~股間の小敗地(アジト)・続編~(『夢時代』より)

天川裕司

~股間の小敗地(アジト)・続編~(『夢時代』より)

~股間の小敗地(アジト)・続編~

 虚構に培う「人間連鎖(にんげんどらま)」を無知の既憶(きおく)に崩壊させ活き、「一幻(ゆめ)」と許容の発端(はし)から観て生く不相(ふそう)の律儀を隈なく求めて、幻(ゆめ)の端から孤高の果(さき)まで意味を介さぬ不安を保(も)った…。人間(ひと)の主観(あるじ)を底儚く観て作家の魂(こころ)に無心を置くのは、幻想(ゆめ)と精神(こころ)の秩序の列(ならび)の無想に委ねる挿話を掌(て)にして、幻覚(ゆめ)と精神(こころ)の無快(むかい)に依り付く「不法の哀れ…」と同類とも成る…。心の暗(やみ)から〝不甲斐〟が抜け出て宙(そら)に集まる無数の楼気(ろうき)は、苦業(くぎょう)に絡まる人間(ひと)の進化と精神(こころ)に連なる魔法を好く観て、〝マラソン〟ばかりに既知を好く観る一人(ひと)の進理(しんり)を解(ほど)いて行った…。柔軟乍らに魅力を差すのは「幻(ゆめ)」と「希望」の精神(こころ)の形(なり)にて、脆弱(よわ)い孤独を文言(ことば)に化(か)え生く浮浪の信者をそのまま導き、不孝を掌(て)にした億万長者は一人(ひと)の進化を如何(どう)にも好く観て、或いは寝床を求め流離う「世迷(よまい)の権化」にその実(み)を化(か)えた。苦労しながら独走(はし)る両眼(まなこ)は一人(ひと)の孤独を上手(じょうず)に培い、漆黒(くろ)い上気に自体(おのれ)を惑わす不盲(ふもう)の主観(あるじ)に屹立し乍ら、自己(おのれ)の過去から長寿を計れる不頼の儀式をそのまま詠んだ。詠み据え始める白亜(しろ)い浄化に明日(あす)の木霊は無情を発し、分厚(あつ)い労気(ろうき)を鋭気に養う不迷(ふまい)の進化にその身を削られ、幻(ゆめ)の見事に〝訓(おし)え…〟を乞うのは乱心(こころ)の幾夜の習わしだった。幻想(ゆめ)の活路を鷹揚成る儘、無心に蔓延る小宙(そら)を見遣れば、雑念ばかりに化粧が濃いのを他人(ひと)に見られて旋毛(つむじ)を曲げ生く、他人(ひと)に紛れた〝一人(ひと)〟の成果の凡庸(ふつう)に見上げる兆しであった。過去の戦(いくさ)を或いは好(よ)く観て、幻想(ゆめ)と活命(いのち)の綱渡りをする乱心(こころ)の余裕(ゆとり)は隈なく結(ゆ)えども、自己(おのれ)の仮死から肢体(からだ)を通すは〝無類〟に好く似た日溜まりだった…。自体(おのれ)の過去から不様を置き捨て、幻想(ゆめ)に出て来た古来の未知には、暗(やみ)に仕上がる〝徒労〟の在り処が男女(ひと)に落ち着く無限を見定め、明日(あす)と現行(いま)との思案の上気を意図も容易く飲み干す小宙(そら)迄…、幻(ゆめ)の〝身重〟に気付く上気は鵜呑みにされずに男・女(だんじょ)を射った…。自体(おのれ)の過去から無形(かたち)を仕上げて、行方知らずの徒労を観る時、初めから無い幾多の暗(やみ)には無像に澄み尽(き)る安堵を培い、男性(おとこ)の初歩(はじめ)に未知を極める不相(ふそう)に間近い塒を描(か)いた…。一幻(ゆめ)を離れた自己(おのれ)の生理を小宙(そら)へ根付かす気楼に彩(と)るのは、幻(ゆめ)と乱心(こころ)の上気に敢え無く捕まる「見本」だけにて、挨拶ばかりに幻(ゆめ)を追い抜く「暗(やみ)の白衣(こころ)」と同様だった…。無類の安堵を紐解く最中(さなか)に〝女性(おんな)の情緒〟が小宙(そら)に入(い)るのを間近で観て居る〝試し〟が在った。孤憶(こおく)の旧巣(ふるす)を過去に脱ぎ捨て、幻覚(ゆめ)へ蔓延る無想の電子を夢遊に描(えが)ける男・女(だんじょ)の群れには、孤踏(ことう)に蔓延る「小宙(そら)の輩」の呼吸に発(た)ち往く劣化が在った。「古来の父」より眺めた翌朝(あさ)には、幻想(ゆめ)の真面が小声を織り成し、幻覚(ゆめ)に与(あず)ける理想の男・女(だんじょ)を肢体(からだ)に置き去る妄想狂など、活きる屍(かばね)に安堵を巡らす思想の成就が活性して居た…。

