妹(4)

 週に一度の程度のご馳走らしい以外は……普通の家庭料理だった。

 ただ、私の故郷では、お祝いやお祭りの時に出される風習が有る煮しめがテーブルに乗ってた事だけは覚えている。

「どうした、食べないのか?」

「ねえ、おじさん……おばさん……」

「もう、うちの子になったんだから、お父さん・お母さんでいいよ」

 叔母は、取り分けた料理を私の前に置きながら、そう言った。

「でも……私だけ、幸せになっていいのかな?」

「兄さんの事は、何とか手を考えてみる……でも……少し時間がかかるかも知れない」

「ねえ……兄さんの本当のお父さんとお母さんは誰なの?」

 いわゆる、マトモな修行を終えた「魔法使い」系なら、動揺から瞬時に平常心に戻る訓練を行なっている。

 どうやら……叔父さん 改め お父さんだけでなく、叔母さん 改め お母さんも、その手の訓練を受けていたらしい。

 でも……。

 ……。

「訊いちゃ……いけない事だった……?」

 私は、恐る恐る、そう訊いた。

「兄さんの本当のお父さんとお母さんの元に兄さんを返した方がいい……そう考えたのか?」

「……う……うん……」

 怒っている感じの口調じゃなかった。

 けれど……。

 厳しい表情かお

 真実を知ってから思えば……新しいお父さん・お母さんも……私がやった質問に対して、どんな表情で、どう答えればいいか判らなかったんだと思う。

「お前の兄さんの、本当のお父さんとお母さんは……もう居ない。兄さんの本当のお父さんの弟が、東京で仕事をしているらしいけど、連絡が取れない」

 あの年齢の頃でも、私の一族が少しも潔白でない事は、薄々は察していた。

 けれど……鹿鹿……。

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