~微弱乱調(ノイローゼ)の母性(はは)~(『夢時代』より)

天川裕司

~微弱乱調(ノイローゼ)の母性(はは)~(『夢時代』より)

~微弱乱調(ノイローゼ)の母性(はは)~

 分厚(あつ)い人壁(かべ)から耄碌して生く、旧い典型(タイプ)が人間(ひと)に表れ、幻(ゆめ)の果実がほとほと鳴くのは夢想の伝記の暖かだった…。過去の孤独が人間(ひと)に縛られ、不沈の陽光(ひかり)を好く好く観るのは、自己(おのれ)の両腕(かいな)の途切れた力の、程好い合間の成り行きにも在る…。

 未知に基づく広い幻想(ゆめ)から〝今日(きょう)〟に驚く微細振頭(ノイローゼ)が在り、分厚(あつ)い流行(ながれ)に気を好くする儘「無心の発破」を精神(こころ)に成すのは、幻想(ゆめ)の許容(うち)へと母性(はは)を描(えが)ける〝不頼〟に好く似た幻想(げんそう)だった。

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 お母さんはノイローゼに成って居るような夢を見た。原因は、阪神の優勝(TV番組が放送する)VTRと、父方の従兄弟の長男の(夢の中での最近の)在り方である。

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 精神(こころ)の向きから一女(おんな)の側(そば)から不法の援助が平々(ひらひら)転がり、小宙(そら)に疑う白亜(しろ)い理性(はどめ)は〝小さい輪舞曲(ロンド)〟を秘(ひっそ)り見て居た。一男(おとこ)に空転(ころ)がる不利の音頭が余りに拡がる孤独に映り、白亜(しろ)い景色を乱心(こころ)が漁れる男女(ひと)の小敗地(アジト)が転換して居た。女性(おんな)の精神(こころ)に感覚(いしき)が息衝く不為(ふい)のの孤独が連就(れんじゅ)を見付けて、幻想(ゆめ)の許容(うち)へと私労(しろう)を見守る人間(ひと)の自覚(かくご)が徒党を保(も)った。硝子に透れる空気(もぬけ)の小敗地(アジト)は無意味に微かを水面(みなも)を与(あず)けて、暗(やみ)の許容(うち)から私牢(しろう)を求める「一幻(ゆめ)の空気(もぬけ)」が屹立して生く。不尊(ふそん)が始まる白雲(くも)の空間(すきま)に人間(ひと)に費やす不当が息衝き、幻(ゆめ)の空気(もぬけ)を未知に繋げる〝不為の初め…〟に精神(こころ)を保(も)った。分厚(あつ)い無垢から女性(おんな)が空転(ころ)がり広い感覚(いしき)に未亡を保(も)つのは、一幻(ゆめ)の感覚(いしき)に走馬を見守る白亜(しろ)い経過を人間(ひと)から描(か)いた。分厚(あつ)い人壁(かべ)から人間(ひと)が表れ幻(ゆめ)に無口な人間(ひと)の角(かど)には模倣の人陰(かげ)など途方に保(も)って、脚(あし)の太さを気にする一女(おんな)は一人(ひと)に限れる空野(くうや)を行った…。明日(あす)に突き出る朗(あか)るい景色が一人(ひと)に暗(やみ)など段々観ながら、明日(あす)を突き刺す旧い早朝(あさ)など孤踏(ことう)に踏み入る不安を識(し)った…。紺(あお)い人絆(きずな)に宙(そら)を刈るうち孤高に息衝く無風の感覚(いしき)に精神(こころ)を失くせる枯渇を識(し)った。孤高に息衝く不法の人種は幻(ゆめ)に息衝く不解を知りつつ、無風に乗り出す阿呆の主宴(うたげ)は幻想(ゆめ)と奇怪の小敗地(アジト)を射った…。精神(こころ)の許容(うち)から幻想(ゆめ)を追ううち無重の柔らが既知を好く観て、分厚(あつ)い翳りを未屈(みくつ)に催す〝不甲斐〟の精華(はな)など一端(はし)から保(も)った…。幻想(ゆめ)の界(かぎり)に体裁(かたち)が織り成す夢遊の戦(いくさ)は女性(おんな)を従え、幻(ゆめ)の既知から不当を織り成す人間(ひと)の連想(ドラマ)は無欲に懐き、人間(ひと)の鳴く間(ま)に「丘」が偲べる「明日(あす)」の夕日をどんどん観て居る…。