♂男の娘のコの男の娘のこのコのこのこの擬態の娘っ☆

カミトイチ@SSSランク〜書籍&漫画

第1話 限界


――ドンドン、ドンドン!


僕は高校一年生。星川 秋人。身長151、痩せ型、色白。母親似の顔。


昔から女性のような顔をしていると言われていて、親、姉、妹、親戚、さらには幼馴染やコンビニの店員、散歩中のおじいちゃんにも言われるほどだった。えらいべっぴんさんじゃのう、つって。


中学に入る頃にはよりその傾向が強まり、家族からはアイドルのオーディションに応募すればわんちゃんあるのでは?と勝手に応募されたり、隣のクラスからも女男がいるとからかいにくる人が居るほどになっていた。そんな風に注目されている内に僕は人の視線が気になるようになってしまった。


だから髪を伸ばし顔を隠すようになった。中学二年の頃だった。


それが功を奏し僕は平穏な生活を取り戻すことに成功する。異様に長く顔を覆うほどの前髪で前とは別の意味で注目されるのは辛かったが、以前に比べればだいぶマシだった。おそらくヤバい奴だからかかわらないどこうという心理が働いていたんだと思う。


まあしかし、どんな理由にせよ僕は平穏な日々を手にすることに成功していた。


していた。そう過去形である。今現在その平穏な日々が終わりを迎える危機が発生している。


『まあ先生も気持ちはわかるけどねぇ......流石にその髪型は。せめて目元は出して欲しいかな。悪いんだけど月曜までになんとかしておいて?』


先日、先生にそういわれてしまったのだ。


――ドンドン、ドンドン!


扉を叩く音がはげしくなる。


「お兄ちゃん!まだ!?はやく出て!!漏れちゃうんだけど!!」


妹の声が家の廊下に響く。いや、家中に響くくらいの声量だ。もはや叫び声に近い。しかし今、この家にはたった二人だけ。トイレに籠もっている僕とその扉1枚を隔てた向こうにいる妹しかいない。だから別に家族からウルサイと苦情がくる心配もない。


「......は、早く、して......ぅうぅっ、くぅ」


苦しそうな妹の声。その声色からして本当に限界なのだろう。しかしこちらもこちらでまだスッキリしていない。すまんな、妹。


「......ど、どうせ、トイレしてないんでしょ......出てよ、は、はやくぅ!!......ひぃんっ、あっ......ぅ」


それはそう。別に僕は今排泄行為を行っているわけではない。ただ僕は悩みを抱えた時にトイレへ籠もる習性があり、それをスッキリ解消するまで出られない人間なのだ。


(本当に、ごめんな)


妹のためにも早く解決しないとな。中二にしてお漏らしはさせたくないし。


前髪を切らねばまた注意を受ける。それはそれで目立ってしまい良くない。ここは素直に従う他あるまい。だがしかし切れば切ったで素顔がさらされまたあの頃のように女顔だとイジられ続ける生活になってしまう。


どうすれば。仮面をつけて生活するか?いや普通に悪目立ちして注目されてしまう本末転倒だ。


うーん。


というかなぜイジられるんだ?いや決まっている顔が女っぽいからだ。じゃあなぜ女っぽいとからかわれる?......男、なのに顔が女。ギャップということか?


確かに男子の服を女子が着ていたら嫌でも目立ち噂になり、結果イジりにも発展するのかもしれない。一概には言えないが、それでもその可能性はある。


なら、完全に女子の服を着て女子に擬態すれば......?


「やる価値は、ある......!」


――ガチャリ。可能性を見出し、扉を開いたそこに見たものは。


「......」


へたり込み大人しくなった妹の姿だった。死んだ魚のような目で虚ろになっている。くそ、間に合わなかったか......。なんたる悲劇。こんな悲しいことがあっていいのかよ。


(でも、お兄ちゃんお前の犠牲を無駄にはしないからな)


僕は家にもう一つあるの故障しているトイレを激しく憎み、その場を後にした。




―――――――――――




【皆様へ】


お読みいただきありがとうございます。


登場キャラたちが色々ぶっとんでる物語が開幕しました。


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作品が高評であれば長く続けていきたいと思っています。よろしくお願いします。


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