リミットサイダー
@kawara-nadeshiko
第1話
橘月の早朝、ぱらぱらと人が立っている駅のホームをまっすぐに歩いて、いつもの場所で電車を待つ。まだ履き慣れないローファーの底が硬く感じた。ただぼんやりと目の前の色彩を眺める。跨線橋へと向かう反対側のホームの人々に視線を向けたとき、私は一瞬だけ、瞳を震わせた。
ーぽつぽつと歩く人の中に『彼』がいたからだ。
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