第4話 変わっていく私

中華料理店で働いた兄は、叔父と喧嘩をして辞めてしまった。

でも、シンナーに手を出すことはなく

車に興味をもつようになっていた。


帰りの遅い父、兄も家にいない。

寂しかったけれど、自由な毎日…

14歳になった私は、次第に学校からの帰り誰もいない私の家で集まって

みんなでタバコを吸ったりするようになっていた。

クラブも辞めてしまい、パーマをかけたり

服装も変わっていく。


そんな時、私は同級生に恋をした。

そして告白され、付き合うことになった。

凄く…凄く嬉しかった。

それなのに、私がタバコを吸うのを嫌った彼の言葉で彼のことを嫌になる。

未来でも、彼とはずっと友達で

友達の中でも特別な存在なのに…

彼と、ずっと付き合っていたらどうなっていたのかな…

と、何度も考えたことがある。

だから、未来の私は中学生の頃に戻りたいと思っていたのだ。

別れたいと言ったのは私だった。

どうせ私の人生は、これから

苦しい道のりになると分かっている。

このまま、別れなければ楽なんじゃない?

心が揺れる。

でも、今でも目を閉じると浮かぶのは

「あの人」だ。

人生が変わってしまったら、会えなくなるかもしれないのだから…

これから辛くなると分かっていても

私は行動するしかなかった。


それからの私は、先輩と付き合ったり

たまたま知り合った年上の人と付き合ったり

夜遊び、家出、学校からの保護者呼び出し…

友達と二人で先生を監禁。

どんどん荒れていった。


気持ちは大人なのに

恥ずかしい気もしたが、

今の自分は子供で…

根拠の無い自信だらけの不思議な感覚。

それはそれで楽しい毎日だった。


そして、15歳になった私に待ち受けていたのは受験。

学校も休んでばかりだったし

授業に出ても教科書を開いていない。

勉強も途中から、まったく分からなくなっていた。

それでも受験しなければならなくて、

受験先を決めた。

私立を2校受けるが、不合格。

それは知ってた。

これから私は、定時制の高校を受験する。

そして受かることは分かっていた。


受験の2日目に、担任から電話があった。

「私立高校に繰り上げ合格したから、そっちに行かないか

定時制に行っても4年も行くようなんだぞ、

辞める子も多いから、3年生の高校に行った方がいいと思う」

と言われたが、私は定時制の受験を受けた。


人生には、こんなにも決断を迫られる時が来るんだ…

苦しかった。

高校が違っていたら、人生は変わってたのかな…


過去に戻って人生をやり直すという話はよくあるけど

人生を変えないようにやり直さなければいけないのは

ホントにキツイな…

それでも私は、変えない選択をした。

これから、私の人生を辛くする

出会いがあると分かっていても…


「あの人」に会うために…

私は選択を変えたりしない。

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