ファウストの書罪

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1.発火

 若い男が、足を引き摺っていた。

辺りは暗いが、空は火口の真上であるかのように煙たく、重い雲に覆われている。

この時期ならば冷たく輝く筈の星も、全く見えない。何処かで、恐ろしい地鳴りが響き、砲撃めいた音が雷鳴のように轟く。

「……何が……何が起きた……」

男は重い荷でも背負うように背を曲げ、苦鳴混じりの疑問を吐いた。

引き摺る足が、どんどん重くなる。暑くもないのに脂汗が垂れ落ち、食い縛った歯の隙間からは、擦り減っていく魂が、呼吸のまま垂れ落ちる様だ。

今日初めて、着慣れた軍服の硬さや、素っ気ない質感に苛立った。

胸には戦功や模範生を示す印が幾つも有り、腰には拳銃。……が、こんなものが何の役に立つだろう? 周囲には彼の仲間らしき軍人も居なければ、敵や民間人も人っ子一人居なかった。

か細い枯れ木が林立する暗い荒野にたった一人、男は足を引き摺っていく。

鉛でも吊るしているような足の重みに、遂につんのめって倒れ込む。

地鳴り……否、何者かの言葉が、耳を超えて胸に、頭に響く。

「断る……‼ 私は……、私は焼かねばならない……!」

男は呻いたが、辺りには誰も居ない。目の前に忽然と落ちていたのは、一冊の本だ。

男はそれを睨んだ。すぐ傍で……パチパチと、何処かで何かが燃えている。

「『悪書』の頼みなど、聞くものか……!」

猛獣のような呻きに、焼け焦げる臭いが混じる。男の傍で、火の粉が爆ぜる。

燃えているのは、引き摺っている足だった。




 その書庫は、最悪だった。

天井に届く程の古びた本棚が幾つも連なり、合間に古物商が扱うような照明がぶら下がっている。雰囲気そのものは悪くないのだが、作業をするには薄暗く、埃や蜘蛛の巣をかぶった梯子は上がるのに不安を覚える音がした。

それらの本棚の前には収蔵の順番待ちをするように本が積み重ねられ、かといって本棚の中に有る本もジャンルはバラバラ、シリーズものは揃わずに散らばっている。

新米司書のロニは溜息混じりにベージュの髪を搔き、湖のようだと言われる青い目で一つ目の本棚を見上げた。

――これを整理する? 一体何日掛かるんだ。

放り込むだけ放り込んで去った前任者もひどいが、図書館勤務に嬉々としてやって来た新入りにまんまと厄介事を押し付けた上司を恨みつつ、本に罪はないと思い直す。

……いや、一度は罪を被せられた本ではある。

”その時”に付いたと見られる傷や、何処かに隠された際に湿気て歪んだり、カビや虫食いに覆われ、果ては炎に晒された焼け跡もあった。

焦げたページには、素朴な子供向けの物語や美しい詩がある。

そう、本には如何程の罪もない。

かつて、この国・ベルティナを含む一帯の国家が帝国主義に支配され、おぞましい教育が支配した際、彼らは不必要と見なされ、『悪書』の汚名を着せられたのだ。

「こんな素敵なものを排除しようなんて、どうかしてるよ」

呟いて眺めるページは煤けて薄汚れていたが、カラフルな色彩と共に愛らしいリスの物語が描かれていた。

絵や文字がわかるだけ、ここに並んでいる本はまだ良い方だ。

当時、帝国の軍人どもは、自分たちの思想にそぐわない書物を焼きまくったという。

指定した本を差し出させ、隠そうとした住民を蹴散らし、泣き出す子供から取り上げ、集めた本を広場に積み上げ、火を放った。

悪行以上の何でもないが、当時、彼らはそれが正しいと信じていた。

無垢で無知な人々に悪しき影響を与える書を始末している――そう思っていたのだ。

ロニはページを捲った。何処までいっても、美しい色と優しい物語が続く。

これを持っていた子供は、きっと何度もページを捲り、描かれたものを指差し、愛しく思い、穏やかなストーリーに胸躍らせたに違いない。

これを見て、教育に悪影響を与えると思う人間の気が知れない……

さて、何処から手を付けようかと思いながら辺りを見渡したときだった。

ゴトゴト、と奥で何かが動いた。

「……?」

ロニは緊張した。言うまでも無いが此処には一人。この書庫は図書館の二階の最奥。換気用の細長い窓があるだけで……それも閉じているし、入り口は一つ。

――まさか、ネズミ? フランソワを連れてくるべきか……?