      *

 …マラソンのような、短距離走のような競技を、E教会から中学校以上の友人等として居り、その中には、寝首の小さいぎょろ目の小男も居た。ぎょろ目の男と俺は、マラソンをして居る皆から少しばかり外れて、夕暮れ夜の大阪城へ行き観光しながら写真を撮ったりした。ぎょろ目の男は、『ろくでなしブルース』の前田(変身すれば、その仲間も一緒に出て来る)に変わったり単独に成ったりしながら居た。俺はぎょろ目の男に、「大阪城に来た事ありますか?」と訊いた。訊く最中(さなか)は、ぎょろ目の男の不愛想はもう知って居たので、又何か文句を言われるか、怒ったりするんだろう、と思いながら身構えて居り、もしその調子で何か言われたら、喧嘩する覚悟で居た。すると、体好く相対(あいたい)して来て、「ああ、ありますよ…!」等と、行った時の思い出(エピソード)なんかを話しつつ写真スポットを探して、俺と共に歩いた。何か、ぎょろ目の男とそうして歩く間、他の友人・知人達が自分達の周辺で徘徊(うろ)付いて居り、俺は彼等に見守られて居る気がした。

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 無心に発(た)ち生く伽藍の四季(きせつ)が物を言えない〝旧巣(ふるす)〟に跳び乗り、分厚(あつ)い人壁(かべ)から真横に飛び出す無論の脚色(かざり)を色目(いろめ)に置いた…。自己(おのれ)の過去から欺瞞を培い「人物(もの)」の活路を宙(そら)に遣るのは、苦業を重ねた自体(おのれ)の退化の〝化粧〟を知らない謳歌に抜き出て、精神(こころ)を紐解く哀れな謳歌に、余信(よしん)を審(しん)じぬ不幸を伴う「無知の軟(やわ)ら」を押し付け入(い)った…。幸福ばかりに器量を失い、ほとほと疲れた思按(しあん)の小敗地(アジト)は、自体(おのれ)の過去から労苦を擁する「不安ばかりの化身」に迫られ、幻想(ゆめ)に入(い)るのを自ら消し生く〝相乗効果〟をその眼(め)に養い、自体(おのれ)と一人(ひと)との愚問の一途(いっと)を〝寝首〟に与(あず)けて問答して居た。不意に培う一人(ひとり)の盲下(もうか)は、事毎相(あい)さぬ「場面」を観ながら、〝許容〟の境地にその芽を癒せる不能の境地に何処(いずこ)を識(し)れずに…、併せふためく不能だけ観る大学教授の腹黒(はらぐろ)など観た…。既知の所在(ありか)はその実(み)を挙げずに、白亜(しろ)い四季(きせつ)に自体(おのれ)を蔑む脆弱(よわ)い傘下を鵜呑みにした儘、「不能」ばかりを永久(とわ)に突き生く人間(ひと)の労苦を孤業(こぎょう)と化した…。明日(あす)に引かれて我が身を愛し、幻(ゆめ)の残骸(むくろ)に希少を観たのは、幻覚(ゆめ)の空気(もぬけ)の相乗効果に〝女性(おんな)〟を侍らす奇怪の好(よしみ)で、分厚(あつ)い両眼(まなこ)で宙(そら)を眺める不審の没我の生長とも成る…。一幻(ゆめ)の許容(うち)へと密かに隠れた女性(おんな)の不乱の行方に観えては、幻覚(ゆめ)の没我は一層煙たく御託を並べて、明日(あす)の記憶を再び好く詠む〝不相(ふそう)の傘下〟にその気を遣った…。過去への境地をその眼(め)に好く観て、脆弱(よわ)い体裁(かたち)に泡(あぶく)を識(し)るのは、無間(むかん)の競歩にその名を高める不安の事実と光明からにて、幻想(ゆめ)の未完(みじゅく)と未知の生憶(きおく)は不実に倣える元気を保(も)った。無笛(むてき)と個笛(こてき)が紛れる間際に浮浪の砦を宙(そら)に送るは、自己(おのれ)の文言(ことば)に下等が紛れる「浮遊して生く極意」を授(さず)けて、不機(ふき)の重荷を主観(あるじ)に象(と)った…。