乱心(こころ)の形に無像を詠むのは男性(おとこ)と一女(おんな)の匂いに先立ち、幻想(ゆめ)の一重(ひとえ)に一体(からだ)が咲く程「徒労の全途(ぜんと)」は木霊を買った…。幻覚(ゆめ)の無知から体躯が忍べど精神(こころ)の感覚(いしき)は明日(あす)に伴い、私闘に織り成す文言(ことば)の最後は橙色(おれんじいろ)した〝夕日〟を背中に、孤高と弄(あそ)べる一重(ひとえ)の滴(しずく)は過去の〝日暮れ〟を立派に保(も)った―――。野暮な男性(おとこ)と野暮な一女(おんな)が未活(みかつ)に隠れた儀式を伴い、私闘の儀式に無限を見て生く昼と夜との精華(せいか)を識(し)って、手鏡(かがみ)に映せる夢遊の主宴(うたげ)は幻(ゆめ)の密(みつ)から真綿を彩(と)った。「明日(あす)の活命(いのち)」は真綿に揺れども乱心(こころ)の景色は過去を撰(よ)り見て、男性(おとこ)と女性(おんな)の景色の許容(なか)から私闘に溢れる〝丘〟を観て居り、孤独の盲下(もうか)と〝日々の様子〟に身塵(みじん)を表す愚鈍を識(し)った…。孤独に啄み女性(おんな)を相(あい)する浮浪の滾りは個録(ころく)を幻見(ゆめみ)て、幻覚(ゆめ)と微かな日々の流行(ながれ)に愛を委ねる愛露(エロス)を買って、白亜(しろ)い途切りに夜を培う私闘の連呼は提灯(あかり)を識(し)った…。呆(ぼ)んやりして居る精華(はな)の活命(いのち)は〝幻(ゆめ)と孤独…〟の日々に堕ち活き、明日(あす)の灯(あか)りを固陋に培う旧来(むかしから)観た〝哀れ〟に委ねて、幻(ゆめ)の色香(いろか)に景色を好く観る不等の歯切(はぎ)りをその掌(て)に観て生く…。旧来挿話(むかしばなし)の〝過去〟の許容(なか)から暗い景色は御殿を拡げて、安い旧巣(ふるす)に安命(いのち)を培う私闘の自覚(かくご)はこの手を振った。精神(こころ)の様子を無駄に仕舞える不乱の勇者は御託を捕まえ、分厚(あつ)い人壁(かべ)から旧(むかし)を過ぎ生く普通の主観(あるじ)をその場に引き留め、安い淡路に一女(おんな)を寄せ得る未活(みかつ)の進歩をこの手に買った。孤踏(ことう)に爪弾く深意の定かは未来(さき)の意気地を暗夜(よる)に見定め、淡い吐息の過去に懐ける夢遊の主観(あるじ)をこの手に見送り、痩せた〝肴〟に未来を呼ぶのは「幻(ゆめ)に鬼畜の主観(あるじ)」であった…。過去に活き尽(き)る浮遊の様子は夢限(むげん)の文言(ことば)にその〝手〟を見て取り、白亜(しろ)い気色に現行(いま)を見て取る不法の主観(あるじ)を計算して居り…、或いは使途(しと)の許容(うち)から血路を繰り抜く夢遊の思乱(あらし)と同乗しながら、向日の夕日を孤独に培う〝日頃の家畜〟を機敏に観て居た…。紺(あお)い無知から独気(オーラ)を紐解く不義の要(かなめ)は見栄を紐解き「一人芝居…」にこの身を汲み取る夢遊の自然(あるじ)を横目に観ながら、曇り硝子の孤独の許容(うち)には「明日(あす)」を感じぬ勇気が透り、幻覚(ゆめ)の許容(うち)へと静かに漲る孤高の家宅は〝途切れ…〟を買った―――。幻覚(ゆめ)に静まる勇気の内から〝見様見真似…〟で女性(おんな)を気取れる、幻(ゆめ)に旧(ふる)びた過保護の空間(あいだ)は密(みつ)に安まる振度(しんど)を培い、家宝に適した活命(いのち)の滾りは自己(おのれ)の精神(こころ)の色香(いろか)を買った…。幻覚(ゆめ)に静まる集体(からだ)の意図から〝苦しい体裁(かたち)〟が感覚(いしき)を失い、幻想(ゆめ)と静寂(しじま)に美声(こえ)を描ける私牢(しろう)の一夜(とばり)は縁日へと逝く…。過去の〝成らず…〟を気色に向かわせ、私牢(しろう)の感覚(いしき)を精神(こころ)に詠むのは、自己(おのれ)の美体(からだ)に〝悪魔〟を失う一色(いろ)を掌(て)にした下弦を縁取る…―――。

