青春に心臓を捧げるまで

龍聖

第1話 決意

 この本を手に取ってくれているそこの読者の君は“青春”を味わったことがあるか。                                   彼女もいない、友達とバカ騒ぎもせず、教室の一番窓側の席にひっそりと座り読書をするそんな毎日。そんな風に内気に育った兄が交通事故で亡くなったのはつい最近のことである。通学中、赤信号無視の車に跳ねられ、意識不明の重体で病院に搬送された。そんな兄は息を引き取る間際、俺に「自分の人生を悔やんでいる」と苦笑交じりに語っていた。いや、「後悔」という単語ですら語弊があるかもしれない。どちらかといえば、そんな自分に苛立ちさえも覚えていたようにも見えた。


 そんな息苦しさを覚えない、楽しく悔いのない誰しもが一回限りしか味わうことのできない平等な人生。その中で青春の一部である高校生活を満喫してやろうと決意を新たにするのであった。


 「そもそも青春ってなんだ?」という定義は人それぞれだと思う。

 俺は彼女を作ったり友達とバカ騒ぎをしたり、色々な人間関係を経て作られる思い出こそが青春だと思う。常に自分の傍にあるようでない。掴めそうでも実態のないものだから逃げていくし、その行動に対し満足な結果を得られる人間ヒトは極僅かだ。ただ、青春が本当に思い出の総決算であるならば、今を全力で楽しめば結果として最高な青春が出来るはずなのである。


 しかし、現実で何か物事を成し遂げるためには常に等価交換が付きまとう。

 そのために準備に時間を掛け、ようやくスタートラインに立った。みんなと変わらない、どこにでもいるような一般pepoleによって描かれる青春ドキュメンタリーだ。俺の青春が読者あなたにとって、一つでも刺激になれば、それは俺にとって最も幸せなことだと言える。


 これは、新たに高校生になった青年が送る青春群像劇である。

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