史上最強の悪役貴族に転生した僕は主人公の友達になろうと思います!……えっ?幻の主人公の男の娘化BLエンド!?
リヒト
第一章 出会い
悪役貴族
ゲーム。
それを生涯においてただの一度もやったことのない人間など、現代日本においてはかなり少数になってきたのではないだろうか。
数多く溢れているゲーム。それらに付随する数多くの世界観、ストーリー。
もしも、貴方が自分の人生で最もやりこんだゲームに転生すると言われたら、歓喜するだろうか?
ゲームの種別によって大きく変わってくるだろう。
ほのぼのとしたゲームであれば、現代の疲れた日本人だったら歓喜するだろう。
だが、フロム民なんかは血の涙を流して、自殺を検討する勢いだろう。
ただ、それでも、少なくとも、自分の推しに会えることを喜ばぬオタクはいないだろう。
かくいう、僕もその一人だ。
だがしかしっ!
推しに会えるという一点のメリットは、その他にある多くのデメリットをかき消せるだろうか?
「何で……」
例えばの話。
自分がRPGの世界に転生したとしよう。
それが生死のやり取りのある中世ヨーロッパ風の物語だったらどうだろうか?
まだ魔法とかがある分、そこに熱中してハーレムを目指してエンジョイできるだろうか?
「何でよりにもよってこいつなんだ……っ!」
それじゃあ、その転生先の人物がゲーム内に登場する人物だったらどうだろうか?
それも、主人公ではなく。
ヒロインでもなく。
モブキャラでもなく。
必ず殺されることが決められている悪役だったら?
果たして、貴方は自分の転生したゲームの世界を楽しめるだろうか?
「何もこいつである必要はなかったでしょーっ!」
僕は今、自分の前にある鏡へと映っている人物。
黒に一房、赤のメッシュが入った髪に血のように真っ赤な瞳を持った端麗な顔立ちをした五歳くらいの少年。
自分が一番やりこんでいたゲーム、黒い世界樹に登場する悪役の一人、グラース・アークライトを見て僕は怒りの声を上げる。
「というか、何で、僕はこんなところにいるのっ!?あれ?僕ってば普通に高校の帰りだったよね?……それに、なんかこの体で五年間生きてきた記憶とかもあるからめっちゃくちゃ違和感っ!」
ついでにその他もろもろの疑問も合わせて口にする。
「もー、どうなっているのっ!」
そして、僕はそれらすべてを交えて、この世界の不条理に対する困惑と怒りの声を大きく上げるのだった。
そう、まさに天にまで届かせるように……。
「大丈夫ですかっ!?お坊ちゃまっ!いかがなさいましたかっ!?」
「……何でもない」
届いたのは、天ではなくて、自分の記憶の中にもいる我が家の執事であった。
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