7話 ステータス
いったん俺はダンジョンの様子を見る事を辞め、おそらくレベルアップしたことによって増えた機能を確認することにした。
試しに人型のマークを押してみる。
すると、ステータス画面が出てきた。
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個体名:若島蒼斗
種 族:ダンジョンマスター
称 号:未設定
レベル:1
魔力値:54
体力値:36
防 御:31
素早さ:21
器用さ:49
スキル:なし
次のレベルアップまで
残り:29
所持ダンジョンポイント
残り:63,102
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……これだけじゃよくわからないな。困った時のAIだ。
「俺のステータスって高い?低い?」
『回答:ダンジョンマスターは基本ステータスが人類よりも高く設定されています』
俺の知りたかった回答じゃない。
これはもう一個一個数値について聞いていくしかない。いつもの質問タイムとするか。
『人類からの侵攻を確認しました』
……質問する前にAIが喋った。
人が来たってことだけど、タイミング悪いな。
無視することもできないのですぐさまカメラマークをタップして監視モードに切り替える。
最初の部屋にはさっき来た男と警察官2名が居た。
何かを少しだけ話すと1階層に降りて行く。そのまま様子を伺っていると、男が魔核と鍵を警察官に渡した。
3人は恐る恐ると言った様子で2階層に行った。
そこにいるのはツノの生えたウサギである。可愛らしい見た目ではあるが、立派なモンスターだ。
スライムと違って動きは俊敏で、3人を見た瞬間に突進し始めた。
警察官の片方が反射的に拳銃を取り出すも、残念ながらここはダンジョンなので使えない。
拳銃を取り出した警官はそのままウサギの頭突きをくらい、1mほど後ろに吹っ飛んだ。
痛そう。
頭の中心にツノ生えてるし刺さってないだけマシかな?肋骨は折れてそうだけども。
その様子を見ていたもう1人の警察官は慌てて警棒を取り出して、ウサギを殴る。
ウサギは怯んで後ろに逃げた。
その間に負傷した警察官を残りの2人が引きずって1階層へ逃げ、そのままダンジョンの外へ出ていった。
『リザルト:1149のダンジョンポイントを獲得しました。
1149の経験値を獲得しました。
ダンジョンのレベルが3となりました。
レベルアップ報酬として2万のダンジョンポイントが付与されます』
今回は新たな犠牲を出す事なくレベルは2つも上がったし、いい結果になったと言えるんじゃないだろうか。3人で来てくれたのが大きかったな。
負傷者が出たし、しばらく人は入ってこないだろう。今度こそ質問タイムに入る。
その前にまずはステータスを開いて数値のチェックだ。
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個体名:若島蒼斗
種 族:ダンジョンマスター
称 号:未設定
レベル:3
魔力値:69
体力値:48
防 御:39
素早さ:31
器用さ:62
スキル:なし
次のレベルアップまで
残り:640
所持ダンジョンポイント
残り:84,251
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レベルが上がったからか心なしかステータスの数値が上がった気がする。
AIに質問して行くと、なんとなく見方がわかってきた。
魔力値はゲームで言うMP。現在魔法系のスキルを何ひとつ持ってないのでここが高くても今は意味がない。
体力値はHPというよりはどれくらい走り続けられるか、みたいな指標らしい。あとは一応攻撃力とかもここに含まれるのだとか。
防御は敵から受ける攻撃をどれだけ防げるか、みたいな値で、素早さは瞬間的にどれだけのスピードを出せるか。
器用さは何かを作る際や、遠距離攻撃をする際に必要となってくる値らしい。
称号は何かしらの効果を持っており、ステータスに設置することで効果が反映されるようだ。
スキルはショップで購入できる。確認したら本当にスキルの項目が増えて買えるようになってた。何も買わなかったけど。
今はとんとん拍子で人が来てレベルアップもして一気にダンジョンポイントが増えたけど、レベルアップに必要な経験値がどんどん増えていっているから油断してはいけない。
無計画にスキルを買ってポイントを無駄にはできないのだ。
次に、新しく増えたメダルマークをタップしてみた。
ここは獲得した称号が見れる場所らしく、称号の名前をタップすると、獲得条件とステータスに設定した時の効果が書かれている。
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称号:邂逅
獲得条件:自分のダンジョンに人類が初めて踏み入れる
効果:人類相手に戦闘を行う際、自身のステータスが全体的に0.1%上昇
称号:初級ダンジョン
獲得条件:ダンジョンの階層を5階層以上にする
効果:モンスター配置時、必要ポイントが1%減少
称号:環境変化
獲得条件:ダンジョンの環境を初めて変更する
効果:環境変更時、必要ポイントが0.5%減少
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最初にもらった称号達だからか、いまいち効果がピンと来ない。
称号を長押しして、1番パーセンテージが大きい初級ダンジョンをステータスに設置した。
次にメモマークを押すと、AIが話した内容のログが出てきた。質問して得た情報がまとめやすくなるからめっちゃ助かるな。
ログを確認できる以外の機能はなかったけど。
最後に歯車マークを確認する。
どうやらここでは、視界の各種マークの場所やAIからの警告、リザルトの内容、タイミングなどを設定できるようだ。AIの声の音量なんてものもあった。
マークの場所はこれで慣れてしまったのでこのままで。
警告項目は最初からダンジョンに侵入があった時と最深部まで人類が来た時に警告がくるよう設定されていた。
オフになってたのは特定モンスターが倒された時と他のダンジョンマスターが侵入した時の警告だ。
他のダンジョンマスターが侵入した時のほうだけ警告がくるよう設定しておいた。
リザルト内容は経験値の獲得だけオフにする。
どうせダンジョンポイントと同じだけもらえるし。今後変わるかもしれないけど。
設定は今のところこんな感じでいいかな。何かに困ったらその時に変更するということで。
そして俺はAIにまたいくつか質問し出した。
例えばダンジョンポイントを得る方法。
最初に聞いた時は4つほど例を挙げて、5回目の問い詰めでお答えできませんと言われてしまった。でも今は称号を得た時にもポイントがもらえるとわかっている。
環境を変えただけで貰えたし、称号の存在でダンジョンの制作が変わってしまうから伏せられてたんじゃないかと勝手に予想している。
そんな感じで、正式にダンジョンマスターになった今なら前回答えてくれなかった質問にも答えてくれるんじゃないかと思うんだよね。ついでに聞きたいこともいくつか増えたし。
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たくさん質問しまくった。
ログが見れるようになったとはいえ、パッとは確認できないのでやっぱりスマホのメモにまとめておく。
ついでにSNSを見ると、おおよそ30分ほど前に自衛隊が渋谷駅のダンジョンに突入したと話題になっていた。
タイミング的には俺のダンジョンに3人組が来る少し前くらいかな。
自衛隊が現場に到着してから突入するまで随分時間が空いている。まぁ未知の建物に入るんだからそれだけ準備はいるか。
SNSでは突入した自衛隊を固唾を飲んで見守っている様子が見受けられた。
俺もそのままSNSで状況を見守る事にした。
しばらくすると、ニュースアカウントから速報、自衛隊撤退なんて投稿がされた。
やっぱり上手くいかなかったか。
人類にはサポートAIがない。
ダンジョンについて情報を得る方法がないってのは大変だな。
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