実力を隠すためにわざと最下位をとったのに、世話好きな最強美少女たちが魔法を教えに群がって来るハメになった件~0点の異端児は結局無双させられる~
宇佐春人(旧緑茶)
第1章
0点であることをバラされた
王立魔法学園。
リメリア王国の首都、セント・リメリアに存在する王国屈指の名門魔法学校だ。
ここに入学を希望する生徒は国内だけにとどまらない。
入学するための条件はただ1つ。
選ばれること。
ただそれだけだ。
魔術を用いた占いによって入学者が決定する。
選ばれなかった生徒はどれだけ努力しようと入学することはできない。
一方で選ばれた生徒はどんなに無能でも入学できる。
試験や面接はもちろん、スカウティングや他者からの推薦といったようなものも一切行われることはない。
この学園に入学を希望する生徒にとっては不公平かつ理不尽極まりない選別だ。
いや、権力や金銭で入学の権利を得られないという点においてはある意味平等なのかもしれない。
ともかくオレ、ローランド・アクギットは幸か不幸か、その入学者に選ばれてしまったのである。
そんな方法で優秀な人材を集められるのかは疑問だが、開校以来、数百年の間に輩出した卒業生の顔ぶれは豪華だ。
歴代の王族、教科書に載っているような偉人、名を上げた冒険者などの名前がたくさんある。
少なくとも上澄みの部分の生徒が評価を得ていることは確かなようだ。
だが、学園側も入学者の能力は把握しておきたいらしく、筆記と魔術のテストが行われた。
筆記テストは魔法の知識を問うものが60問、教養問題が40問の100問。
魔術テストは自身の持っている魔力を測るだけでテストというより身体検査に近い。
このテストの成績はあくまでも参考であり、公表されることもなければ、その優劣によって入学後に不利益が生じることはなく、クラス分けにも影響しないとのことだ。
だが実力を発揮する気はさらさらない。
理由は単純。
優秀な魔法使いはどこの国でも不足している。
故に成績優秀者は王都の警備や冒険者ギルドで捌ききれない依頼に駆り出される羽目になる。
ならば、適当に手を抜いてやり過ごす他ない。
オレは普通の学園生活を送りたいだけ。面倒事に巻き込まれるのは御免だ。
だからこそ優等生になるのは何としても避けなければならない。
こうして試験で手を抜いて迎えた入学式の日。
「新入生諸君、入学おめでとう」
今年度から新しく赴任した校長が、形式張った挨拶でオレたちを歓迎した。
「と言いたいところだが、約1名この学園に相応しくない者がいる。先日の新入生テストにてあろうことか魔術試験、筆記試験共に0点で入学した無能が紛れておる」
ハハハ、一体誰だろうなぁ? そんな無能……
「その名を発表しよう。ローランド・アクギットだ」
こうしてオレの平穏な学園生活は1日目にして終わりを告げた。
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