10代から20代の時に書いた詩(15)

天川裕司

10代から20代の時に書いた詩(15)

「個人」

僕の生きた跡、全然凄くない。だけど、最後の一言。僕の生きた跡は凄いと言いたい。


理想の女(ひと)が心に居ると言うのに、その女(ひと)を差し置いてこの現実の女を愛するなんて。そんな下らない事する筈ないと思ったのに、欲があるのは何故。同じように生きてる僕だからか、この現実の人の傍(そば)に居る。仕方なさと絶望と誘惑と善・悪。他人(ひと)も同じような事を考えたり出来るらしい。でも日が暮れて明日が来るのはやはり確かな事らしい。それを神がしているのだとしても。人には神のお考えは解らずにその結果だけ解ろうとする。欲にだけは溺れたくない、と生まれた時思い込んだのに、その夢の無さを現実は笑う。僕は人間、快楽も幸福も不安も全部一時的なものらしい。永遠に続くものというのはこの世には無い。それが僕を幸福に導いてくれるのだろうか。偏見だと言う僕は沢山居る。いつもの変わりつつある自分が僕なのだ。


「時代」

〝深く考えるな〟そう言う人を僕はいつしか、敵だと思っていた。


恋愛ゴッコは僕一人でしたいた。現実と僕は違うんだ。こんな類と一緒になりたくない、と言うのが本音。そう信じたい。結局欲望が勝ってしまうんだ。欲しいものが手に入らないと泣き出してしまう子供と同じ、理性など不幸なのだ。僕からどうか欲望という欲望全てを取り去ってほしい。そう思う事すら欲なのか。


問題は僕を誰が見ててくれるか、だ。神様。―――――いやでもこの場所で僕と同じフィールドで見てくれる奴が欲しい。僕の中に居てくれる人だ。そいつが僕が生まれた理由であるように、人を越える。今の現実でそんな奴は居ない。居て欲しくない。それがいい。寝てても大丈夫な愛する人、僕が創ったその人以外、誰も見たくない。見るだけ僕の欲が肥える。いっそ死にたいと思う程、その意味の無さは怒りを増す。何の為に、僕は生まれたのか。そう思い返す事を早くやめたいのだ。唯その人が目に見える形で在ったなら、この世でもう少し奇麗に生きられた。


真っ白さ、の中に一人置き去りにされ、僕はまた誰に見られているかを気にした。僕の癖だというのか、全てを殺して寝転がってしまいたいのだが、生き続ける以上痛みが伴って来る。歌手は、歌う気があっても歌が上手くなければならない。気持ちは現実に沿えない。今僕は色んな場所に居て、その上を時が流れて行く。誰に見られてもいい、と覚悟を決めるまで一生掛かりそうだ。この短い命が尽きて僕のしたかった恰好の付け方、やっと出来るのか。そんなものだと投げ切っても、やはり哀しい。悲しい時は真っ白さの中に、と、いつかの口癖は今も続く。僕の命とこの周りの命との関係は?皆兄弟では?姉妹では?見ちゃいけないものは見てはいけないの?誰も迷惑しなくても常識でおかしいと思われる事はすると『格好悪い』の?どんな神秘性を持ってても、その人とは幸福になれない。そんな歯痒さは生きてる限り続くのか、他人の為に生きたくない。こんな傲慢な輩の為に生きるのなんて真っ平だ。弱い人の為に。他人に見られる恰好なんて糞喰らえだ。それを殺したい。


誰も壁を破らない。いつも会話の始まりの壁を破るのは俺だ。悔しかったら俺に話し掛けてみろ、誰も居ないんだ。周りに人間が居る意味が無い。みんなモノクロだ。


俺に説教出来る奴なんて一人も居ない。


今は女とハイエナの時代。良い時代なのだ。だから善者は少し影で居なければいけない。影は光が差し込まれない為、その悪者に虐められ易く、生き難い。その影に耐えられない者は死を選ぶしか無い。人を殺せば馬鹿なことに警察に捕まってしまう。弱者は耐えるしか無い。結果しか見なくて、限りなく幼稚な今の若者は、無様な世間を作ってしまった。それでも気になる周りの光影は心を苛立たせる。何故に神が居ながらこれ程に幼稚な世界なのか。これが人間の結果か。皆、骨抜きに成って、骨がある者もやがて骨抜きに染まって行く。女よ、清々生きろ、楽しく。


テレビで自分が思ってる事を言っている奴が居ても関係無い。俺はここに居るんだ。テレビで言っている奴は知らない奴。


言う事だけ大袈裟で、題材が無様だ。


地上で、男・女が楽しく遊んで話をしている。

でも俺には関係ないんだから、きっぱり切り捨てなければならない。


男と女、両方の性を持ち合わせたい。そうすれば無駄な欲望はなくなる。


好きとか嫌いとか、僕はそう言うのから足を洗ったんだ。

一生独り身の淋しさを背負う事にもなるが、その分楽にもなった。

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10代から20代の時に書いた詩(15) 天川裕司 @tenkawayuji

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