第5話 花火を見に行きましょう
七月七日の夜。
麻美子は優一を誘い近くの臨海公園でおこなわれる花火大会に来ていた。
カツカツカツ(下駄の音)
はあっはあっはあっ……(荒い吐息)
ごめんなさい、優君。待ったかな。
優君も今来た所なの。そう、なら良かったわ。
浴衣の着付けに思ったより時間かかっちゃってね。でもほら、かわいいでしょう。
クルクルカサカサ(衣擦れの音)
うふっかわいいって。それって浴衣のことかな? 私のことかな?
どっちも、あはっお世辞でも嬉しいわ。
ほらこの胸の所見てみてよ。
この浴衣ね、金魚柄なんだけどこの胸の所だけ出目金がいるんだよ。ほら良く見てみてよ。
どうしたの優君、顔赤いわよ。
そうだよね、今日も暑いものね。
さあ臨海公園にいきまか。もうすぐ花火が始まるわよ。
カツカツカツ(下駄の音)
カツカツカツ(下駄の音)
カツカツカツ(下駄の音)
ザワザワザワ(雑踏音)
ザワザワザワ(雑踏音)
優君、すぐい人だね。さすがは花火大会ね。
仕事終で疲れてるのについてきてくれて、ありがとう。漫画のシーンでね、ちょうど花火のシーンがあるんだよね。それで取材もかねて行きたいなって思ってたのよ。でも一人で花火大会って寂しすぎるじゃない。だから優君が来てくれて本当によかったわ。私ね、楽しみすぎて張り切りすぎて浴衣一式買っちゃたのよね。
優君に浴衣姿見てもらえてうれしいわ。
キャッ!!
ドンッ(人とぶつかる)
すいません(ぶつかった人が謝る)
いえいえ、こちらこそ。
ねぇ、優君。お願いがあるんだけどいいかな?
こんなに人が多いんじゃあ、さっきみたいにぶつかったら危ないじよない。
だ、だ、だから手をつなぎませんか?
ギュッ。
ありがとう、優君。じゃあ、遠慮なく腕につかまらせてもらいますね。
ギュッギュッ、ムニュッ。
うん、どうしたのまだ優君、顔が赤いわよ。
人にぶつかったら危ないからね、もっとくっついてよ。
ギュッギュッムニュッ。
ほらほら、もっともっとくっついてよ。
そうそう、ちゃんと密着してね。
これはぶつかったら危ないからよ。遠慮なく私にくっついてよ。そうそう、ギュッとしてね。
夏なのにこんなにくっつくなんて、おかしいね。
うふふっ……。
カツカツカツ(下駄の音)
ザワザワザワ(雑踏音)
ほら、ここよ。ちゃんとスペース予約していたの。だって優君と一緒にゆっくり花火が見たいじゃない。
それでは花火が始まります。皆様、どうぞお楽しみください(女性の声の放送音)
優君、始まるって。
ザワザワザワ(雑踏音)
ザワザワザワ(雑踏音)
ドンッドンッドンッ(火薬の破裂する音)
すごい海が燃えてるみたい。
幻想的だわ。これはインプットに最適だわ。
ドンッドンッドンッ(火薬の破裂する音)
ヒュードンッ(花火が打ち上がる)
キャッ、すごいよ優君。花火ってお花みたいなんだね。夏の夜空に咲く花だね。
これは創作意欲を刺激されるわ。
あっまた打ち上がるわ。
ヒュードンッヒュードンッヒュードンッドンッドンッ(連続して花火が打ち上がる音が響く)
すごいよっ優君。あれってナイアガラの滝をイメージしてるんだって。
玉屋鍵屋ぁー!!
ほら優君もやってみてよ。
玉屋鍵屋ぁー!!
そうそう大きな声出すのって楽しいよね。
ヒュードンッヒュードンッヒュードンッドンッドンッドンッ(さらに連続して花火が打ち上がる)
玉屋鍵屋ぁー!!
玉屋鍵屋ぁー!!
はあっはあっちょっと息切れ。
喉が渇いちゃった。
キュッキュッ(ペットボトルの蓋が開く音)
ゴクリッゴクリッゴクリッ(水を飲む音)
ほら、優君も飲む。
ゴクリッゴクリッ(水を飲む音)
あはっ間接キスしちゃったわね。
私と優君の仲じゃない。恥ずかしがらなくていいわよ。
優君、次は千発連続だって。
ヒュードンッドンッドンッヒュードンッドンッドンッヒュードンッドンッドンッヒュードンッドンッドンッドンッ(連続して花火が打ち上がる音が響く)
すごいすごい、火の花が舞い散ってるわ。儚いど綺麗ね。夢に人ではかないって書くけど夢をみてる人ははかなくないわ。ってこれ私の漫画のセリフなんだけどね。てへっ……。
今日はありがとうね。花火楽しかったわ。
また来年もきましょうね。
指切りげんまんハリセンボンのーます!!
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