生き恥と死に損ないのワルツ

とあかつ

第1話 裁判

  裁判長は、ゆっくりと口を開き、喋り始める。

「それでは開廷します。」

「被告人は前に出てください」

 1人の青年が証言台に、向かって歩みを勧め、静止する。

「被告人、絵心真守に対する大量殺人事件について、次の通りの判決を言い渡します。」

「被告人は死刑に処する。

 この判決に不服がある時は十四日以内に控訴することが出来ます」

「これで、閉廷します。」


 テレビのニュースキャスターが、次々と話を進める中速報が入り、慌てて速報の内容を話し始める。

「速報です。

未成年殺人鬼、絵心真守の死刑が決定されました。日本政府は未成年殺人鬼、二人目の死刑を重く受け止め、教育方針を大きく帰る動きに向かっています。」


 とある青年が独り言を言い始める、

「あ、やっちゃってるな俺、別に殺したくて殺してるんじゃないんだけどな、ネットやなんやらでは、快楽殺人者って、馬鹿馬鹿しい、殺しは手段だろ」

 独居房のドアが開き、そこに1人の中年男性が立っている。

「どうだ、死刑囚生活は、てかお前イケメンか?ムカつな」

 中年男性の目には、髪はくせっ毛で黒髪に、少し青メッシュが入っている、眉は細くぱっちり二重で、瞳の色は暗い青、鼻はシュッとしている、いわゆる美貌を持ち合わせている青年が映る。

「八つ当たりは良くないと思います。」

「その髪なに?染めたの?」

「いや、地毛です。」

「地毛で、メッシュて、」

「そんなこと話すために来たんですか?」

「あぁ、ごめんごめん、ちょっとね、話があるんだ」

「もしかしたら、死を免れるかもしれないよ」

 少しの沈黙の後、応答する。

「詳しく。」

「今流行中の病の話は知ってるね?」

「はい、B・E・Nですよね。」

「そうそれ、何とか自衛隊で駆除に専念しているんだけどさ、これ以上、自衛隊の人数減らす訳には行かないのだから、お試しとして君たちを使おうって訳、」

「リスクありまくりですね。」

「ただとは言わないよ、給料もそこら辺の富豪くらいには渡すし、安全だって保証するよ。」

「なんか、日本政府凄いことになってますね。」

「まぁ、君たちのせいでってところもあるけどね。」

「なぜ?」

「だって君たちが大量殺人をするから、少年法が消えかけそうになったんだよ、未成年に対する対応がガラリと変わってねぇ、こっちも大変なんだよ。」

「それで、手伝えと?別にいいですけど」

「おっ!なら早速、ここから出てこの住所に行って。」

中年男性から紙切れを渡される。

絵心真守は紙切れを受けとり、書いてある住所に向かおうとするが、一度振り返る。

「絵はかけますか?」

「もちろん。」

絵心真守は、そのまま住所の場所へと向かう。

 紙切れに書いてあった場所は、モダン的なふうに出来た一軒家で、パッと見3階はあるだろうか、日本一稼いでる人が住んでると言われても、遜色がないほど豪華である。

 ―さすがに豪華だな、どんな絵が描けるか楽しみだ。


 絵心真守が、ドアノブに鍵を差し込み、扉を開けると……。

 クッションが急に飛んできて、顔面に当たる。

 思わず、情けない声が漏れてしまう

「ほら!ほら!こっちこいよ!ばーか!」

 クリーム色の天パ童顔の青年が、つんつん頭の25~30代程の男性を煽っている。

「てめっ、このやろ、待ちやがれ。」

 ワチャワチャした空気の中、本を読んでいる男性が仲介する。

「お前ら、客人だぞ、ちょっとは礼儀ってものをもて。」

 2人は喧嘩をすぐさまやめて、頭を下げる。

「そーりー!そーりー!」

「さーせん。」

 2人は適当に謝る。すると男性は怒ったように喋る。

「てめぇら……。」

 絵心真守が隙を見て話し始める。

「え、えっと〜、絵心真守って言います。一応そっち側です。」

 絵心真守の自己紹介が終わると、天パの青年が話し始める。

「え!そうなの?!何人殺したの?僕はね86981人!あっそっか自己紹介もしないとね僕の名前は沖田海集!よろしくぅ!」

「殺害人数も言うんですね、えっと俺は12692人です。」

 次に先程煽られていた20~30代ほどの帽子をかぶった男が自己紹介を始める。

「俺は、神代隼人って言うんだよろしくな、殺害人数は知らん、ってかなんで言わないといけない流れになってんだよ」

 沖田海集は、あまりの荷物の少なさに疑問に思う。

「ねぇ!なんでそんなに荷物少ないの?学校は?」

「俺は学校通ってないですね」

 神代隼人が見下すように話す。

「何言ってんだお前、死刑囚が学校行けるわけないだろ」

 沖田海集は少し怒りの表情を表す。

「なんだよ!この前は僕が助けて上げたのになぁ忘れちゃった?」

 沖田海集と神代隼人で、喧嘩ムードが漂う仲、ガタイの良い、20代後半ほどのワンバンで髪を結んでいる男性が仲介に入る。

「てめぇら、昨日だけじゃ飽き足らず、今日も罰を受けたいのか?あ?」

 沖田海集と神代隼人とは、焦ったように肩を組み合う。

「僕たち仲良いもんねー!、神代ー!」

「そ、そうだよな〜、海集〜」

 男性は、2人を軽蔑する目をして、絵心真守に話しかける。

「すまない、、うちの者が、でも悪い奴ではないんだ分かってくれ、。」

「悪い人達では無いのは何となく分かります。」

「悪い自己紹介が送れた 神宮寺鵠だ」

「よろしくお願いします。」

「仕事の内容は聞いてるか?」

「すいません、聞いてないです。」

「分かった、簡単に説明する、。」

「B・E・Nに感染したら、モンスターになるのは知ってるな?」

「何となくしってます。」

「俺らはその感染したモンスターを、排除するのが仕事だ、。」

「つまりモンスターを殺しまくれってことですね。」

「そういうことだ、。」

「それで、お前の任務は、私立處巍高校に入学して、そこにいるB・E・N感染者を殺してくれ、それと殺すところは極力隠せ…わかったな?」

「はい、あのー、それで偏差値の方は……。」

「偏差値で表すと、だいたい95くらいかな〜」

「あの、すいません、もう一度言ってもらっていいですか?」

「偏差値は95だ。」

―聞き間違いじゃなかった。

 沖田海集が、割り込んでくる

「僕はね!1発合格!凄いでしょ!」

 神宮寺鵠が、沖田海集の頭の首根っこを掴み持ち上げる。

「お前は少し黙ってろ、それで行けそうか?」

「任してください。」


 ―数ヶ月後―

「まじで死ぬかと思いましたよ。」

「済まないな無理をさせてしまって、。」

「真くんー!早くいこーよ!」

「分かりましたよ、ってもう行ってるし。」


END

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