第12話

 2人ベッドの上で目を覚ますと下着を着て魔装をまとった。


「魔石で魔装を強化したい」

「うん、いいよ」


 テーブルの上に魔石を出した。

 そして魔装に魔石を押し付けると魔石が吸い込まれた。

 これで強化完了だ。


 魔装の強化は武具強化の効果を持ち強化しないと攻撃力と防御力不足になりがちだ。

 俺はすべての魔石を使って魔装を強化した。

 モンスターの魔石も、盗賊が持っていた分も全部使ってまだ媽祖強化がマックスにならない。


「まだ足りないよね?」

「そうだな、どのくらい必要かステータスを見られないから不便だな」

「池に大金貨10枚を投げてみよう」


 これもお金を稼ぐ裏クエストだ。

 大金貨は日本円で1枚10万円程度の価値がある。

 もし誰かが裏クエを進めていたら池に金を捨てる事になる。


 でも成功すれば大きくお金が増える。


「行ってみよう」


 2人で街はずれの池に向かった。

 池に盗賊を倒して稼いだ大金貨10枚を投げ入れた。


 すると水の精霊が現れる。


「あなたが落としたのはこの大金貨10枚ですか? それとも大金貨100枚ですか?」

「大金貨10枚です」

「正直者のあなたには大金貨100枚を上げましょう」


 大金貨100枚が空を浮いて俺の目の前に落ちる。


「ありがとうございます」

「正直者に幸福を、では」


 水の精霊が消えた。


「やったね」

「これを魔石に変えようか」


 俺達はギルドに行って大金貨100枚の内50枚を魔石に変えた。

 そして2人で魔装を強化する。

 スレイアはすぐに魔石を吸収できなくなったが俺は手に入れた魔石をすべて魔装に吸わせた。


「まだ強化できるんだね」

「ここまで来たら全部強化したいよな」

「ギルドを出よう」


 俺はピンと来た。


「まさか、デュラ」

「ダメダメ、言っちゃ駄目」

「そう、だな」


 2人で外に出た。

 周りに人がいない事を確認する。


「デュラハン教の支部に殴り込みをかけるんだよな?」

「うん、でもみんなにはバレないようにしよ」

「そうだな」


 デュラハン教はこの世界にある宗教団体で国も警戒はしている。

 だがデュラハン教は堂々と拠点や支部を構えている。

 国も本格的にかかわりたくないのと、デュラハン教を潰せば裏で悪い事をするようになる。


 日本に暴力団の事務所があるのと同じイメージだ。

 この世界はゲームではない。

 個人が目を付けられれば追い詰められて厄介な事になる。


 なので皆には何も言わずに乗り切んで1人残らずデュラハン教信者を倒す必要がある。

 あいつらはテロリストだ。

 デュラハン教討伐は昨日倒した人さらいの盗賊より難易度が高い裏クエになる。

 そしてデュラハン教は状態異常攻撃を連発して来る。


 闇魔法が弱いとされているとはいえ連続で状態異常が決まれば厄介、そう言った意味で昨日の盗賊よりも厄介なのだ。

 俺達はデュラハン教に向かった。




【デュラハン教司祭視点】


 司祭である私は皆が祈りを捧げる中前に立った。

 そして両手を広げて大きな声で言った。


「我々は迫害を受けています! 我らが何をしたというのでしょう!? 何もしていません! 皆厳しい試練を乗り越え苦労してきました! ですがこの街も、国も闇属性を低く評価します! そして我らデュラハン教を迫害します!」


「我らは迫害した皆に思い知らせてあげる必要があります! さあ、デュラハン様のご神体に闇の魔力を注ぎ込むのです! 魔力を注ぎ込めばそれだけデュラハン様の目覚めが近くなります! デュラハン様がお目覚めになれば我らを迫害した皆に思い知らせることが出来ます! そしてデュラハン教のみんなが、皆さんが救われるのです!」


 デュラハン教の忠実なシモベがデュラハン様のご神体に闇の魔力を注ぎ、礼をして席に戻っていく。

 複数の支部で闇の魔力を集めればデュラハン様が復活する。

 早く、早く我らデュラハン教を迫害したみんなを殺して分からせてあげたい。




【ノワール視点】


 

「昼前だけど、夜に奇襲をしなくていいのかな?」

「いいんだ、こういう時間の方が相手が油断している、まさか昼に攻撃されるとは思わないだろ」


 街の外れに木で建物を隠すように木造2階建ての建物があった。

 大きな木の扉を蹴って開けると黒いローブの信者たちが一斉にこっちを見た。

 前にはデュラハンのご神体があり、2階の脇にも祈りを捧げる席がありそこにもデュラハン教の信者がいてこっちを見た。

 数は30人を超える、ゲームでは途中から扉を開けて敵が増えて50人程度を倒す事になる。


「きゅ、急に何ですかな?」


 俺とスレイアは手はず通り状態異常解除のポーションを飲んだ。

 ポーションや状態異常解除のポーションはじわじわと効果が続く。

 あらかじめ飲んで置けば状態異常を受けても即、治療が始まるのだ。


「スレイアは上を! 俺とサーバントは下にいる奴を倒す!」


 俺は前にいたデュラハン教の信者を斬り殺した。


「ぎゃあああああああああああああ!」


「セブンランス!」


 スレイアは上にいる信者を氷で貫く。

 完全に奇襲だ。

 だがデュラハン教はゲームでデュラハンを作って人々を惨殺する。

 今のうちに敵勢力を削いでおく意味もある。


 このゲームは敵勢力が多い。

 デュラハン教の他にもダークネス家・生産者ギルド・盗賊・暗殺者ギルド・魔族と敵が多く奇襲から内政的な嫌がらせまで様々な事をしてくる。


「デュラハン教を貶めようとする異端者を殺せええええ!」


 俺は叫んだ男の首を跳ねて殺した。

 更にサーバントが信者を倒していく。

 扉から出てくる信者も即殺す。


 そしてこの建物をくまなく探して信者を皆殺しにした。


「なんかさ、思ったより状態異常の魔法を撃ってこなかったよな?」

「うん。訓練した後で疲れてたのかな?」

「かもしれない。さて、残るはご神体だ」


 デュラハンのご神体を破壊すると仲から大量の魔石が出て来てそれをストレージに入れた。

 そして首の兜に手を入れて取り出すと黒いオーブがあった。


「おし、建物に火をつけて隠れて帰るか」

「……強盗をしている気分だよ」

「慣れてくれ」


 デュラハン教の支部に火をつけて証拠を隠滅し、そしてスレイアの家に帰った。

 魔石で魔装を限界まで強化出来た。

 そして黒いオーブを手に入れた。


 今出来る裏クエはすべて消化した。


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