幻想(ゆめ)の幾つが小宙(そら)を羽織るは無言の朝日が頷くからにて、病める体を男・女(だんじょ)が紐解く〝女性(おんな)の目下(ふもと)〟にすんなり空転(ころ)がり、白亜(しろ)い脚(あし)から文言(ことば)が降り立つ旧い景色が砦を構(つく)り、明日(あす)の彼方を四方(しほう)に好く観る一人(ひと)の孤踏(ことう)を追い駆け始めた。気楼の空間(すきま)に男女(ひと)を引くのは無限の辺りと木の葉の陰にて、明日(あす)に息衝く不盲(ふもう)の人砦(とりで)を無用に傅く孤独を問う儘、自己(おのれ)の文句(ことば)と歯切れの堕落はその身を損じて光沢(ひかり)を纏い、漆黒(くろ)い小敗地(アジト)に人間(ひと)を担げる浮浪の撤廃地(アジト)にその実(み)を置いた。下等に澄み尽(き)る幾多の御託は幻想(ゆめ)の限りにその眼を養い、女性(おんな)の感覚(いしき)と羽衣(ころも)を好く着る不頼の音頭をその眼に従え、一幻(ゆめ)と生録(きろく)の無頼の既知には、息衝く間も無く情緒が死んだ…。幻想(ゆめ)に始まる御託の活命(いのち)は過去に紛れる談話を伴い、旧い朝陽に白身を纏える気楼の信者に総身を得ながら、過去の自己(おのれ)に基づく生命(いのち)は孤独の白亜(しろ)さに黙(だん)まりして生く…。少女の無知から活力(ちから)が湧き着き、暗(やみ)の成果(かなた)へその眼を置くのは、幻想(ゆめ)の躰に束ねる火照りと「明日(あす)を感じる火照り」に包(くる)まれ、不当に湧き立つ自己(おのれ)の自覚(かくご)は無機に従え愚かに死んだ…。自己(おのれ)の無欲に少女(おんな)が息衝き、旧い一体(からだ)を大宙(そら)に投げ掛け、分厚(あつ)い人壁(かべ)から脚力(ちから)を投げ込む幻想(ゆめ)の有利に感覚(いしき)を伴い、幻(ゆめ)の初めにほとほと無想の原野(げんや)にその眼を解(と)いた…。幻想(ゆめ)の体裁(かたち)にその日を好く観て「精神(こころ)の嘆き…」は器用に飛び交い…、自己(おのれ)の過去から活力(ちから)を引き出す不毛と女性(おんな)の体裁(かたち)を得ながら、過去の努力を小宙(そら)へ見送る向きの強靭(つよ)さをその実(み)に識(し)った。朝に語れる不義の独語(かたり)が気楼の総理(すべて)を厳かにも観て、安い郷(さと)から過労を見限る不倫の総てを大宙(そら)へと買った。家畜の過去には男性(おとこ)が活き交い、明日(あす)の旋律(しらべ)に途方が生くのは、幻想(ゆめ)の効果に無言を培う不法に精神(こころ)が向くからだった…。一幻(ゆめ)と自身(おのれ)の下等の情事(こと)から乱心(こころ)に逆上(のぼ)せる不況が息衝き、少女(おんな)の過去には男性(おとこ)が這い擦(ず)る「浮気」ばかりの過失が向き立ち、不老を象る少女(しょうじょ)の浮気は武器に落ち着く無根と落ち着き…、不覚ばかりに淡路を知り行く「不当の排除」へその実(み)を飼った…。幻(ゆめ)の活き血を無言に侍らせ、不要に振る舞う少女(おんな)の自覚(かくご)は、男性(おとこ)の寡黙を無心に引き割く詐欺の極致にその芽を養い、不老に這わせる不倫の目下(ふもと)は感覚(いしき)を好く観て無心を引き摺(ず)り、明日(あす)の木霊を肉体(からだ)に押し込む〝幽(ゆう)の静寂(しじま)〟と一緒に発(た)った…。過去の両刃(もろは)を女性(おんな)と観ながら小宙(そら)の目下(ふもと)に息衝く彼等は、自己(おのれ)の無知から禍根を忘れた幻想(ゆめ)の成果へその実(み)を培い、肉の一体(からだ)を少女(おんな)に好く観る不盲(ふもう)の一男(おとこ)を培い出せた。