第25話 クラスメイトの認識
「春姫さんはさ、そういう部分を感じたりしてるんじゃないかな? それに再婚したばかりだと家の中に他人がいるんだから当然気も使うし距離感? とかで悩むでしょそれに……これだけ視線を集めているんだから気疲れするよね」
「……」
「でも私以外にも目立っている子いるから平気よ」
「あーいるね何人か確か……ほらちょうどあそこに――」
まるで黄金を糸にしたような美しい金髪は太陽の光を反射して光輪を描いている。
キリリとした碧眼にたまご型顔、細く長い手足に抜群のスタイルは正に理想に妖精を想起させる。
「――フランスのオリヴィア・ゴティエさん。日本の高校に通いたくて留学してくるぐらいの日本贔屓で実家は旧貴族なんだって……」
「あっちにいるのはホンちゃんとクゥちゃんじゃない?」
「どっちがどっち? 右が韓国人の
ホンさんは、綺麗というよりは愛らしい背格好は性別を問わず庇護欲をそそる。
しかし可愛らしい容姿に反して胸が大きい。
私はその名前に聞き覚えがあった。
たしか県大会の時に近くでやっていた別のスポーツ大会のエースの名前だと記憶している。
対する
モデル体型ながら胸が大きく日本人の女の子の理想を体現したような体型だ。
「春姫さんもうかうかしてられないわね」
「それってどういう意味?」
「ミスコンの話よ。家のミスコンはレベルが高くてそのままアナウンサーやら芸能界入りする娘多いのよ……」
そう言えばそんな話があったことを思い出した。
『うかうかしてられない』とはそう言う意味だったようだ。
「そんな目立つ全員がウチのクラスなのよね……」
一週間も立っていない現状彼女達外国人は孤立傾向にある。
それに学年グループでも見た記憶がない。多分エックス(旧Twitter)で学年グループが作られていることすら知らないのだろう。
(私にも経験あるし……早いうちに話かけてあげよう)
と私は心に決めた。
勇気くんに話しかけさせるのも良いかもしれないわ。
勇気くんの予想外の仕上がりで私も気が抜けていたみたいね……反省しないと。
ゲームのように少しずつレベルを上げていかないと途中で心が折れてしまう。
そろそろ最初に仲良くする女の子を決めないといけないわね……
「ウチのクラスの男子が運動場で短距離走してるみたいだよ!」
橘さんは体育館の金属製の扉の向こうのグラウンドを指さした。
スポーツブラで厳重に保護された私の胸は平時に比べると揺れることなく、数分の反復横跳びに耐えてくれた。
体育館の下の小窓から運動場を見ていると丁度勇気くんが短距離走を走る準備をしている。
「何見てるの? あ、義弟くんか……足早いの?」
春休みの間中、水泳に筋トレ、ランニングと肉体改造に勉強と寝る間も惜しんで励んで来たのだ。
陸上部のスプリンターとは言わないまでも足はかなり速くなっているハズだ。
「……そこそこよ」
「あ、走った!」
ピストルの銃声が聞こえた瞬間、勇気君は走り出した。
一緒に走っているのはサッカー部、バスケ部など運動部経験者ばかり……
しかし……
「はっや!」
クラスメイトの声が聞こえた。
ほぼ並走状態。抜け出しているのはサッカー部の半田くんが先頭を走る。
レーンがあるとはいえサイドに誰かが走っていれば圧迫感は感じる。
続いてバスケ部の桜木くん後はほぼ並走している。
勇気君は三番手に位置している。
運動部カートにおいてサッカー、野球、テニス、バスケ、バレーは五大看板をなしている。
彼からに勝つか実力を見せれば一目置かれるハズだ。
しかしここで勇気君が加速した。
彼からは運動部とは言え未だ現役当時の感覚を取り戻すのには至っていないメンバーが多いようで、勇気君は一気に二番手に躍り出た。
「え! 男バスの桜木くんを抜いた!」
「もしかして半田くんに勝つの?」
先頭との差は人一人分、じりじりとその距離を詰め脚色は十分、半田くんと競合い追い比べている。
半田くんを交わし前に抜け出した。
そして僅かな差で半田くんを差し切った。
私は思わずガッツポーズをしてしまう。
「義弟くんが勝って嬉しいんだ」
「わ、わるい?」
「ぜーんぜん。悩んでるっている割には兄弟仲よさそうで良かったよ」
クラスメイト達も予想外だったようで……
「ガッチリしてるって思ったけど……運動できるんだ……」
「義弟くん……勇気くんってもしかして結構優良物件?」
クラスメイトの一部は顔を見合わせた。
やっぱり、目に見える成果というものは大きい。
つい先ほどまで名前すら憶えていなかった女の子が名前で呼ぶほど好意を示している。
やはり男女共に肩書……ブランドに弱いのだ。
少し気分が悪くなる。
「お手洗いに行ってくるわ」
「了解、先生には伝えておくね」
「ありがとう」
そうして私は席を外した。
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