第11話 逃避行
逃げ出した私たちは元夫の兄がいる四国へ行った。
兄の家に1日だけ泊まらせてもらい翌日からは、元夫の田舎へ行った。
そこで叔父や叔母に会い、数日そこで過ごした。
持っていたお金も底をつき私の父に頼むため電話をすると、後に結婚した、兄嫁が電話に出た。
様子を聞いてみると…
元夫がいた暴力団のオヤジが何度も訪ねて来たという。
兄嫁は妊娠しており…
後で、怨みつらみを言われたことを思いだしながら
「ごめん」とひたすら謝った。
父に電話を代わってもらい、お金を電子為替で送ってもらうように頼んだ。
父はブツブツ言いながらも送ってくれた。
私の父は、放任主義というか…
私の行動を止めたことがない。
どう思っていたのかは分からないが…
困った時は助けてくれる、そんな人だった。
それから私たちは、車で移動しながら求人誌を見て、住み込みが出来るところを探した。
そして、三重県のパチンコ屋で仕事をすることになった。
長男を見るため交代で働いた。
元夫はホール、私はカウンターで働いた。
しかし、そこも合わず給料を貰ったあとで逃げだした…
また求人誌を見ながら放浪し…
兵庫県の養鶏場に落ち着いた。
社宅があり、元夫は1日働いて私は長男と一緒に玉子を集める仕事をした。
生活も落ち着きつつあり、私は安心していた。
そのうち、元夫の免許の更新が近づいたので、元夫だけ故郷へ帰ることになった。
その日に戻るはずだった元夫は戻ってこなかった…
翌日には戻って来て新幹線に乗り遅れたと言っていたけれど…
怪しかった。
それから、暫くして
ある日、3人で故郷へ帰ることにした。
故郷の駅に着いた元夫は「行きたいところがある」といい、繁華街に向かった。
そこで、「人と会うからここで待ってて」と言われ、私と長男は待っていた。
なかなか戻って来ないので心配していると、そこに現れたのは、知らないおじさん…
「お父ちゃん、また悪いことしてるわ」
「今、逮捕したから」
それは刑事さんだった。
私は頭が真っ白になった…
やっぱり、同じことが起きるんだ…
私が止めたとしても元夫は、同じことをしたのだろう。
分かっていてもショックで…
実家に戻ることも出来ず…
その日は、高校の時の友達に電話をして
迎えに来て貰い泊まった。
朝、目が覚めて…
夢じゃないかと思ったけれど…
やっぱり、現実だった。
元夫、二度目の逮捕。
覚せい剤を買いに行ったところを捕まったらしい。
覚せい剤所持。
私は、実家に連絡をし帰らせてもらうことにした。
数か月に及ぶ、逃避行は終わった…
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