僕の本当の初恋!【ゼロ】
崔 梨遙(再)
1話完結:2500字
僕の初恋は小学1年生、同級生の女の子、恵だということになっている。小学4年生まで、僕は恵が好きだった。恵が僕の初恋の相手だった。ということになっている。それで、時々同級生から冷やかされたりもした。
だが、本当は違う! 僕は、全く別の女性に恋い焦がれていたのだ。
まず、父母の友人の千代子! 僕よりも20歳くらい年上だったので、出会った時は30歳未満だっただろう。第一印象は、“かわいい!”だった。7~8歳の僕が30歳近い女性をかわいいと思うのは変かもしれないが、僕はかわいいと思った。旦那様と子供がいた。旦那様が羨ましかった。小柄だったが、小学1~2年生の僕よりは背が高かった。最後に会ったのは高校1年の時、僕の身長は170センチくらいになっていた。その時、千代子の身長が150センチくらいだとわかった。その時、千代子は30代後半だったか? 相変わらずかわいかった。かなり若く見えた。僕は小学校の低学年の時、千代子と僕の結婚生活を想像した。勿論、小学校の低学年だから、Hな妄想ではない。僕はまだ男女がHなことをするということさえ知らなかった。
次に、亜子。やっぱり父母の友人。亜子も初めて会ったのは小学校の低学年だった。たしか僕より20歳年上で、出会った時は27~28歳だった。第一印象はやっぱり“かわいい!”だった。小柄なのは千代子と同じだったが、千代子とはちょっとタイプが違っていた。千代子は色白で華奢。亜子もスタイルは良かったが、華奢ではなかった。そう、2人ともスタイルも良かったのだ。後日、亜子の身長が152センチだとわかった。亜子も旦那様と子供がいた。千代子は控え目。守ってあげたくなるタイプだった。亜子も、控え目だったが、何故か輝いて見えた。どこか、千代子とは違っていた。違う魅力があった。僕は、亜子との結婚生活を夢見た。幸せな家庭を想像することが出来た。亜子も千代子も、家庭的で落ち着いた雰囲気があった。
そして、珉。父母の友達。初めて会ったのが小学校の中学年だったので、僕は9~10歳。珉はその時、35~36歳だったと思う。珉は亜子や千代子と違って背が高くモデル体型だった。スラッとしていた。脚が長かった。そして、胸が大きかった。後になって、珉の身長が166だとわかった。千代子は長い黒髪を後ろで束ねていて、亜子は肩より上で茶髪を揃え、時々、パーマをかけていた。珉はショートカット。珉の第一印象は、“かっこいい!”だった。珉との結婚生活も想像した。珉も旦那様と子供がいたけれど。
更に、理恵。こちらも父母の友人。小学校の低学年の時に初対面。スラッとした、スレンダー美人。出会った時、理恵は30歳くらい。第一印象は、“キレイ!”だった。キレイな長い黒髪を後ろで束ねていて、身長は159センチだった。理恵は、普通に振る舞っていても、どこか上品な雰囲気。僕は、理恵との結婚生活も想像して楽しんだ。勿論、理恵にも旦那様と子供がいたのだけれど。
初音。やっぱり父母の友人。僕よりも20歳くらい年上なので、初めて会った時は30歳手前だと思う。第一印象は“めっちゃかわいい!”だった。とにかくかわいい。身長154センチ。背は低いがスタイルは良かった。胸もあった。僕はまだ性に目覚めていなかったが、何故か胸は気になった。そして、例によって初音にも旦那様と子供がいたのだけれど、僕は初音との結婚生活も想像した。初音は家庭的な雰囲気で、やっぱり何故か輝いて見えた。
最後に、聖。最初に会ったのは小学校の低学年。聖さんは30歳そこそこだった。第一印象は、“めっちゃ、キレイ!”だった。目がパッチリして、多分、誰が見ても“美人だ!”と言うと思う。身長156センチ。スラッとしてスタイルも良かった。胸もあった。僕は聖にもメロメロになった。聖は上品だった。そして家庭的だった。聖にも旦那様と子供がいたのだが、やっぱり僕は聖との結婚生活を想像して楽しんだのだった。
というわけで、僕は親子ほど歳の離れた女性に心を奪われていた。だから、僕の本当の初恋は年上の彼女達だったのだ。小学校の5年生くらいから、ようやく同級生を本当に好きになることが出来るようになったけれど。
だが、困ったことがある。千代子、亜子、珉、理恵、初音、聖、この6人の印象が強すぎて、ずっと心の中にこの6人がいたのだ。20年くらい前に生まれて、この6人の誰かと結婚したかった。生まれるのが遅かった。僕は今でも時々この6人の女性を思い出す。これは恋ではなく、憧れだと思う。憧れだと思うのだが、恋人がいない時はこの6人を思い出してため息をつく。勿論、思い出すのは彼女達の若い頃の姿。
高校を卒業したくらいから、ナンバーワンの恋愛ではなくオンリーワンの恋愛するようになった。だから、本命の好きな人がいる時はその女性のことしか考えない。問題は、好きな女性がいない時だ。前述の通り、好きな人がいない時、僕はあの6人を思い出すので困る。
と、書いてみたが、実は書いていてものすごく恥ずかしい。この6人に対する憧れについて、誰にも話したことがない。小学校の低学年~中学年の時に、20歳くらい年上の女性に惹かれていたなんて、誰にも言えなかった。
でも、“作家は恥をさらしてなんぼ!”と思い、書いてみることにした。僕は7~8歳の時に20歳くらい年上の女性に憧れてたんですー! うわ! 恥ずかしい-! 20代になってから、ようやく“30代が好きだ!”と言えるようになったが、小学生の時は“30代が好きだ!”とは誰にも言えなかった(笑)。
でも、この6人のことは本当に好きだった。決して手の届かない存在だったけれど。そして、多分、これは“憧れ”だけど。40年続く憧れなのだ。幸い、この6人の年老いた姿は見ていない。だから、この6人の姿は若いままで色褪せない。こんな憧れの想いを抱いて良かったのだろうか? 悪かったのだろうか? 良かったのか悪かったのか、僕にはわからない。ただ、僕の本当の初恋はこの人達だ!
僕の本当の初恋!【ゼロ】 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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