昔見た夢②

私の生まれ育った町は高低差が激しい山がちな土地で、実家は町の中でも小高いところに建っていたから庭からでも町を一望できた(ここまでは現実の話)。


その町が、全て水没している。

低い位置にあった家々だけでなく、周囲の林や山のような、実家より高い位置にあったものも含め、家と庭以外の全てが水の底に沈んでいた。

庭と自宅だけで構成された絶海の孤島のような状態である。


そこで私はただぼんやりと沈んだ街を眺めながら、庭の石段に腰かけて釣竿を垂らしている。

木の棒に糸を括ったのみで、餌もついていない釣竿だった。

その姿を三人称視点でひたすら映し続けているだけで、夢は終わった。



――――以下作者の余談

十五年ほど前に見たこの夢の光景がずっと忘れられず、私は今でも『水に沈んだ人工物』『廃墟』等のノスタルジーを感じる系の風景が大好きでイラストや写真を集めています。

いいですよねこういうの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る