      *

 ―――…母親は酷く真面目な表情(かお)をしながら、「あれが可笑しい、これが可笑しい」とVTRと長男の在り方を観ながら思い出しながらに言う。母親は炬燵のようなベッドに寝ながら、だった。そのVTRの中に、長男が出て来て、何か言って居たのかも知れない。

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 孤独を泳いだ男性(おとこ)と女性(おんな)は暗(やみ)の宙(そら)から自由を取り除(よ)け、〝紐〟を成さない「経過」の側(そば)から「無限」を引き出す漆黒(くろ)を出した。幻想(ゆめ)に拡がる無闇に寄り添い、人間(ひと)の陰府路(よみじ)を独歩(ある)いて行けば、孤踏(ことう)に導く過去の八性(おろち)は私牢(しろう)に流行(なが)れる草木(くさき)を刈った。〝意味〟を知らない夢限(むげん)の精華(はな)には暗(やみ)の〝もどろ〟がその掌(て)を横にし、〝意味〟を刈らない魔法の小敗地(アジト)を延縮(えんしゅく)する儘その身を置いた。老いる女性(おんな)の哀しさから観て小宙(そら)の独創(こごと)はその手を牛耳り、暗(やみ)の身元へ感覚(いしき)を翻(かえ)せる広い大地を参拝して居た。漆黒(くろ)い儀式の節度と体躯は幻想(ゆめ)の身重の加減を知る儘、男性(おとこ)と一女(おんな)の感覚(いしき)を奏でる〝見様見真似…〟を精神(こころ)に保(も)った。孤高に羽ばたく〝近い美声(こえ)〟には、白亜(しろ)い霧など〝水面(みなも)〟を表し、低い白雲(くも)から未来(さき)を照らせる浮浪の恋慕を想定して居る…。個体を見付けた〝暗(やみ)の安堵〟は光と暗(やみ)とをその眼(め)に朗(あか)らめ、発端(はし)を知らない私用の御託は〝低い白雲(くも)〟から連々(つらつら)出て来た…。幻想(ゆめ)の女性(おんな)の行儀を知るうち無知の男・女(だんじょ)は木霊を探して、男性(おとこ)と一女(おんな)の活き抜く暗(やみ)から無限の孤独をその眼(め)に保(も)った―――。幻想(ゆめ)と個録(ころく)の強い儀式は〝座敷…〟の内から羽衣(ころも)を引っ張り、分厚(あつ)い一夜(とばり)に何にも見えない〝旧い様子…〟を孤独に培い、低い白雲(くも)から上手(じょうず)に成るのは加利須磨(カリスマ)から成る後光(ひかり)であった。加利須磨(カリスマ)から観た〝幻(ゆめ)の夜明け…〟を現行(ここ)まで追う内、暗(やみ)の目下(ふもと)で女性(おんな)を感じた無駄の利益は空転して生く…―――。未知の許容(うち)から身悶えして生く「固陋に逸した惨い連想(ドラマ)」は、限りを知らない無知の両腕(かいな)を〝涙〟に捧げて耄碌して活き、〝幻(ゆめ)の水面(みなも)〟を活性して行く旧い定規にその芽を彩(と)った…。幻(ゆめ)の枯渇を意図に持ち上げ、暗(やみ)に見限る不毛の小敗地(アジト)は、恋に焦がれた娘の所以(ありか)を不当に仕上げる自然(あるじ)に応じ、安い〝水面(みなも)〟で一人(ひと)を信じる固陋の感覚(いしき)を大事に保(も)った…。固陋の景色に矛盾を突き留(と)め〝野菜〟の紐から一人(ひと)が固まり、白亜(しろ)い理性(はどめ)を感覚(いしき)に保(たも)てる無用の滴(しずく)が勝手に競り出た。扶養に浮き出る密(みつ)の箍(たが)には私用の〝活き血〟に未完(みじゅく)が活き付け、自己(おのれ)を合せる文学から観た浮遊の朝陽に想定して居た。紺(あお)い四季(きせつ)に固陋が固まり〝浮遊して生く起死への幻想(ゆめ)〟には、明日(あす)に突き出る不論の月日(つきひ)と不通の自覚(かくご)が斬新だった…。無論の道理に家畜が芽生えて人間(ひと)の朝陽が曜日を知るのは、分厚(あつ)い人壁(かべ)から私牢(しろう)を想わす旧い活路が散在して居り、人間(ひと)に居着ける不法の主観(あるじ)は未知に佇む文言(ことば)を蔑み、或いは日に立つ無法の自然(あるじ)が不幸を逸して効果を保(も)った。自体(おのれのからだ)を体裁(かたち)に保(たも)てる旧い鼓舞から明日(あす)が活き発(た)ち、朝に活き着く不解(ふかい)の自然(あるじ)は未解(みかい)に保(たも)てる不頼に行き着き、初めて陽(ひ)に観た白亜(しろ)い佳日は男女(ひと)の孤独と一緒に成った…。白亜(しろ)い景色に〝佳日〟を見出せ「幻想(ゆめ)の気色」は移ろうけれども、悪しき芽に立つ旧(ふる)びた荒野(こうや)は自己(おのれ)の無残をそのまま費やせ、自分の精神(こころ)に無痛を匿う〝日々の感覚(いしき)〟に時間を識(し)った。人間(ひと)の許容(うち)から精神(こころ)を保(も)ち出す〝旧い自然(あるじ)〟は体裁(かたち)を見出せ、漆黒(くろ)い過去には男女(ひと)を相(あい)する陽(よう)の光沢(ひかり)を無心に落ち着け、分厚(あつ)い空壁(かべ)から〝一重(ひとえ)〟を癒せる不法の感覚(いしき)を充分買った―――。

 無毛に隠せる宙(そら)の〝佳日〟は人間(ひと)の感覚(いしき)を徒労に向かわせ、旧い「明日(あす)」から精神(こころ)を擡げる不論の感覚(いしき)に浸透して生く…。

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 …その母親の、何度も何度も繰り返す言葉を聞いて居たのが、俺と父親だった。初めは、何でそんなに気にするんや!?せんでええやろ!?とでも言ったように、軽くあしらい、又、何時(いつ)もの怒ったような怒張(どちょう)を交えた物言いで父親も(おそらく俺も)応えて居たのだが、段々、あんまり母親が親身に、同なじ事を奇妙な迄に何度も何度も余程真剣に言うため少し「…大丈夫か?」と言う〝…可哀相…〟にも似た不安を覚える気持ちが芽生え、俺も父親も、母親をそう思えた時点(とき)から大事にし始めた。

