いけいけ勇者様87

最上司叉

第1話

「…」


勇者とおじいちゃんは屈強な男が居る城の前に来た。


【ギィィ】


重い扉を開けて中に入る。


【ブォンッ】


「!!」


勇者とおじいちゃんは咄嗟に横に避ける。


「来たか」


屈強な男が戦闘態勢に入る。


「参る!」


屈強な男だけではなくその部下も入り乱れての戦闘が始まった。


【キンッ】


【キンッ】


勇者とおじいちゃんで屈強な男とその部下を初めは相手をしていたが勇者対屈強な男。


おじいちゃん対その部下と戦闘が分かれていった。


「くくくっ」


勇者と戦っている屈強な男は突然笑い始めた。


「何がおかしい?!」


「前よりは少し強くなった、だがその程度で余に勝てるか!」


【ブォンッ】


「!!きた」


勇者は風圧を避けて反撃する。


【ドォォンッ】


勇者はおじいちゃんに教わった技を屈強な男に全力で叩き込む。


【ピシッ】


【メキメキ】


【ドサッ】


「…くくくっこれは愉快、余の鎧を砕いたか…!!」


屈強な男のオーラが変わる。


どうやら勇者は屈強な男を本気にさせてしまった。


「…ゴクリッ」


勇者は思わず息を飲んだ。


【キンッ】


【キンッ】


勇者はふと横目で戦闘中のおじいちゃんを見た。


「はぁあああっ!」


【ゴォォオオ!】


「ぎゃあああ!」


【ドサドサッ】


おじいちゃんは自分の周りに竜巻みたいな風を起こして屈強な男の部下を一網打尽にしたのだ。


「どこを見ている…」


「はっ!」


【がぁぁぁん!】


勇者は屈強な男の剣を咄嗟に剣で受け止めた。


「ハァハァッ」


屈強な男の一撃に勇者の手は痺れた。


強い。


「諦めるな!まだまだ行けるぞ!」


「はっ!」


勇者はおじいちゃんの言葉に我に返る。


ここで諦めたら国の人。


魔王。


仲間たち。


全て失ってしまう。


勇者は落とした剣を拾い構える。


「…くくくっいい顔だ…だが最後に勝つのは余だ!!」


【ガキィィンッ】


屈強な男の攻撃をおじいちゃんが受け止め勇者が渾身の一撃を屈強な男に叩き込む。


【ドゴォォンッ】


「ハァハァッ」


「…くくくっここまでとは…」


「まだなのか!まだ倒れないのか!」


勇者はもう一撃屈強な男に放とうとしたその時おじいちゃんが勇者を制した。


「もう勝負はついておるぞ」


「…?」


「大丈夫じゃ」


勇者は訳が分からないがおじいちゃんにそう言われて剣を収めた。


「勇者よありがとう」


おじいちゃんに礼を言われて勇者は安堵しその場に座り込んだ。


「…ぐぁぁぁっ!」


突然苦しみ出した屈強な男を勇者とおじいちゃんが見る。


「やはりな」


「?」


「なに、コヤツはワシと大して年が代わらないはずなのだが見た目が若すぎるんじゃ」


言われてみればそうだ。


おじいちゃんは見た目70代くらいだが屈強な男は50代くらいにしか見えない。


「…!!」


勇者は白衣の男を思い出した。


多分白衣の男は屈強な男の部下で屈強な男はヤバい薬に手を出してしまったのか。


勇者とおじいちゃんは屈強な男のしを見届けて城を後にした。


屈強な男の最後は身体から水分が無くなったかのようなシワだらけの身体になっていた。


「…」


「全て終わったぞ」


「…これからおじいちゃんはどうするんだ?」


「なに、住処に戻るのじゃ」


「…俺と一緒にっ」


勇者はそこまで言いかけた時おじいちゃんに制止された。


「有難い話じゃがワシには待ってる人がいるんでな」


「…そうか」


「ここでサヨナラじゃ」


「…あぁ」


「こんなところでモタモタしてて大丈夫なのか?お主にも待ってる人がいるんじゃろ?」


「はっ!」


「急ぐことじゃ」


「あぁありがとう!」


そして勇者は急いで魔王のところに向かったのだ。


「どれワシも急ぐのじゃ」


おじいちゃんは殺された姫と国王様に墓前で報告をした夜永い眠りについたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いけいけ勇者様87 最上司叉 @moemee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説