第47話 

「私持ってるのButton'sだけだよ」


「まあ小中学生がメインで遊ぶゲームはButton'sで賄るからね……」


 今時複数ハードでゲームが出るなんて当たり前のことで、一つのハードを持っていれば発売の遅さはあれど、遊べないということは殆どない。

 女の子がメインで遊ぶようなライトゲームは、Button'sで十分だろう。


「そうだよね……男の子はゲームハードにお金かけるけど女の子は『ざわめけアニマルの森』とかぐらいしか遊ばないもの」


「『ざわ森』かは守備範囲外なんだよ……ポ〇モンとかは万里夫まりおはやるんだけど……」


 オンライン対戦要素のあるゲームは基本的に好きだ。


「そうだよね……それに、受験期間はゲームはあまり遊ばなかったからあんまりやりたいって思わないのよ」


「僕の場合は反動で昼夜逆転してやっちゃうタイプだけど……あっそうだ折角だから、パーティーゲームでもやらない?」


「私、負けず嫌いのわりにゲーム苦手だから遠慮しておくわ。それに私の場合、時間を潰すためのゲームばっかりだからやりこまないのよね」


 そう言った彼女の顔は物悲しそうだった。


ああ、下手だけど勝つまで「もう一回、もう一回」って強請って友達からやりたくないって言われたんだろうな……


「別に僕は気にしないけど……」


「ううん、いいの……それにさっきから少し気分が悪くて……」


 それって長風呂のせいでのぼせてるだけ……いや気圧の変化によるものだろうか?


「ああ、雨の日に体調崩す人って多いよな」


「普段はそんなことないんだけど……特にアノ日が重なると重くなるのよ……春姫さんはどうなの?」


「春姫さんの体調を事細かに把握している同い年の義弟とか嫌でしょ……」


「確かにそうね」


 同意するなら質問するな。


「常備薬ならあるけど要る?」


「ありがとう貰っていいかな?」


「どうぞ」


「ごめんね。具合悪い時、私ワガママで甘えん坊になるみたい……迷惑だよね?」


 甘えるような上目遣いで真っ直ぐに僕の目を見据えてくるドゥさんに、僕の理性は炎天下の下のソフトクリームの如く物凄い速さで溶けていく……


色即是空しきそくぜくう空即是色くうそくぜしき。煩悩退散、煩悩退散。


 毎度毎度、円周率や素数を数えていても仕方がないので今回は仏法に頼っることした。


「迷惑なんて思ってないよ。ほら、僕達友達だろ?」


 「僕を頼れよ」ぐらい言えると良かったのだが生憎と僕にそんなキザなセリフを言えるほどの度胸はない。

 むしろ痴漢被害者と助けた側という関係が無ければ、関わる事さえなかったであろう美少女に甘えられているとい事実だけでもお釣りがくるれべるだ。


「……ありがと」


 照れたような安堵したような、困ったような柔和な表情を浮かべて起こして上体をソファーに伏せる。

 年齢不相応な大きな胸のせいかやや上半身が浮いているようにも見えた。


「気を付けないと……」


 あと数時間どうやって時間を潰そうか……


 両の手で抱え込むようにマグカップに口を付ける。


「暖かい……」


「テレビでも見る?」


「その前に今日買った洋服の組み合わせを作りましょう? 勇気くんの部屋はどこかしら……」


「こっちだよ」


 ドゥさんを部屋に招き入れる。


「片付いているのね……」


「まあな……」


「ねぇベッドの下覗いてもいいかしら?」


「別にいいけど多分埃しかないぞ?」


「エロ本とかAVを隠しているものじゃないの?」


「いつの時代の話だよ……それと固定化された置き場所じゃ隠してるんじゃなくて置いてるだけだろ?」


「言われてみれば確かに……でもあたしは男の子の部屋に入ったらやって見たかったのよねトレジャーハンティング。インデ〇ージョーンズ見たいに……」


「そんな青少年キラーなインディ〇ジョーンズは嫌だ!! 素直にクリスタルスカル探して来いよ!」


「……でも見てるし読んでるわよね? 河川敷とかに隠しているのが定番だけど……」


「今時はスマホだよ! 絶対に予測変換と検索履歴だけは友達でも彼氏でも見てはいけない! これは絶対!」


「それまたどうして? 彼氏の好きなものを知っておきたいと思うのが乙女心じゃないかしら?」


「世の中には歪んだ性癖を持っている人は存外多いのさ……」


「流石HENRTAIの国ね……」


「纏足の足の匂いで酒を飲むようなド変態の国に言われたくない!」


「い、いつの時代の話をしてるのよ……」


「じゃあ僕は、洗濯物の様子見てくる」


 自室を離れ脱衣所に向かった。

 ドゥさんの洋服を触って乾燥具合を確認する。

 もう大丈夫そうかな?


「緊張する……」


 すると背後から声が聞こえた。


「緊張するのはいいけどさ、手早すぎない?」


「春姫さん居たの!?」


「居たわよ? 居たからこそ息を潜めてたの!? 勇気くんが帰って来たかと思えば女の子連れて帰ってくるんだもん。オマケにシャワーなんか浴びせてさ、デートからの即お持ち帰りってどんな手練手管してるのよ? めちゃモテ道ホントに必要? って思っちゃうわ」


「……なんかごめん」


「で、ヤるなら私引き続き息を殺してるけど……」


「しないって……それにそんなことしたらドゥさんの信頼を裏切ることになるし……」


「どうだか……」


「春姫さんよかったらさ、服貸してあげてくれない?」


「別にいいけど……本当にいいの?」


「?」


「そのままでいてほしい気持ちとそうじゃない気持ちでいっぱいよ……」







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