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 旧い佳日が小宙(そら)を駆け出し〝分厚(あつ)い空壁(かべ)〟から漆黒(くろ)さが仄(ぼ)やけて、白亜(しろ)い景色に人間(ひと)を保(も)ち出す旧い機日(きじつ)が混沌(カオス)を観るのは、幻想(ゆめ)に始まる孤独の躯(からだ)の不法の好(よしみ)に通底して生く…。白亜(しろ)い佳日に人間(ひと)が在るのは幻(ゆめ)の白亜(しろ)さと同等ながら、人間(ひと)と集まる〝曇った天気〟は紅(あか)い景色の丘の上にて、幻想(ゆめ)に集まる小宙(そら)の如くは一人(ひと)に頼れる自然(あるじ)を保(も)った…。精神(こころ)と美声(こえ)から一人(ひと)が現れ、旧い景色は〝一女(おんな)〟を描(か)き出せ、不倖を画(え)にする光沢(ひかり)の小敗地(アジト)は未完(みかん)に仰け反る自然(あるじ)に在った。無実の許容(うち)から〝無為〟が解(と)け出し幻想(ゆめ)の佳日に報いが向くのは、安い旧巣(ふるす)の向日に置かれた〝しどろもどろ〟に照らしてあった…。白亜(しろ)い景色に未活(みかつ)が在るのは〝往来〟だけ観た孤高の景色で、未完(みじゅく)に流行(なが)れる不幸の様子は私闘の主観(あるじ)を結束させ得た。孤独の空間(すきま)は白亜(しろ)さを大事に夢中の初歩(はじめ)に女性(おんな)を拵え、幻想(ゆめ)に観るまま矛盾の四季(きせつ)は無風の小敗地(アジト)へ落ち着き始めて、幻想(ゆめ)の電子に小宙(そら)を観るのは夢限(むげん)の合図を貫き通した。一人(ひと)の体裁(かたち)に未然が活き発(た)ち小宙(そら)の孤独が一人(ひと)を呼ぶ時、精神(こころ)の未屈(みくつ)に砦を築くは小雨(あめ)の相図(あいず)を見送り、安い仕種に夢遊を見遣るも、現行(いま)に始まる未解の美園(その)には男女(ひと)の精神(こころ)が丈夫に気取れて、女性(おんな)の体を体裁(かたち)にして生く孤踏(ことう)の幻(ゆめ)など明らかだった。幻想(ゆめ)に始まる男女(ひと)の哀れは一人(ひと)の孤独を小宙(そら)へと持ち上げ、白雲(くも)の空間(すきま)へ男女(ひと)を見送る不毛の安さを探して在った。幻想(ゆめ)と精神(こころ)に四季(きせつ)を目論み、活力(ちから)の安堵を男・女(だんじょ)に見取れば、早い男・女(だんじょ)の躯(からだ)の分厚(あつ)さは〝活き貫(ぬ)き始める虚空〟へ発(た)った…。幻想(ゆめ)に始まる無想の体裁(かたち)は無闇矢鱈の一女(おんな)に根付き、美声(こえ)に始まる夢遊の黒目(ひとみ)を小宙(そら)へ投げ掛け仰いで在った…。男女(ひと)と人間(ひと)との哀れの〝一幻(ゆめ)〟には〝夢想〟の孤独が感覚(いしき)を携え、白亜(しろ)い吐息を無像に酔わせる男女(ひと)の人陰(かげ)から余韻を吐いた…。未知に活き貫(ぬ)く無通(むつう)の小敗地(アジト)は未然に憚る様子を目にして、男性(おとこ)と一女(おんな)の美声(こえ)の所以(ありか)は向日に隠した愚鈍を観て居た。女性(おんな)の様子に無知を装い、幻想(ゆめ)の始めを夢遊に観るのは、小宙(そら)の許容(うち)から体形(かたち)を失う人山(やま)の目下(ふもと)の候(そうろう)だった。人間(ひと)に息衝く無類の小敗地(アジト)が無根に根付ける小声(こごえ)を相(あい)して、暗(やみ)の目下(ふもと)を精神(こころ)に制する不論の愛情(こころ)を逸して在った。精神(こころ)に屈(こご)まる無風の小敗地(アジト)は〝男女(ひと)の団子〟を通して行く頃、未知に蔓延る〝現行(とき)の灯(あか)り…〟が早々早まる不頼を連れ添い、過去に落ち込む「不毛の流行(ながれ)」を禍根に労い葬儀を出した。無知と不知(ふち)とは感覚(いしき)を連れ添い小宙(そら)に屈(こご)めた安みの目前(まえ)では、紅(あか)い景色を体に供える夢遊の気色に憂いを保(も)った。白亜(しろ)い分厚味(あつみ)に精神(こころ)を剥くのは人間(ひと)の吐息と同様ながらの、宙(そら)に集まる不等の気色は自己(おのれ)の無残に伝って行った…。肩を反らせる涼風(かぜ)の合図は〝未知〟に根付ける個譚(こたん)を啄み…、安い旧巣(ふるす)の行燈(あんどん)等には無空(むくう)の正体(からだ)が鮮やかだった。無意識(いしき)の体(かたち)に男女(ひと)が生く程「銅像並び…」にどんどん透り、安い〝寡〟が無垢を着飾る「不当を扱う児(こども)」を取った。無言に息衝く不毛の小敗地(アジト)は無知に息衝く旧家を訪ねて、女性(おんな)の精神(こころ)を躰に認(みと)める無彩(むさい)の純序(じゅんじょ)を想定して居た…―――。

