両手に花なんざいらね!

宇治鏡花@

プロローグ

拝啓、霞花子。

 俺は女の子が苦手だ。

 理不尽に怒るし、振り回すし、我儘だ。

 俺に女の子と言う概念、そのトラウマを植え込んだ女の子は今日も俺を巻き込む。

 そしてどうにも怒れない、うじうじした俺も問題だと自覚しながらも今日も今日とて幼馴染みの双子の姉に連れ回される。

 ギャルゲーやラノベじゃ鈍感や無知なのは一種のステータスであるが、現実は空気を読めないただのクソ野郎と非難されるだろう。

 こんな俺はそれが羨ましいと思うの──。

「なに黄昏てるの?」

「ぅぉ、じおぷ!!」

「はぁ? 意味不明なこと言ってないで来なさいよ、渡したい物があるから」

 隣の窓から身体を突き出している、外見だけは美少女の人物に気が付かれないように日課にしている日記の紙を手で隠しながら愛想笑いをして頷く。

 まったく情けないモヤシ野郎だと自分自身に罵倒しながら。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る