そんなことを思いながら、慎重に本の山を跨いだり避けながら奥に向かった。

ゴト、と、また何かが動いた。この裏の棚だ。

ごくりと生唾呑んで、意を決して覗いた。

「あれ……?」

何も無い。ネズミはおろか、そこは他の本棚と大差ない――空きもあれば、分厚い本が収まっている所もある。そしてやはり、足元には収容を待つ本の山。

それを見下ろして髪を搔いたときだった。

目の前でゴトっと動いたものの正体にロニはぎょっとした。

本だ! 辞書のように分厚い装丁のそれは、背表紙が完全に消失していて何の本なのかわからない――が、風もない、当然だが地震でもない中、それは横にゴトゴトと揺れた。恐々、本を間近に見つめる。隣の本がずれていたので、わずかに覗き見えた表紙も焼けていた。かなり嫌われた本らしい……当時の政策に反発した者が書いたのかもしれない。

焼けて破れた箇所から何か入り込んだのか……? 大きな害虫だったりしたらどうしよう――……そう思いながら恐る恐る、本に手を触れた刹那。


〈助けて‼ 早く助けてえええええ‼〉


大声で叫んだ本を前に、新米司書は悲鳴を上げて一目散に逃げだした。




 「幽霊だって?」

カフェで会った親友は、職場で散々笑い者にされた友人を少しもねぎらう気が無い顔で笑った。

「奇遇だなあ、親友。俺も最近はオカルトを追っ掛けてるんだ」

出版社に勤めるマイルズは、今、カフェの椅子でくつろいだ姿勢が常ではと思う程、呑気な記者だ。貴様は作家か評論家かという態度で、大抵はこうしてコーヒーを飲んで暇そうにしている。散々、上司にその悪癖を叱られているが、存外、うまい具合にネタを掴んでくる世渡り上手だ。

「オカルトなんて、流行ってるんだっけ?」

胡散臭そうに言ったロニに、マイルズは嘆かわしげに麦わら色の髪を振って、どこか憎めない茶色の瞳を笑ませた。

「女優のテオドラの家でも出たらしい。招かれた友人が、誰も居ない部屋から声がするのを聞いたとか、通行人が窓の向こうに火の玉を見たとか」

「……狂言じゃないの?」

有名人や、或いはそれを妬む人間が、売名行為やスキャンダルの為に妙な事件をでっち上げることはまま有る。親友は大げさに片手を振った。

「おいおい、ロニ、自分は堂々と被害者ヅラして、他はデマだってのか?」

「そういうわけじゃないけど……火に関しては昔から有るじゃないか」

そう、火に関する話は昔から有る。

やはり誰も居ない、火の気もない場所で何かが燃えているのを目撃するが、確かめると、燃えカスはおろか、灰ひとつ落ちていないという話だ。

愉快犯の悪戯を含め、定番の都市伝説と言ってもいい。

「そいつを確かめる為にも、俺はペンを持って励んでるってわけさ」

「励んでるなら、なんでこんな時間に休憩してるのさ?」

「甘ちゃんめ。オカルトってのは相場、夜に起きるもんだ。昼間に追ってどうする」

都合のいい解釈に呆れ顔を浮かべながら、ロニは首を振った。

「だったら僕の職場に来ればいい。真昼間に出たんだから」

「行っても良いが、そんなら本職を連れて行かないと」

「本職?」

「そりゃあ、聖職者だよ。俺は親友のお前が言うことを信じてるからな」

「お前、そんな事言ってリシェに頼む気だろう。……嫌だよ。臆病者だとか、バカにされるに決まってる」

リシェは、肩をすくめて言うロニの妹にして、しっかり者のシスターだ。

確かに”本職”かもしれないが、少なくともオカルトには難色を示すに違いない。妖精や幽霊など、魔法に関わる類の話は旧時代のもので、それは神力に関しても同様だ。現在の聖職者はあくまで信仰を守る者で、薬学などには通じるが、神の力で奇跡を起こす者ではない。妹が教会に通っているのも聖職者になる為ではなく、礼儀作法を学ぶ為だ。彼女は優秀で、教会を取り仕切るチェスター神父の覚えも良い。

「リシェを誘うつもりなら、美味しいスイーツ店を見つける方が早いよ」

兄の尤もなアドバイスに、親友は鼻を鳴らしてコーヒーを啜った。

「あの……失礼、」

不意に声を掛けて来た方に振り返ると、同世代かそこらの若い男が立っていた。

髪も目も灰色のすらりとした体格の男は、人が良さそうな笑みを浮かべていたが、地味な茶色の上着を羽織り、奇妙な杖を提げていた。

――何だろう? 何処かで見た気もするが、古いアンティークめいた鉄製らしき杖の先端に、鉄製と思しきベルのようなものが付いている。だが、ベルのように振れることはなく、音も鳴らない様だ。