 無垢の美声(こえ)から徒労が追い駆け白亜(しろ)い景色は人間(ひと)を象り、休む間も無く旧い対岸(きし)には真昼(ひる)の孤独が現行(いま)でも在った…。漆黒(くろ)い景色に擬音が活き着け〝安い火照り〟に自由が利くのは、文言(ことば)の体裁(かたち)に活き血が頷く〝思想を伴う様子〟であった。自己(おのれ)と無口に対峙するうち安い空間(すきま)は〝彼女〟を捨て去り、橙色(おれんじいろ)した無謀の主観(あるじ)を白雲(くも)に固めて試算を募らせ、男性(おとこ)の孤独を女性(おんな)に与(あず)ける扶養に活き着く夢想と成った…。過去の無形(かたち)に人間(ひと)が死ぬのは幻(ゆめ)の朝日の孤独と同じで、都会に始まる文句(ことば)の速水は何時(いつ)に劣らぬ夢想を呑んだ。同じ景色に身重が息衝き旧い佳日の像(かたち)を探れば、脆弱(よわ)い感覚(いしき)の朦朧等から〝活き…〟に近付く無想が飛び入り、安い空間(すきま)は一人(ひと)を合せず男・女(だんじょ)を眺める〝景色〟の許容(うち)では、宙(そら)に棚引く無像の〝朝日〟は華厳に導く思乱(あらし)を識(し)った…。過去の亘(わた)りを素通りするうち安い空間(すきま)は感覚(いしき)を象り、一幻(ゆめ)の旧巣(ふるす)を美声(こえ)に任せる弱い空間(あいだ)を順々逆上(のぼ)らせ、文言(ことば)の巧みに夜半(よわ)を識(し)る頃〝無像〟に這わせる相図(あいず)の目下(もと)では、四季外(きせつはず)れの美声(こえ)に感ける不法の輪舞曲(ロンド)を延々固めた…。幻想(ゆめ)の物語(かたり)を段々象(と)る内〝流離い乍らの極意〟は流行(なが)れて、人間(ひと)が活き尽(き)る無像の盛(さか)りは無知を着せ替え断続して在り、個々の白亜(しろ)さに矛盾を示せる不浪の孤独は文言(ことば)を呑み込み…、安い静寂(しじま)の清潔ばかりは無穏(むおん)を呈(しめ)せぬ容赦を識(し)った。孤独と幻想(ゆめ)とが朝日を暖め分厚(あつ)い人壁(かべ)から陽(よう)が差すのは、一幻(ゆめ)と光沢(ひかり)が独創(こごと)を並べる〝鬼畜の郷(さと)〟から御殿を葬り、安く見積もる人陰(かげ)の内では日中(ひなか)の相図(あいず)が向図(こうず)を識(し)り付け、脆弱(よわ)い無形(かたち)に穏度(おんど)を示せる不頼仕立ての躍動(うごき)を買った…。幻想(ゆめ)の未完(みじゅく)と宙(そら)を観ながら〝景色〟に綻ぶ枯渇は潤い、安まる佳日に夢遊が散らばる不尊の朝日は要件(ようけん)だけ観て、人間(ひと)の佳日を元に詰め得る「幻想(ゆめ)の枯渇」と佳日の末路は…、病める躰を孤踏(ことう)に与(あず)ける女性(おんな)の弄(あそ)びに通底して居た…。無尽蔵にも〝速水〟が流行(なが)れて幻(ゆめ)の無闇は〝華厳〟を枯らされ、明日(あす)に導く孤独の淡さは幻(ゆめ)の夜明けを理屈に絆(ほだ)せて、女性(おんな)の精神(こころ)を無知に気取れる〝旧い孤独の男性(おとこ)の陰〟には、無尽に着飾る幻想(ゆめ)の思乱(あらし)の稀有に流行(なが)れた孤独と成った…。言葉巧みの無性(むしょう)に従い幻(ゆめ)の初歩(はじめ)に未知を強いては、安く架かれる無機の合図の孤独を冠した男性(おとこ)に退(しりぞ)き、安まる間も無く蟲(むし)に気取れる過信の夕べは、気紛れさえ無い孤独の主宴(うたげ)に幻(ゆめ)を見て居る器量を識(し)った―――…。

      *

 …―――父親も充分、俺がそのとき感じ取って居た〝母親への、取り返しが付かない事を気にした、酷く心配する気持ち〟を感じ取ってか、母親の何度も言って、奇妙な迄に落胆・不安に駆られる様子を観ながら怒る調子を辞め、

「阪神優勝、言うのも、あんまりええ響きやないんやで」

等と、弱く軟く、俺に向けて(何にも焦点を合さずに)言ったものである。

 何か母親は、阪神優勝したからと言ってその中で、誰か(長男か誰かは忘れたが)に何か(…忘れたが)をさせたらあかん、と言う事を、必死に訴え掛けて居た様(よう)だった。そうしながら、飼い猫だった猫の白兵衛(しろべえ)が体調を壊し、何か風呂場で駆け回りながら、うんこを方々に撒き散らして居る光景を俺は見て居た(これはTVの中にではない)。母親のこのノイローゼは、その白兵衛にも関係して居るようだった。俺はひたすら、唯、母親を愛して居た。おそらく父親も同様である。俺がそんな母親を抱き締めたシーンが、一度、映った。

