イロモノタチ
ぬるぬるわわお
1 学校にテロリストが侵入してきてそれを華麗に撃退するあれ
今の時代に"男"とか"女"なんて大きい主語で物を語るのは良くないけれど、それでも敢えて言うと。男の子なら一度は妄想したと思う。「授業中にテロリストが入ってきてみんなが状況を把握できない中、一人冷静に動いて華麗にそいつらを撃退する」というあれだ。
人の想像力とは不思議だ。みんな住む場所も生きてきた経験も違うはずなのに同じような妄想をする。
もちろん撃退する過程は人それぞれだ。
俺の妄想はまずクラスの気に食わないガキ大将気取りがテロリストに歯向かって噛ませ犬のごとく退場、次に優しくて強い陽キャが少しいい勝負をするもやられてしまう。
その陽キャに想いを寄せていた女子が遺体へ駆け寄りテロリストに目をつけられてしまう。すんでのところで他を無力化した俺が助けて最後の一人にとどめを刺す。
陽キャの遺体に近づき悔しそうな顔で「ごめん、助けられなかったっ!」と消え入りそうな声で唱える。その女子は"俺くんが一番大変だったはずなのに、なんで謝るの?キュン"みたいな感じでフラグが立って半年後あたりにアプローチが始まる。
いつそれが起こっても良いように筆箱にはピンピンに尖らせた鉛筆とカッターナイフを格納してあるのだ。
なんて、俺にもそんな時期もありました。だけどこんな妄想は馬鹿なことこの上ない。
これに言いたいことがある。
まずテロリストは学校になんの用で来るんだ?学校なんて広いし人が多いしど絶対めんどくさいじゃん。暇かよ。
次に虎視眈々と念入りに綿密に慎重に計画を立てて実行するための装備(俺の妄想だと銃)を整えた相手に、勝てるわけ無いだろう。そんな状況を一人でどうにかできる奴は化け物だ。
だけどこうも思うのだ。一人が駄目なら二人で、それでも駄目なら三人で、四人で、みんなで立ち向かえばいいじゃないかって。
クラス一つにつき四十人くらいいるだろう、教室一つにつきテロリストは多分二、三人だ。力を合わせればなんとかなる気がしないだろうか?
もちろんその過程でそこそこの人数減っちゃうんだろうけど、それをマシにするのがチームワークだ。日頃友達と過ごしていたならきっとテロリストを倒せるだろう。
結論として、友達はいたほうが良い。
服を着て水に浸かると外側から水が染み込んでいく感覚、今はそれと反対に出血によって血液内側から服へ染み込んでいく。自分の中から命が抜けていくようで寂しかった。
自身の赤い目を青、黄、黒と変えながら言った。
「あー、死ねるなー。」
鋼鉄の巨人のその胸で、エチレン・フィルターは眠った。最後に認識できたのは自身の吐息の音だけだった
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