そして男は、一歩進み出た際に、ずる、と左足を引き摺った。

「今、お話が聴こえてしまったもので。詳しく伺ってもいいですか?」

「おや、貴方もオカルト好きで?」

親友が興味深そうに男を見上げ、持ち前の愛想で笑うと、男もにこりと笑んだ。

「そんなところです」

「それはいい。どうぞどうぞ」

空いた席を勧める友人に、男は静かに座った。

「レン・カンデラと申します」

丁寧に頭を垂れた男は、やや憂いを帯びた目をしているが、なかなかハンサムだ。ただ、浮かべた笑顔でわかりにくいが、視線は鋭く、何か非凡な才を感じる。

「マイルズ・ブライスです。エクスター・ハウス社で記者をしています。こっちは我が親友のロナルド・ソルベット。向こうのバカでかい図書館で司書をやっております。気軽にロニと呼んでやってください」

「マイルズ……それは僕が言う事だと思うんだけど?」

じろりと睨むロニと素知らぬ顔のマイルズを見て、幸い、レンは笑ってくれた。

「ソルベットさんというと……ご実家は香水のお店ですか」

「あ、そうです……両親が営んでいまして」

ソルベット家は歴史だけなら、代々、『BLOOMブルーム』という香水屋を営んできた老舗だ。この町の目抜き通りにこじんまりと店を構え、自慢ではないが雑誌に載ったことも度々あるし、名の有る女優も愛用している。チューリップを模した古めかしい紋章エンブレムは創業時からのもので、今でもパッケージに使用される他、店先には季節になるとチューリップを植えるのが伝統だ。ちょうど今は春先で、色とりどりのチューリップが開いている為、目に付くのだろう。

一番古い先祖は旧時代よりも昔から……言い伝えでは、魔法が普通に存在した遥か昔から、同じ場所で商売していたという。両親曰く、特に旧時代のご先祖様はすごい魔法使いだったらしいが、そんな魔法使いがどうして香水屋なんかをしていたのかは不明だし、肝心の魔法は彼の代以降、子孫には引き継がれていない。現在、大陸で一、二を争う経済国家であるこのベルティナ国でも、魔法はごく一部の人間のもので、優れた術師は政府関係者や教会、薬学の専門家などに限られ、九割がたの人間は日常的に拝むこともないものだ。ロニもその奇跡は詐欺も多いので信じていないが、帝国時代にこの辺りが奇跡的に焼け野原にならずに済んだことは、ご先祖の魔法ではないかと高齢の市民は噂した。

「貴方が継がれるのですか?」

「いえ、僕はその……センスが無くて。妹が継ぐ予定でして――今は修行中です」

「そうですか。通りがかりに拝見しましたが、昔から変わらず素敵なお店ですね」

昔から変わらず……? 男の過去が気になったが、先におしゃべりが口を開いた。

「ミスター、この辺りにいらしたことが?」

「はい。随分前に」

詳しく言いたくはない様子を匂わせ、その灰色の目はロニを見た。

「あの……何か?」

「いえ、すみません。ソルベット家には、今も魔法使いが居るのかと思いまして」

さすがはオカルト・トークに首を突っ込む男か。ロニは苦笑いで首を振った。

「まさか……当家にそんな人が居たとは信じられないぐらいですよ」

「そうですか。あの家には、『水』や『土』の気配がすると思ったのですが……」

妙なことを呟くと、レンは微笑んだ。

「失礼ですが、ミスター・ソルベット……片手を出して頂いても宜しいですか」

「ロニでいいですけど……何ですか?」

言いながら、わけもわからず片手を出すと、手のひらを上に向けられた。

「動かないで下さいね」

レンはそう断ってから携えていた変な杖の先端――ベル状のそれを、コップを伏せるようにロニの手のひらに乗せた。しばらくそのままにしていたが、不意に彼は杖をくるりと回してベルを煙管みたいに上向かせ、の方をトンと叩いた。

「わわっ!」

ロニが声を上げ、親友も驚いて目を瞠る。ベルの中から、ふわっと立ち上ったのは水だ。それは噴水のように水滴をきらめかせて吹き上がったが、瞬く間に空気に溶けるように消えた。

「驚きました。ロニさんは昨今では珍しい……かなり強い魔力をお持ちです」

杖を下ろして呟く男に、片手を浮かせたまま、ロニは呻いた。

「ま……魔力? そんなもの、知りませんよ……!?」

「知らなくても無理はありません。旧時代の力は表舞台から消えて久しい」

思わず周囲を見回したロニだが、幸い、それぞれのお喋りに夢中で、変な目で見ている者は居なかった。レンも気にした様子はなく、当然のように話し続けた。

「ですが、稀に旧時代の力を受け継いでいる人は居ます。貴方はかなり濃い血統の様だ。ソルベット家故でしょうか、水に愛されているようです」

確かに、実家は代々、同じ土地に暮らしているが。

「そんなまさか ……だ、だって、僕の親や祖父母は何も……」

「要は、うつわの問題なんです」

「英雄みたいな『選ばれし者』という具合かい?」

“親友”の面白がるような口調に、レンは首を振った。

「少し違います。例えるなら、力は代々、人間の設計図――遺伝子に追加で書かれる文章のようなものとお考えください。この設計図に余白が多ければ書き込むことができますが、足りなければ途中までしか書けません」

