第10話 ポカン

この私がこれほどまでにかわいさに打ちのめされるとは。


つぶらなおめめ。ポカン系最上級のお口が我が理性を蕩けさせる。


いかん。ずっと見つめていると使命を忘れそうだ。


「ヒマリン、どうやって作ったの?」

ミツキも心を奪われている。


「うずらの卵にケチャップで顔を描いたのですわよ」


そんな単純なことなのか?


「本当にそれだけか?」

「それだけですわよ」

「海燕の巣も海獣の角もいらぬのか?」

「いらぬですわよ」


ウララも来た。

「ヒマリン、一つもろてもええか?」

「もええですわよ」

言葉の切り方がおかしい。



「私も、私も。あーん」

ミツキも口をポカンと開けようとするが、ホヤの赤ちゃんには到底太刀打ちできぬ。

いや、食すのか。


もぐ、もぐ、もぐ。

もちろん私は食さぬぞ。ミツキとウララだ。


「どうだ?」

「うずら卵にケチャップは合わへんな」

「ホヤの味がしない」


そりゃそうだろう。

そんな我々をよそに、苦しんでいるものが一人。


「う、食べれないのだ」

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一条ユミナ、17歳。元宇宙の大魔王は不愉快である。 いもタルト @warabizenzai

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