      *

 群像とも成る〝三島(みしま)〟の一途(いっと)で、暗(やみ)に紛れた孤踏(ことう)の初春(はる)から無理を毛嫌う疎通が生れ、明日(あす)と今日との界(かぎり)が付くのは幻想(ゆめ)の許容(うち)から挽回して居た。精神(こころ)の向きから〝器用〟が飛び交い〝人間(ひと)の寝間〟まで活命(いのち)を得るのは、雇用に徹した企業の成果(せいか)の〝孤独を刈らない所以〟であった。幻(ゆめ)の感覚(いしき)へその身を匿い、無知を忍んで文言(ことば)を仰ぐは、純心(こころ)の隅まで無碍を扱う器用の傘下に有名だった。無形(かたち)を知らない雇用の一過(いっか)は不論に飛び立つ無心を剥ぎ取り、勇み足にて許容を高める無為の一途(いっと)をこの実(み)に見ながら、「一幻(ゆめ)」の孤独と宙(そら)を仰げる一人(ひと)の界(かぎり)を世界に描(か)いた。女性(おんな)の様子を文言(ことば)に仕上げる無量の一座は通底(そこ)を消し去り、未知に蠢く脆(よわ)い精華を事毎仰いで人間(ひと)を罵り、暗い寝間から楽園(パラダイス)を観る〝有名詩人〟をその掌(て)に描(か)いた…。無言の景色と如実とを見て、幻想(ゆめ)の生果を見守りながらも、加減を知らない孤独の主観(あるじ)は〝生憶(きおく)〟ばかりに投身して居り、花見の四季(きせつ)に一人(ひと)を相(あい)する雇用の端切れを想定して居る…。男女(ひと)の結界(かぎり)を御殿に観るうち人間(ひと)の自覚は私用に吊られて、小宙(そら)に名高い気色を見る内〝孤独の灯(あか)り〟を無残に消し去り、朗(あか)るい身元は夜霧を企む「幻(ゆめ)の安堵」を気張って描(か)いた…。通底して生く気楼の感謝は〝女性(おんな)〟を透して逆戻りをして、安い心地に安住(すみか)を象る「幻想(ゆめ)の魅惑…」を密かに描(か)いた…。白亜(しろ)い逆上(のぼり)に男・女(だんじょ)を追い駆け、幻想(ゆめ)の静寂(しじま)を旅して生く頃、無限の刹那を相(あい)する間際は曇天寄りから晴天(そら)を絵にして、幻(ゆめ)と精神(こころ)の両者を追うのは不感出来ない教養だった。幻(ゆめ)の白州に御託が飛び交い旧い挿話(はなし)が独創(こごと)を呼ぶのは、未完(みじゅく)に働く夜半(よわ)の辺りで人間(ひと)に付き添う孤独として活き、旧い寝屋から外界(そと)へと生くのは〝一人(ひと)の孤独の精華〟と成った…。幻想(ゆめ)の擬きが独創(こごと)を言ううち低い夜空は加減を知らされ、暗(やみ)に棚引く幻覚(ゆめ)の連呼と相乗効果に生育(そだ)って在った…―――。

      *

 ―――…母親が、

「もう、早くこの家捨てて、坂の下の、バス停まで降りて、そこに住もう…」

等と言うシーンが在った(この通りの台詞かどうかは忘れた)。それを聞きながら、キッチンの椅子に掛かったタオルを手で、指で、触り、きちんと掛け直しながら、充分に〝家の有難味〟を知る上で、「こんなに一杯要る物が在って、快適な家を捨てて、出て行って外に住もうなんて、なんて馬鹿な、罰当たりな事を(母親は)言うんだろう…?」と半ば呆れ乍らに、母親を批判して居た。