「なるほど。まあまあ余白の多い男だったわけか」

急に頭が悪いように言われている気がしてロニは睨んだが、友人は知らん顔だ。

「書ききれずとも、文章そのものは遺伝していくので、親族の方も気付いていないだけの可能性もあります。ご実家に受け継がれている『水』は、他の属性に比べて比較的、穏やかですから」

「ということは、こいつは魔法が使えるのですか?」

「それは分かりません。凄い本が有っても字が読めなければ知識を得られぬように、魔力が有るだけでは魔法は使えません。訓練すれば可能性は有るでしょうが、その訓練方法は受け継いだ力によって異なります。ご実家に指南書でもあれば、それが最善ですが、同属の者の指南を受ければ、或いは」

ふと、ロニは実家の倉庫を思い出した。出来るかもわからない魔法の為に、あの倉庫をひっくり返すのは躊躇われる。これ以上、身近に荒れた空間を作りたくはない。

「ミスター・カンデラは、魔法使いなのですか?」

仰ぎ見るようなロニの問いに、彼は苦笑混じりにかぶりを振った。

「いえ。私は只の旅行者です」

「では、その杖に種があるのですかな?」

マイルズが指差すものに、彼はそっと触れて曖昧に頷いた。

「杖というか、これは『蝋燭消しキャンドルスナッファー』ですが……まあ、そんなところですね……」

「私も調べて下さいますか」

興味津々といったふうに身を乗り出す男に、レンはやや気圧されたようだが頷いた。

同じように手のひらに、蝋燭消しと云うには大きすぎるそれの先を乗せた。しばし後に上向かせたが、今度は水一滴出なかった。

「これは、才能が無いということですかね」

「そうとは言い切れません……少しだけ、『風』を感じました。ロニさんほど強くは無いようですが」

「うーむ、残念だ」

「魔法使いになる気だったのか……?」

目に見えてガッカリする友人に呆れ顔を向けると、彼はあっけらかんと首を振った。

「旧時代以来、普通じゃなくなった力だぞ。ネタになるじゃないか」

「自分をネタにする気か……全く、お前の仕事熱心には恐れ入るよ……」

「仕事か。確かにこんなものを見せられたら、やる気が出て来た。今からお前の職場に行こうじゃないか。例の本をこの御仁に見て貰えよ」

「職場と仰いますと……その本は図書館に?」

しっかり聞いていたらしいレンの声は、どこか焦燥感が滲んでいる。

ロニが頷いて事情を話すと、彼は居ても立っても居られぬ様子で立ち上がった。

「それは……早く行った方が良いと思います」

「えっ……はい? 今から?」

オカルトを面白がるようには見えないレンの積極性に、ロニは胡乱げに頷いた。

まあ、どのみち……休憩を終えたら戻らねばならない職場だが。取材は夜がどうとか言っていた友人も、残りのコーヒーを飲み干して楽しそうに席を立った。

「いいじゃないか、ロニ。どうもこの御仁は常人ならざる感じがする。面白そうだ」

「お前は面白ければ何でもいいんじゃないか?」

「俺の職業を知らんのか。面白いことこそ重大なんだ」

うんざりと天を仰ぎ、ロニはカップを呷って立ち上がった。




 ベルティナ王立図書館は、町の中心部に位置する巨大図書館だ。

王制ではなくなった現在も”王立”の名が残っているのは、此処を建てた女王が居た旧時代より、以降の戦火を逃れて在り続けた為である。

庁舎や教会よりも立派な白い石造りで、今は無い職人の都・ロウぺの石工らが建造したと伝わる。周囲を囲む壁や柱、ステンドグラスの大きな窓枠など、至る所を細かな細工模様が覆い、ロビーの天井にはめ込まれたガラスの周囲にも花や植物がモチーフらしきレリーフが彩り、床さえも不可思議な模様でぎっしりと埋め尽くされている。

ロニが作業に勤しむバックヤードの書棚は後に増設されたものだが、館内の殆どの棚は創建当時からの立派なもので、まるで二階建ての劇場だ。舞台の演者が客席を見渡すように、ぐるりと視線を巡らす景色は書棚と本に溢れている。子供の頃は、本は無論のこと、階段や手すり、本棚の中にまで描かれた模様を探して喜んでいたものだが、それらは現在も変わらぬ姿で沢山の書を支えている。

金銀宝石がちりばめられているわけではないが、如何にも王族が造ったとみえる絢爛豪華な造りの中、何故か二人の男を引き連れて職場に戻って来た部下を、往年の司書にして館長であるマダム・フリーゼは眼鏡の奥から隙のない睨みを利かせた。

