では?


てことで今作った炎の方は12階層にして水の方は13階層にすることにした。


そして11階層は森のゾーンとして作る。


せっかくの森だから、複雑な道を作るのをやめて、大きな一部屋のフロアにする。

50m×100m。使うポイントは5万。さらに環境を森林に変化させるために3万ポイント使った。


この時点でポイントの消費が結構痛い。


続いてスポナーを置くのだがどうしようか。

森の中に岩は違和感ありすぎるし。


ショップの内装欄を流し見する。


すると良い感じのアイテムを見つけた。大木だ。


スポナーは50cmくらいの箱みたいな見た目をしているので、大木ならギリギリ隠せる。


カモフラージュとして10本ほど大木を置いて、うち2本にスポナーを隠す。


スポナーの種類はファンタジーでお馴染みの木のモンスターのトレントと、ツノから多彩な魔法を放ってくる鹿、ウィザーディアにした。


看板は森の中を気をつけて進もう、にする。


これで俺の今のダンジョンは上から



1階層 スライム1匹

2階層 ホーンラビット1匹

3階層 ドレッドスパイダー1匹

4階層 ゴブリン1匹

5階層 ボス戦(オーク)

6階層 普通に探索するだけ

7階層 普通のに罠要素が増えただけ

8階層 ソロを脱落させる謎解きフロア

9階層 宝探し

10階層 ボス戦(ゴブリンキング)

11階層 森の環境に慣れよう

12階層 炎(暑いだけ)の環境に慣れよう

13階層 水の環境に慣れよう

14階層 未完成と謳ってる暗闇罠ゾーン

15階層 コカトリスくんの初見殺し

16階層 巨大な大穴〜カラスを添えて〜



となった。


なかなか大きくなったなぁ。


本当は風が吹く階層を今すぐ作りたいのだが、作ったら所持ポイントが10万を下回るので、やめておく。


今回は無計画に作って結局階層をいろいろと移動させる羽目になったから、次から風から初めて続きはよく考えて作ろうと思う。


あ、そういえば最初に他のダンジョンの攻略に使えるアイテムが入手可能な要素を入れようって思ってたけどあんまり反映させてなかったな。


せっかくだから9階層の宝箱から良い感じのアイテムを出すようにしたい。今の探索者は何が欲しいんだろう。



「ダンジョン内に侵入した人類にアンケートを取る方法ってある?」


『回答:現時点ではありません』



あるわけないか。


仕方がない。無理矢理作るか。


最初の部屋の壁際に台座を設置して、その上にはショップで売ってた箱とメモ帳とペンを置いた。台座を置いた目の前の壁に看板を設置する。



【アンケートにご協力ください。探索時に欲しいアイテムは?】



これで答えてくれる人が来るのを待とう。



「このメモ帳を触った人がいたら通知が来るようにできる?」


『回答:可能です。現時点からメモ帳に人類が触った時点で通知をお送りいたします。なお、通知の解除をしたい場合は直接お申し付けください』



このAI、なかなか便利だ。


なぜこんな設定をしたかというと、解答用紙を回収するところ見られたら俺がダンジョンマスターってバレるからな。直接見られなくても、解答用紙を持っていることがバレた時点でアウトだ。


と言うことで、箱はダミーで実際には書いているところカメラで確認して意見を集める。


みんな解答してくれるといいなぁ。

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