とどめ

 信次はうなだれ、景満は激高した。真っ暗な船の中で。

「おのれ織田信長!現代の海の王者・シャチに変貌したのをいいことに、御実城様と信玄公を殺めた!この恨み、晴らさずにいられるものか!」

 景満の瞳は赤く光っていた。信次は泣くのをやめた。そして向こうにある二本の刀を指してこう言った。

「あの刀を見てくれ!」

 信次と景満は刀に近づき、それを鞘から取り出した。

「どうやらこれは、小豆長光と来国長のようだ」

 信玄と政虎が現れた。人間の姿である。

「この刀で、信長を倒してくれ」

「お前たちが信長を倒すことを期待して、我はここに刀を置いた」

「私にできるはずもございません」

「何言ってんだよ、景満!やってみないとわかんないだろ」

「ならば、倒してみせましょう」

「任しといてください!」

 武田信玄と上杉政虎の姿は消えてしまった。

「幻…だったんだろうか?」

「御実城様がおっしゃるにはやるしかない!行くぞ、信次!」

 一方、織田軍も兵卒が犠牲になっていき、残るのは信長と信景だけであった。

「火薬がもうなくなってしまいました。大砲も火縄銃も撃つことができません」

「相手は所詮、たった2人の人間だ。余に敵うはずもない」

 そう話していたとき、信次と景満がその船に乗り込んできた。 2人は刀を振り下ろした。

「覚悟しろ、この…なんだっけ?」

「マッドサイエンティストということにしておこう」

「そうそう、それだよ!おりゃ!」

 信景は首を斬られてしまった。

「信長は海の中にいる。どうやってこっちに引きずり出すか」

「そうだ、あれを使おう。信長は天下を取れなかったという事実を」

「それはいいな!信長、あんたは天下を取れないんだ、これは事実だ!」

 その挑発にまんまと乗った信長は、海から飛び出した。そこを2人が、信長の腹に刀を突き刺した。腹を切り裂いて、内臓に致命傷を与えた。信長は海の底に沈んでいった。

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