「ロニ、出て行く時もわけのわからないことを言っていたけど……これは一体、何の騒ぎ?」

プラチナブロンドをきちんと纏め、銀縁眼鏡をかけた婦人は黙っていればエレガントなのだが、アイスブルーの目はそこらの男が束になっても敵わないだろう圧がある。既に平伏気味の低姿勢であるロニが何か言う前に、するりと割って入って来たのはマイルズだ。

「やあ、どうも、マダム・フリーゼ。今日はイボンヌ社のセーターですか。上品なグリーンがよくお似合いです。オーダーメイドですか?」

「あら……貴方も居たの、ブライス」

わずかに声を和らげた婦人は、”大変”稀有なことに、この軽薄なおべっか使いがお気に入りだ。少し表情を和らげて、婦人は首を振った。

「いいえ、確かにイボンヌのものだけれど、知り合いに小さすぎるからと譲り受けただけよ」

何処で仕入れてくるのやら、女もののファッションだの化粧品にやたらと詳しい記者は、詐欺師顔負けの手際で気難しい上司に話しかける。ロニが目の前の茶番にうんざり顔をせぬよう口元を引き締めて黙っていると、スカートの話にまで発展したところで、マダムは眼鏡を押し上げて微笑みを浮かべた。

「そう、やっぱり今期はメゾン・ダリアがエレガントだと思ったのよ……このラインは私には少し若いけれど――」

「とんでもない。上質はわかる人が身に付けてこそ生きるものです」

「お上手ねえ」

おっとり小首を傾げた婦人に、それまで黙していたレンが穏やかな声で言った。

「とてもよくお似合いですよ」

「まあ……ありがとう」

その率直な言い方が良かったのか、毒気を抜かれた顔になる婦人は目を瞬かせた。

「ええと、どなただったかしら?」

「レン・カンデラと申します。古書に興味が有りまして――ちょうどこちらのミスター・ソルベットとお会いしたので、見学させて頂けないかと無理を頼みました。急に押しかけてすみません」

「そう――いえ、構いませんわ。あんな古本の山で良ければどうぞご覧になって」

別人のように愛想よく頷いた婦人の前をようやく通り過ぎ、ロニはほっと息を吐いた。

「全く、口が上手いな」

「処世術と言えよ。ミスター・カンデラもなかなかだ」

「私は本当のことを言っただけですよ」

どこか陰りのある笑みで答えた男に、確かになかなかだと思いながら、ロニは目的の扉の鍵を開けた。そろそろと開けるが、中はしんと静まり返り、薄暗い室内に変わった様子は無い。泥棒のように息を潜め、ロニは先頭に立たされるのに恐怖しながら例の本棚に向かった。今さらながら、ギシギシという古い床が不安を煽る。目的の本は、動くことなく同じ場所に納まっていた。

「この本です」

恐々、指差した背表紙が失われて焼け焦げた本をレンはじいっと見つめた。

「『水』と相性の良い貴方が触れた瞬間、大声を上げたなら……私が触ると、もっと騒ぐかもしれません」

そう断って、彼は迷わず本に触れた。

刹那、それは火傷でもしたように喚いた。

〈あああ熱いッ‼ 熱いィィィッ‼ 触るな‼ 触るなアアアアア‼〉

これには百戦錬磨の記者も仰天した顔をした。揃って慄いているロニとマイルズをよそに、レンはぴくりとも表情を動かさずに本を引き抜くと机に置いた。数ページぱらぱらと捲る中、本は炎に撒かれてのたうち回る者のように『熱い』と悲鳴を上げた。手が離れると、本は押し黙ったが、中からざわざわと不気味な音が轟く。彼は例の蝋燭消しを当て、聴診でもするように黙していたが、難しい顔をした。

「まずいな……だいぶ、灰化はいかが進んでいる」

「は……灰化?」

友人同士は顔を見合わせると、焦げ跡のある本を見た。

「熱いって聴こえましたけど、どこか燃えてるんですか……?」

そうだったら一大事だ。彼は難しい顔のまま、ゆっくり首を振った。

「この焦げ跡は、昔のものでしょう。普通の火で燃えただけならまだ良いんです。でも、内側は魔法の炎で燃えています。今は可視できない炎ですが、あなた方にも見える状態になったら大変です」