      *

 無間(むかん)に居座る白虎(びゃっこ)の体裁(かたち)は小宙(そら)に居座る〝蝙蝠傘〟から、その実(み)を棄てられ活命(いのち)を擁した〝しどろもどろ…〟の体(たい)に居座り、永く木霊す女性(おんな)の胎(からだ)の不調を念じて聡明でもある…。頃合い盛(さか)れる不和の成就は〝一人(ひと)の難儀〟を寝間に取り寄せ、淡く見積もる算段からでも漆黒(くろ)い上気をその実(み)に按じ、安まる間も無く白雲(くも)の上では不安に冗(じょう)じる不倖が立った。罌粟の茎(からだ)に琵琶が空転(ころ)がり安泰するまま横倒れと成り、大人に見守る〝不安の成就〟は仄(ほ)んのり細(こま)かに悪態吐(づ)き行き、浮いた精華(はな)から化身が成るのは想起を灯した決起へ繋がる…―――。幻(ゆめ)の未完(みじゅく)と坊の倣いが〝不和〟に呼び掛け律儀と囀り、暗中模索に未完(みじゅく)を横取る不倖の〝女性(おんな)〟と手に手を取りつつ、唄い文句の花弁(はなびら)一つは無垢の内へと消え去り始めた―――。人間(ひと)に集まる景色の成就は悶々しながら空虚を見定め、分厚(あつ)い人壁(かべ)から人物(もの)を見分ける浮浪の電波をその実(み)に配して…、暗(やみ)の許容(うち)から孤踏(ことう)を合せる〝不頼に良く似た牛車(ぎゅうしゃ)〟を買った。白亜(しろ)い目下(ふもと)に哀れが立つ内〝海原(うなばら)から観た益〟の全ては、幻想(ゆめ)に隠れた孤踏(ことう)の朝日と無頼を信じる従途(じゅうと)に釣られて、暗(やみ)の許容(うち)へと静かに休まる「不頼を設けた静寂(せいじゃく)」すら観た。幻想(ゆめ)と精神(こころ)の〝織り成す孤独〟は文言(ことば)の人陰(かげ)から〝無頼〟を着廻し、安い主宴(うたげ)に静寂(しじま)を観るうち人間(ひと)を丸める孤独を拝して、安い集(たか)りに私闘を補う自己(おのれ)の高地(こうち)をその実(み)に保(も)った…。不安乍らに息衝く旧巣(ふるす)は有限(かぎり)を究(もと)めて図案を掌(て)にして、安(やす)み乍らに企図に関する凡(あら)ゆる御託は自己(おのれ)を生じ、幻(ゆめ)に得手した最古の表示は〝寝耳〟を掻くまま無心に入(い)った…。不安を講じる無心の共鳴(さけび)は精神(こころ)の労苦を不安に携え、自己(おのれ)の酒場に身欲(よく)を観るうち不安を彩(と)るのは無心の肴で、分厚(あつ)い空壁(かべ)から自己(おのれ)を観るのは無沈浄化(むちんじょうか)の成果(なれはて)だった…。疑いさえ成る安い宙(そら)には幻想(ゆめ)の捕縛が底々(そこそこ)仕上がり、幻(ゆめ)と精神(こころ)の夢目(むめ)の通底(そこ)では不明の人命(いのち)が輝き始めて…、安い小躍(おどり)を無碍に巻き取る不安の成就を毛嫌いして居る…。不安と安堵が身悶えするうち精神(こころ)の景色は安堵を擡げて、雷様にも白雲(くも)を観せ生く不頼の長者が心底(そこ)を這い抜け、幻(ゆめ)と自体(おのれ)の不幸の景色は俗世(このよ)に見られる白雪(ゆき)でもあった…。家畜を飼い生く不和の四季(きせつ)が身悶えし乍ら固陋を生くのは、心成らずも儚く散り浮く無想仕立ての精神(こころ)にも在り、唾棄を憶えて無心に募れる不審の気色にその芽を描(か)いた。夢目(むめ)と乱心(こころ)が未活(みかつ)に汲むのは安い人手(ひとで)の安泰でもあり、白亜(しろ)い白虎の幻影等には〝意味〟の通じぬ身欲(みよく)が顕れ、無心の浄化に欠損して行く不安の成就は不倖を相(あい)せど、〝成らぬ人物(もの)…〟には不幸を掌(て)に差す無銘(むめい)の放棄が平々(ひらひら)舞った…。過去を観るうち孤高が縛られ〝不安〟が途切れる詩(うた)の許容(なか)では、幻想(ゆめ)の身元に最果(はて)を見送る不従(ふじゅう)の主観(あるじ)が強面さえ保(も)ち…、安い人格(せいり)を事毎描(えが)ける無類の方法(すべ)など幻(ゆめ)から引いた…。幻(ゆめ)の無形(かたち)と白虎の大口(くち)には〝暗(やみ)の張子(はりこ)〟が気色を魅せ浮き、明日(あす)の見定(さだ)める仄かに掌(て)にする〝幻(ゆめ)の結界(かぎり)〟に凡欲(よく)を描(か)き棄て、尻に火が点く無明(むめい)の翌朝(あさ)には、〝心成らずの文言(ことば)…〟が成った…―――。計り知れない小宙(そら)の撓(たわ)みに人間(ひと)の一定(さだめ)が身悶えして活き、過去に浮き立つ低い様子は、「明日(あす)」の美顔(かお)など映して在った…。人間(ひと)に囀る今日の主宴(うたげ)は密(みつ)に遮る固陋を手にして、安い価値から涼風(かぜ)を表す不沈の辺りを一変させ活き、幻想(ゆめ)と電子にその身を描(えが)ける不法の従途(じゅうと)を露わに書いた…。一幻(ゆめ)の気色と固陋の翌朝(あさ)には一人(ひと)の未活(みかつ)が散々活き立ち、自己(おのれ)に蔓延る無碍の要(かなめ)は不尊の辺りを上手(じょうず)に安転(ころ)がせ、不安に精神(こころ)の上手(じょうず)は不明の沢にて開闢さえ観た…。

      *

 …無憶(むこく)…無暗(むあん)…思途(しと)…延命…人間(にんげん)…不装(ふそう)…恥…自己(おのれ)…理解…理想…精神(こころ)…循環…白夜…理面(りめん)…不快…不義…安泰…、安楽…女性(おんな)…男性(おとこ)…乞食…達観…闊達…不安…理性…白虎…百虎(びゃっこ)…電子…幻(ゆめ)…幻想(ゆめ)…幻覚(ゆめ)…一幻(ゆめ)…幻想(ゆめ)…

