佐藤健一は講義を終え、研究室へと向かっていた。廊下を歩きながら、彼は同僚たちと軽く挨拶を交わし、次の論文について考えを巡らせていた。研究テーマは「戦国時代における信長の革新性」。特に彼の外交戦略や内政改革について深掘りする予定だった。

研究室に入ると、デスクの上には大量の書類と本が山積みになっていた。佐藤はデスクに腰を下ろし、パソコンを開いて論文のファイルを呼び出す。彼のデスクには、歴史書や古文書の写しが散らばっており、その一つ一つが信長に関する詳細な資料だった。

「さて、今日は信長の外交政策についてまとめよう。」

佐藤は深呼吸し、手元のノートに目を移す。だが、その時、突然頭が重くなり、視界がぼやけてきた。彼は手で額を押さえ、頭痛とめまいに耐えようとするが、症状は次第に酷くなっていく。

「これは…ただの疲れじゃない。何かがおかしい。」

佐藤は不安を感じつつも、椅子に深く座り直し、少し休もうと目を閉じる。だが、全身に強烈な倦怠感が襲い、意識がどんどん遠のいていく。彼は最後に見た信長の肖像画がデスクの端に置かれているのを確認しながら、心の中で疑問が渦巻いていた。

「まさか、これが信長の呪い…？」

その瞬間、佐藤は全く異なる感覚に包まれた。まるで時間と空間が歪んでいくような感覚だった。彼はそのまま意識を失い、深い闇の中へと沈んでいった。

次に佐藤が目を覚ましたとき、彼は見知らぬ天井を見つめていた。豪華な木彫りの天井装飾と、古めかしい和風のデザインが目に飛び込んできた。彼はゆっくりと身を起こし、周囲を見渡す。そこには現代の日本では見ることができない家具や装飾が並んでいた。

「ここは…どこだ…？」

佐藤は立ち上がり、部屋を歩き回る。壁には掛け軸が飾られ、畳が敷かれている。彼は一枚の鏡に映る自分の姿を見て驚愕した。そこに映っているのは、現代の自分ではなく、戦国時代の甲冑を身にまとった織田信長そのものだった。

「これは…どういうことだ…？」

彼は鏡の前に立ち尽くし、自分の顔と体を確認する。すべてが信長の姿だった。頭の中に信長の記憶や感覚が少しずつ流れ込んでくる。佐藤は混乱しながらも、徐々に状況を理解し始める。

「どうやら、私は信長としてこの時代に転生したらしい。」

佐藤は深呼吸し、この異常な事態を受け入れる決意を固める。彼は信長としての新しい人生を歩むことを心に決め、次に何をすべきかを考え始めた。

「まずは、この状況をしっかりと把握しなければならない。そして、歴史学者としての知識を活かし、この時代で何ができるかを見極めるんだ。」

佐藤は信長としての役割を全うしつつ、平和的な解決策を模索するための第一歩を踏み出すことを誓った。これが彼の新たな運命の始まりだった。

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46話からは、坂本龍馬編がスタートします。

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