「魔法の炎……?」

「はい。この火で燃え尽きて灰になった本は、元の本、或いは燃えたことによる怨念にまつわる何者かに変化します。その過程を灰化と呼びます」

―― 誰がそんな呼び方をしているのか気になったが、それどころではない。

「ど、どうしてそんなことが……? 自然現象ではありませんよね? 誰かが意図的にやるものなのですか?」

矢継ぎ早に訊ねたロニに、レンは本を見つめながら静かに答えた。

「……焼け跡からして、この本は傷付いた経験を持ちます。それだけでも灰化の火種としては十分ですが、更に誰かが強い影響を与えているようです」

本から蝋燭消しを持ち上げ、溜め息を吐いた。

「灰化は一度始まると、原因の火種を消さなければ止められません。軽症なら外からでも対処できますが、ここまで進行しているとお手上げです。本の頼みを聞き、火種を消すしかない」

「本の、頼み……?」

「色々あります。物理的に製本し直すことを求める本も有りますが、この本の場合は中身に問題が有りそうです。可能なら、中に呼んでほしいのですが……まずは会話をしないことには……」

「??」

もう、さっぱりだ。

「ど、どうすればいいのでしょう?」

「今申した通り、会話をしたいですが、これでは話になりません。影響を与える者が身近に居るのかもしれない……少し、この本について調べた方が良さそうです」

レンは溜息混じりに再び本を手に取り、又してもおぞましい悲鳴を上げるそれを棚に戻した。ロニがひどい怪我人を見るような気になっている中、いち早く驚きから調子を取り戻したマイルズが面白そうに唇を歪めて顎を撫でた。

「ちなみに、その魔物ってのはどんなヤツなんです?」

「火種となった本や影響を与えた者によって様々です。怪物であることもありますが、大量のネズミや魚が出現したこともあります。数名の人間がくっついた不気味な姿の者も居ました……現実の人間と区別がつかない厄介な者も居ます」

身の毛もよだつことをさらりと言いながら、ふと、穏和な男の目に炎がちりついた。それは瞬き一つで消えてしまい、目に見えぬ火に燃える本を気の毒そうに見る。

「こちらの本は旧時代の聖書の様ですね。信仰に纏わるものは、想いが強い分、呪いも強い……何に変化するかわかりません。早く対処しなくては」

「さぞや恐ろしい化け物になるんでしょうな。記者の好奇心では、見てみたい気もしますが」

「ミスター・マイルズ、お気持ちは理解できますが、記事にはならないと思います」

微かに咎める口調で言う男に、記者は首を傾げた。

「何故です?」

「大抵の人は、旧時代の力を信じません。写真に撮ろうとも、偽物扱いされるのがオチです」

「生捕りにしてもダメですかな?」

「それは有り得ませんね」

嗜める口調で首を振ると、レンは蝋燭消しをコツ、床に当てて言った。

「私が消してしまいますので」

冷たく言うと、彼は思案顔で口元に手をやった。

「ロニさん……貴方以外に、此処に出入りできる人はどのくらいいらっしゃいますか?」

「ええと……鍵さえあれば、誰でも入れますが――このフロアは外部の人間が入ることは滅多にないです。見ての通り、貸し出しするには難のある本ばかりなので」

「その様ですね」

「僕は担当者としてスペアの鍵を預かっていますから、頼まれれば開けますけど、今のところ、そんなことを頼む人は職員にも居ません。本来の鍵は事務所の決まった壁に掛けてあります」

「よくわかりました。まずはその鍵が所定の位置にあるのか見に行きましょう」

改めてどやどやと事務所を訪れると、マダム・フリーゼが大きすぎる眼鏡に手を添えて怪訝な顔をした。

「ロニ、さっきから何を騒いでるの?」

「すみません、マダム・フリーゼ」

礼儀作法にうるさい婦人に頭を垂れると、マイルズが申し訳なさそうに眉を潜めた。

「マダム、僕の友人の職場に、どうも不届き者の気配がするのです。ここ最近、貴女様の審美眼に怪しいものは映りませんでしたか?」

「まあ、館内に? 物騒な話ですこと。ネズミじゃないでしょうね?」

眼鏡を押し上げて言う女に、ロニは更にぐっと口元を引き締めて真面目に答えた。

「わかりません。ネズミが鍵を持ち出せば事ですが……」

「そんな泥棒を見掛けたら、とっくにフランソワを連れていくか、駆除業者を頼むわ――ああ、そういえば……フランソワで思い出した。昨日はキーハンガーの前に寝ていたわ」

「じゃあ、ネズミではないですね」

マダムは当たり前でしょ、という顔をしたが、頷いた。

フランソワは、当館のネズミ捕獲長――すなわち、猫だ。銀灰色の短毛の毛並みに金目が愛らしい彼は役職に就いてはいるが、自由人で館内のあちこちを歩き回る為、ひとつ所に居ることは殆どない。今頃は温かい日差しが注ぐ窓辺にでも居るのだろう。一同が視線を置いたキーハンガーの前にも、彼が寝そべることができるぐらいの棚が有る。事務所の入り口のすぐ傍なので、容易に持ち出せるほど隙だらけだが、此処に有る鍵はその程度のセキュリティで問題のないものだ。貴重な本が納められた部屋の鍵は別の場所に保管されている為、このキーハンガーから一本消えていても、捜そうとする者は居ないし、マダムが怒り狂うこともない。

