第28話 戻った?

私は、これから何が起きるのか

どのタイミングで離婚するのか…

あまり覚えていないことに不安になり、親友を呼び出した。

これまで、親友の告白を聞いてからずっと、これからの話や順調に進んでいる話等を、会う度にして来た。

だからいつも通り

「これからって、何が起きるんだっけ?私、肝心な離婚のきっかけが思い出せなくて…」

と話すと、親友は

「え?どういうこと?旦那と離婚するの?ま、その方がいいとは思ってたけどね」

と言った。

「え?タイムリープのこと、覚えてないの?」

と聞くと

「タイムリープ?何それ?なんか流行りの物?」

と言う。

「冗談だよね?」

と聞いても

「冗談じゃないよ。逆に、ゆうこが何を言ってるのか分からないんだけど」

これは…マジか…

忘れているわけじゃないな…

まさか!戻ったの?

戻るってあるんだ…

でも、それしか考えられなかった…


とりあえず、親友には話を誤魔化して

いつも通り、たわいもない話をして帰らせた。

戻るとしてもいつか分からないよね…

私も、57歳の私に戻りたいよ…

でも、私は死んだのかもしれないし…

戻ったってどうなるか…


私は、母が死んだ時も葬式が済んで落ち着いてから、初めて学校に行った時に、友達と笑っていたら

「ゆうこ、もう学校に来てる。しかも笑ってる。悲しくないのかな」

とか言われたり…

本当は悲しくても、ずっと泣いているわけにいかないし、心の奥にしまって考えないようにしていた。


元夫が逮捕されてニュースや新聞に出た頃の、社会情勢を覚えていなくて笑われたり…

記憶が飛んでいることがよくあった。

でも、なるようになるしかないか…

と思うしかなかった。

ただ、タイムリープを知っている

唯一の親友が居なくなったことが不安だった…


それから、元夫は仕事場の社長が通っていた飲み屋のママと知り合った。

私も、二男を連れて飲みに行った。

それから、元夫はそのママとよく連絡を取り合っているようだった。

私にも、色々相談したらいいよ

とママと連絡を取るように言って来たり…

でも、ママは私よりも3歳くらい年上の人で、敬語を使ってメールしてたら、なかなか馴染めなくて…いつの間にかメールしなくなった。


元夫は、前に警察署に連れて行かれた件で警察に呼び出されていた。

警察の呼び出しの前日

ママは、娘や孫を連れて家に来た。

その時に、元夫が

「これで暫く会えなくなるかもね」と言うとママは泣きだした。

私は、なんで泣くの?と不信感しか無かった。

こんな事があったような気がするけど…

本当にこれからの事を覚えてない…

でも、このママは元夫と何かあるな…と感じた。


翌日、元夫は警察署に行ったが何事もなく、帰って来た。

その後もママの存在はあったが…

よく分からないまま日々が過ぎて行った。


元夫は相変わらず帰りも遅く…

夫婦喧嘩をすることも増えて来た。

昔、兄嫁から

「思ったことを全部言ったら喧嘩になるから、心の中で言うようにしてる」

と聞いてから、それを実行していたが

私は、これまでのことで気持ちが大きくなり言い過ぎることも多々あった。

しかし、あまりにも元夫の行動がおかしすぎて言うしかなかった。


こうして夫婦喧嘩は、どんどん増えていった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る