助けて【現実世界では誰にも理解されなかった、鬱と病みの狭間】

自分って男なのか女なのか【拡張版】

　体は女、心は男。

　自分の性別を女から男にしたい、あるいはした、そんな人のことを「ＦＴＭ」と呼ぶ。

　反対に、性別を男から女にしたい、したという人は「ＭＴＦ」である。

　大衆から見れば少数派の部類に入るから、稀有（けう）な人間だ、と思うかもしれない。

　が、当人たちにとっては、自分の性別を変えたいと思うことは当たり前だし、むしろ今の性別で満足している人が不思議に見えるかもしれない。

　少なくとも吾輩はそうだった。

　どうして女子が心の底から「女子」として可愛くいられるのか、解せぬ自分がいたのである。

　あと、最近の流行も腑に落ちない。

　なぜ「かわいい」が絶対主義みたいな事態になるのか、いまだに理解ができない。

　最近、流行りの曲で、たとえば。

　可愛くてごめん、とか。

　好きっちゅーの、とか。

　わたしの一番かわいいところ、とか。

　最上級にかわいいの！　とか。

　とにかく「KAWAII」を全面に推している曲がある。

　吾輩も聴くのは好きだし、ミュージックビデオのイラストや曲調も可愛くて、それは全く問題ない。

　解せぬポイントは、歌詞が怖過ぎる、ということ。

　可愛くてごめんには、前向きでよい歌詞もある。むしろそれしかないレベルで、名言だらけの歌だ。

　歌詞が怖いのは、わたしの一番かわいいところと、最上級にかわいいの！　だ。

　わたしの一番かわいいところ、なら。

　君（多分、彼氏とか？）にとっての自分が一番可愛いから、他の子や何かを「可愛い」と思わないで、そんなの有り得ない、って歌詞がある。

　最上級にかわいいの！　なら。

　君にフラれたことで、自分が可哀想に（これが可愛いってこと……？）見えるでしょ、自分をフった元彼にザマァ、みたいな……？

　推しが強すぎて怖すぎるんだが。

　可愛いを追求しすぎだろ……怖いって……！

　※いや、好きなんだけどね。……FRUITS ZIPPERのノエルちゃん！

　話が脱線したので戻すと、最近の「可愛い」は「推しが強すぎて怖すぎる」ので、そこまでやる必要ある？　みたいな感じで「解せぬ」のだ。

　そして歌っているのはみな、女の子である。

　むしろ男が歌ってたら……みたいな歌詞がチョロチョロあるが、吾輩は心が男だしそういうの理解できるのでそうは思っていない。あくまで人様の意見である。

　可愛い男子も増えているから、吾輩も可愛くあればいいやん？

　……いや、吾輩がやっても、可愛い女子にしかならんねん（だって体は女だから）。

　どちらかといえば「カッコよくありたい」タイプなのだが、今の風潮が風潮で、様々な問題が起きるのである。

　服屋にて、吾輩のサイズの女児用服売り場に行ったとすると。

　……何だこれ。可愛いやつしかあらへんの！？

　かといって男子を見れば、天下のNIKEやPUMAがデデデンのＴシャツしかないことがよくある。

　男子はその辺のスポーツ用具会社に任せとけって感じなん？

　ただただ「カッコいい」を濃縮・凝縮したような服が欲しい。

　それは「カッコ可愛い」とは違う。難しい。

　世の中、マイノリティ側には上手く回らない。

　それは「推しで病む」もそうだし「人間関係の崩壊」もそうだし「ＦＴＭ」もそうだし。

　吾輩はこれらの条件に当てはまる。全人類の何%なんかな……。