「昨日はちょうどその棚にフランソワが寝ていて、そう、キャロルが撫でていたの。鍵を取っていったかは覚えていないけれど」

「キャロルが?」

ロニが思わず見たのは、空っぽのデスクだ。

いつもはそこに座っているキャロル・マクニールは、今日は休んでいる。

仕事の上ではロニよりも先輩だが、年齢は二十四という若さだ。本が好きすぎて、図書館勤めが諦めきれずに転職したロニが来るまでは、彼女が一番の新人だった。

「キャロルは、体調不良って言ってましたよね……?」

「そう。前から時々休むことはあったの。此処だけの話、ロニ――貴方を迎え入れた原因でもあるのよ。仕事は真面目だけど、急に辞められたら困るもの」

ふと、ロニは二人と顔を見合わせた。

「……もしかして、彼女も、あの書庫を担当していましたか?」

「ええ、貴方が来るまでは。半年くらい前から、片手間にね。各所から送られてくる本を出すので手一杯だったようだけれど」

もう一度、顔を見合わせた。

「あの……マダム・フリーゼ、ちょっと気になることがあるので、見舞いがてら、キャロルを訪ねてきてもいいですか?」

こちらとしては精一杯、下出に出たつもりだったが、許される筈は無かった。

”仕事が終わったら”自由にしなさい、と、全く以てその通りの返事を言うと、マダムも仕事に戻って行った。

思わずマイルズを振り返ったが、お世辞の使いどころを知っているのだろう、無駄な勝負を避けた彼は軽く両手を挙げて廊下へと促した。

「……どうする? キャロルは何か知っている気がするけど……」

「案ずるな、親友よ。俺が行ってこよう。キャロルなら家もわかる」

「え……知り合いだっけ?」

「いーや、見掛けただけだ。ウチの情報網は警察に匹敵するんだぜ」

親友を幾らか軽蔑の眼差しで見たが、彼は何でもなさそうに鼻で笑い、物静かに立っていたレンの方を見た。

「ミスター・カンデラはどうします?」

「可能なら、先程の部屋を改めて見せて頂きたいと思います。他にも灰化した本があるかもしれません」

「わ、それは有難い。一人じゃもう恐ろしくって……」

我ながら情けないが、臆病と謗られても構わない。にわかに信じ難いが、バケモノになるかもしれない本が有る部屋に一人で居るなど、耐え難い恐怖だ。

気楽な様子で出て行った友人を見送り、ロニはレンと共に部屋に引き返した。

今さらだが、彼は歩くときに少しだけ左足を引き摺っていた。

「あの、レンさん……伺っていいですか」

廊下を渡りながら見た横顔は、やはりどこか常人ではない雰囲気が漂う。嫌な感じではないが、声を掛けがたい雰囲気もある。

「どうぞ」

「その……こういうことは、よく有るのでしょうか?」

「灰化ですか」

「そうです。二度も目の当たりにして何ですけど……本が喋るなんて信じられなくて……」

彼は灰色の髪の合間に見える、灰色の目を伏せて言った。

「無理もない事です。あの本が傷ついたのは帝国時代のことでしょうが、その力は旧時代のものですから」

「旧時代の……」

魔法が当たり前に有った時代。それはわかるが、それだけだ。

旧時代は伝説級の太古から、多くの人がその魔法を忘れてしまう頃までの長い時代を指す。帝国時代は、旧時代にこの国を治めていた王政がやがて腐敗堕落した為、これに反した軍隊のクーデターから始まる。この事件を皮切りに、王国側と反乱軍の構図で近隣諸国をも巻き込んだ戦争と化し、数年に渡る争いが続いた。

大っぴらな戦争後も、問題は居残った。戦いの末、和平交渉の運びとなるが、王国側は譲歩した後に隠遁し、反乱軍を中心とした新政府が樹立する。これが帝国となって君臨するのだが、帝国政府は旧時代の教えや記録を厳しく取り締まり、新たな思想や教育を強要した。そのやり方の横暴さに民衆が蜂起し、帝国政府は倒される。

それまでに行われた暴挙の一つが、当時の書物や経典を『悪書』と称して燃やすこと。多くは無害な絵本や物語だったが、列強に立ち向かえるだけの強国を作ろうとしていた帝国は、旧時代の伝説や言い伝えを特に嫌い、非現実的な子供向けの本も悪影響を与えるとして構わず焼いた。ロニの祖父母の子供時代まで行われていたそれで傷ついた本は、数千万にも及ぶという。