      *

 無言の期日を良く良く見遣れば人間(ひと)の空間(あいだ)を揚々過せる〝精神(こころ)の王佐〟が運航して居り、女性(おんな)の佳日に男性(おとこ)が伴う暗(やみ)の努力が尻尾を巻いた。精神(こころ)に息衝く不論の様子は無垢に集える小敗地(アジト)を幻見(ゆめみ)て、暗(やみ)の静寂(しじま)を灰汁に望める紫陽(しよう)の経過を後塵へと観る。白亜(しろ)い四季(きせつ)に男女(ひと)が野晒(のさば)る不毛の経過を段々観る内、幻(ゆめ)と乱心(こころ)の無情の経過は無刻(とき)を往くまま小宙(そら)を仰いで、分厚(あつ)い静寂(しじま)を心底(そこ)に認める不通の精華(はな)など真っ向から観た…。幻想(ゆめ)の四季(きせつ)に静寂(しじま)が往く程〝苦労上手(くろうじょうず)〟は桁を忘れて、人間(ひと)に付き生く不解(ふかい)の成就は女性(おんな)の側(そば)まで透って入(い)った。分厚(あつ)い人壁(かべ)から乱情(こころ)を観るうち精華(はな)に突き出る無用は紅(あか)らみ、初めて目にした佳日の盛(さか)りを頃合い忘れて上手(じょうず)に白亜(しろ)い夕べに佳日を損ねる不毛の談笑(わらい)をそのまま識(し)った…。一女(おんな)の湯浴みに熱が入(い)るのを漆黒(くろ)い情緒は加減に知りつつ、自己(おのれ)の無垢から精神(こころ)を描(えが)くは無陋(むろう)の感覚(いしき)をそのまま描ける、起死に纏まる不能の小敗地(アジト)の一風変った擬態でもある。女性(おんな)の小言(ことば)に哀れが見え出し暗(やみ)の許容(うち)には未練が付き出し、安い用句(ようく)を静寂(しじま)に見送る不乱に集まる未練の盛(さか)りは、朗笑(あか)るい景色に自己(おのれ)を観守る愉快な同志の躍動だけにて…、起死へ寄り付く不解の哀れは密(みつ)に尽き得る試練を保(も)った…。幻(ゆめ)と感覚(いしき)に身悶えして生く不解続きの悪の景色は、俗世(このよ)の歪曲(まがり)に決死を仕留めた人間(ひと)の文句(ことば)に狙いを定めて、分厚(あつ)い夜宙(よぞら)に波紋を拡げる苦力(ちから)の源(もと)など参観して居た―――。白亜(しろ)い景色に基づく一女(おんな)は体を小敗地(アジト)にそのまま置き出し、安い旧巣(ふるす)へその実(み)を隠せる不浪を相(あい)せる不解を保(も)った…。幻想(ゆめ)と佳日と物語(かたり)の総理(すべて)は、未来(さき)を牛耳る都会を脱ぎ捨て、暗(やみ)の許容(うち)へと過労を労う浅い憂慮をそのまま射った…。人間(ひと)に息衝く旧(ふる)びた佳日は幻想(ゆめ)の休みと同等乍らに、巨躯を相(あい)して屍(かばね)を齎す大宙(そら)の行方に混沌(カオス)を観た儘、白亜(しろ)い孤高に人間(ひと)を仰げる不良の活き血を不憫に保(も)った…―――。軽快乍らに過去を振り向く〝土壇場凌ぎの宙(そら)の田舎〟は、一人(ひと)に息衝く無法の小敗地(アジト)を白亜(しろ)い景色へそのまま置き出し、幻想(ゆめ)に描ける私労(しろう)の刹那を「開闢日和」に合せて行った…。狡猾乍らに〝無垢〟を装う、人間(ひと)に懐ける不動の様子は、幻想(ゆめ)と精神(こころ)へ同時に咲き生く不能の気色にその身を見て取れ、脆(よわ)い主観(あるじ)の景色の身元は身欲(よく)に纏える佳日を射った…。身寄りの空虚を杜撰に描ける〝浮浪〟に纏わる乱心(こころ)の様子は、自体(おのれのからだ)を陰府(よみ)へ預ける人間(ひと)の四季(きせつ)に過去を望める不安の鎮座にその芽を描(か)いた…。女性(おんな)の精気は空虚を画(え)にして無法に着飾る模様を観た儘、朗(あか)るい電子の端(たん)に欲する不能の主観(あるじ)を哀れに識(し)った…。不論に息衝く埴輪の遺跡は不動に息衝く小宙(そら)を創って、男女(ひと)の活き血を躰に盛(も)り出す不解に基づく発想(おもい)を保(も)ち出し、自己(おのれ)の幻想(ゆめ)から景色を究(もと)めて不能凌ぎに情事(こと)を突くのは…、人間(ひと)の経過に感覚(いしき)を求める〝幻(ゆめ)の家屋〟の習わしだった。地道に息衝く不論の勇者は過去に基づく思乱(あらし)を見て取り、分厚(あつ)い景色に文言(ことば)を嗜む陽気な男・女(だんじょ)を焦って識(し)った…。多覚(たかく)に識(し)り生く無論の気色は幻(ゆめ)の感覚(いしき)に通底して居り、脆弱(よわ)き器の母性(はは)の胎(たい)には、人間(ひと)に識(し)られぬ微弱乱調(ノイローゼ)が発(た)つ…。―――根完(こんかん)


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~微弱乱調(ノイローゼ)の母性(はは)~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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