知られたくない
黒猫
お腹のにく
社会人になったみおは、資格を生かして健康診断所で看護師補佐として働いていた。担当は腹囲測定。毎日200人くらいを15時までにこなすルーティンだった。14人のスタッフで回す予定が、数人が休むことも珍しくなく、7人でこなすこともあった。そんな時は課長も急遽参加するのだが、彼女(課長)はかなりのミスを犯す上、わざと意地悪をする人だった。
みよにとって最悪なのは、課長が身長測定に入ることだった。彼女(課長)の記入漏れが必ずあり、再度検診者に確認する必要が出てくる。それがないとみよの検診に不備が出るので二度手間になるのだ。上司の課長に指摘しづらく、我慢する日々が続いていた。一つ一つはたいした時間ではないものの、200件を超えると時間との勝負で1分、1秒を争うのだ。
さらに、課長はカルテを30単位で一気にみよの前に投げ込む。通常はカルテは一つ一つ次の看護師に回して検診を進めるものだが、課長だけは一気によこす。これは明らかに嫌がらせだった。
そんなある日のこと。ある検診者から「腹囲の測定値が会社にバレると恥ずかしいから測りたくない」と言われ、「ちょっとお待ちください、確認してきます」とみよは先輩の看護師に確認しに行った。
「そういうことは課長に聞くべきだよ」と先輩看護師に言われ、しぶしぶ課長に聞きに行った。「課長、検診者の方で、腹囲測定値を拒否されているんですが、どうしたらよいでしょうか?」
「わかりました」と言うと、課長はどこかに行き、数分後に戻ってきた。その後、検診者と話していたが、急に課長が怒り出し、「あなたの責任ですからね、今後のことを考えていただきます」と怒鳴った。
何が起きたのかわからなかったが、検診者が何かみよの方を向いて言ったのが原因のようだった。それにしても、責任を問われるのはおかしいと感じていた。
お昼休憩の前に呼び出されたみよ。「検診者の方が会社にバレたら恥ずかしいって言っているのに、会社に電話をしたので、お客様は完全に怒りました。あなたには、今後どうするか考えてもらいます」
「…えっ?あのっ…私が悪いのでしょうか?」(課長の判断で測定者の会社に電話を課長がかけたんじゃ…しかも別に測定値が恥ずかしいとは会社に言っていないからお客さんも激怒する必要あったのか?)いろいろおかしい。
「それに、あなたいつも私がわざといじめてたのに平然と仕事をこなすから頭にきてたのよね」
「……わかりました。」
その後、部長に今回の事実を伝えると、他の部署への異動を提案されたが、休憩室も、ロッカーも出勤時間も同じは耐えられないと思い、みよは辞める決意をしたのだった。
みよはその後、新たな職場で笑顔を取り戻し、心の平穏を手に入れた。自分の価値を理解し、周囲に支えられる大切さを改めて感じた日々が続くのであった。
知られたくない 黒猫 @tanokuro24
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