「帝国は、本を取り締まるのに旧時代の力を使ったんですか?」

意外に思って訊ねると、レンはそっと頷いた。

「そうです。多くは『火』の魔法や、その魔法を起こせる道具を使いました」

「でも……帝国は旧時代を否定していましたよね――魔法も嫌っていたんじゃないですか……?」

「ええ、嫌っていました。それは羨ましかったからです。王国に歯向かったのも、彼らが旧時代の魔法を独占し、国家を支配していると思っていたからです。その嫉妬の炎が、彼らが築いた穏やかなるものを焼いたんです」

嫉妬の炎――確かにそんなふうに評価する声もあるが、公的には政治への不満や反発を理由にしている。

まるで見聞きしてきたように言うと、彼は扉の前で立ち止まった。

「先ほどの本を刺激しないように、静かに作業しましょう。何かお手伝いできることや、おかしな事があればお声掛け下さい」

「は、はい。わかりました」

ロニは緊張気味に部屋の扉を開けた。

中はやはり静かだ。そうでなくては困るが、焦げ臭い匂いなど全くない。

タダ働きさせるのも気が引けたので、自由にしていいと告げると、彼は本棚を眺め始めた。同じ部屋に居るとは思えぬほど静かな彼を尻目に、ロニは手近な棚から記録と整理を始めた。最初はまた叫ぶ本があったらと恐々見ていたが、十分が過ぎ、二十分も過ぎると、そんなことが何度も起きるわけがない――そう思い直して集中できた。

同時に、チェックする本の世界観に引き込まれた。

本は良い。手元にあるのは子供向けだが、それも素直な美しさや教えがある。文字や絵で彩られた新たな世界は素敵だ。時に旅に連れ出し、時に見知らぬ者と出会い、心を弾ませ、言い得ぬ感動で包み込む。

「本がお好きなんですね」

不意に話し掛けられて顔を上げると、レンが微笑ましそうにこちらを見ていた。

つい、読みふけってしまった恥ずかしさに髪を搔き、本を閉じて苦笑いを浮かべた。

「最初は……実家を継ぐつもりで働いていたんですけど……本に関わる仕事が諦めきれなくて。勉強し直して……機会を待って、ようやく此処に雇ってもらえたんです。背を押してくれた妹のお陰で」

「優しい妹さんなのでしょうね」

穏やかな言葉に頷いた。実際は、額が床につくほど頭も下げたし、彼女も不承不承の承諾だったが、その心根には深い優しさがある。

「だからとは言いませんけど……此処に来た本は、大切にしようと思います」

そう言いながら、届いて来る本の納品リストをチェックしていると、ふと例の本は何処から来たのだろうと思い当り、該当する棚のリストを見て、ロニは首を傾げた。

おかしい。レンは聖書と言っていたが、それらしい本が無く、数も合わない。

忍び歩きするように例の本が有った棚の前に行き、床置きされた本を一冊ずつリストと照合していくが――リストの本は全て置いてあった。ところが、例の本は消去法にかけてもタイトルさえわからない。棚に有ったのだから、もっと前のリストか?

しかし、他の棚のそれを見ても、聖書が見当たらない。

「どうかしましたか?」

顔を覗かせたレンに事情を説明すると、彼も首を捻る。

「では……此処に有る筈のない本ということでしょうか?」

「どうでしょう……このリストを作成した送り主の間違いということもあるかもしれませんが……」

「そうですね。……ところで、此処に有る本はどういった理由で集められているのでしょう? 私はてっきり、損傷がひどいものが多いのかと思っていましたが、そうでもない物が殆どの様です」

「そ……そういえば……」

彼に言われて気付いた。傷んだ本しか無いとはいえ、あんなに焦げている本は他にはない。だって、此処にある本は……

「私も勤め出したばかりなのですが……この書庫に来る本は、各地で回収又は寄付された本です。あまり傷みが酷いと廃棄になりますが、多くは修復後に表の図書館に出すか、児童施設などに寄付し直すことになっています」

この整理作業は修復可能なものとそうではないものを分けたり、シリーズものが揃っているか、抜けたページが無いかなどを確かめる為の整理だ。

「そうでしたか。どうりで子供向けの本が多いと思いました……再利用する目的で寄付されたのなら、傷みも少ない筈ですね」

レンは棚に戻された例の本をじっと見つめた。本は微動だにしなかったが、それは本ではなく、何か恐ろしい獣が息を潜めているような気がした。

「ロニさん、あの本はこの書庫に意図的に持ち込まれたのかもしれません」

「な……なんの為に?」

「わかりませんが、もしかしたら――……」

言い掛けた刹那、ずっ――――と本が見えぬ力で抜け落ちて来た。視界の端で、レンがあの蝋燭消しを持ち上げるのが見えた気がしたが、あっと声を上げたかもしれない次の瞬間、ロニの目の前に爆発が起きた様な炎が燃え上がった。

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