自体(おのれ)の孤独を止(と)めぬ柔裸(やわら)は無心の過去から少女(しょうじょ)を崇めて、若い血肉をその世に託せる「一幻(ゆめ)の陽気」と朗らかでも在り、幻想(ゆめ)の好(よしみ)と〝局(きょく)〟を象(と)るのは無想に引き摺る過信であった―――。無言に突き出る自己(おのれ)の活命(いのち)に幻想(ゆめ)の身欲(よく)から精神(こころ)が立ち向き、明日(あす)に培う孤高の乱歩は不利に落ち向く古豪と一緒で、分厚(あつ)い朝日に素通りして生く不利の体裁(かたち)を好く好く観せた…。幻想(ゆめ)に差し向く孤高の朝日は自己(おのれ)の下肢から脚力(ちから)を培い、無謀に屈(こご)まる個録(ころく)の思乱(あらし)に女性(おんな)を好く観る無残を発した。分厚(あつ)い人壁(かべ)から伝授に赴く人間(ひと)の気色は佳日を損ねて、一幻(ゆめ)の一通(とおり)に文言(ことば)が名高い「不応の配慮」にその芽を養い、不届き成る哉…、自己(おのれ)の佳日が幻(ゆめ)を擡げる不倫の正義を愚かに彩(と)った…。過去の正義に人間(ひと)を好く観る不当の正義は暗(やみ)を切り抜き、分厚(あつ)い幻想(ゆめ)から個録(ころく)を牛耳る破門の憂慮を底儚く見て、安い信理(しんり)をその実(み)に養う不惑の加減に成就を待った…。男性(おとこ)の小敗地(アジト)に分散して生く不利と重荷は精神(こころ)を保(も)ち出せ、幻(ゆめ)と重荷の主観(あるじ)の人姿(すがた)は個録(ころく)に培う正味を保(も)つ儘、自己(おのれ)の無機から〝過去〟を審(しん)じる「不安」の総てを知り尽して居た…。―――。―――…不当に羽ばたく無心の一途(いちず)は「過去の自主(おのれ)」をその芽に好く観て、明日(あす)の文言(ことば)に程好く培う「幻(ゆめ)の電子」に肉体(からだ)を寄らせて、幻想(ゆめ)と初めに主荷(おもに)を抱える「向日」の朝陽をそのまま象(と)った…。分厚(あつ)い人壁(かべ)には過労が培い不安と思乱(あらし)の不届きから観て、安い樞(ひみつ)を夢中に紐解く幻(ゆめ)の安堵は乱心(こころ)を差し向け、下等に落ち着く人間(ひと)の主観(あるじ)は個録(ころく)と小敗地(アジト)を両方採った…。電子の小片(かけら)を未完(みじゅく)に与(あず)けて精神(こころ)の叫びは狂々(きょうきょう)在れども、安い電子は伝記を留(と)め得る現行(いま)の旧巣(ふるす)を牛耳り始めて、男性(おとこ)と一女(おんな)の糧の両眼(まなこ)を生活(くらし)に配せて落沈(らくちん)して在る…。不意に幻見(ゆめみ)る晴天(そら)の孤独に明日(あす)の自活(かて)から活命(いのち)が吹き出て、広い天地に不当を観たのは「脆弱(よわ)い楼気(ろうき)」の倣(なら)わしでもあり、自由に跳び出る無言の文言(ことば)は男女(ひと)の頭上(うえ)から天(そら)へと堕ちた…。白亜(しろ)い気色に動揺して居る幻(ゆめ)の孤独は枯渇を識(し)りつつ、波紋を象(かたど)る自然(あるじ)の目下(もと)から私牢(しろう)を牛耳る股間を縁取り、幻想(ゆめ)の小敗地(アジト)を幻覚(ゆめ)に付き出す不装(ふそう)の温故に相乗させ得た。

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 マラソンをして居る間、都島に住んで居た頃の父母も出て来た気がする。若い頃の長渕剛も居て、その長渕剛は今の良父性を持つ長渕と交互に入れ代わる。

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 精神(こころ)の安堵に目配せし乍ら〝許容〟の罪には〝過保護〟が伴い、〝併せ鏡〟に「幾つ…」が飛び交う胸中(むね)の朗気(ろうき)が宿って行った…。幻想(ゆめ)に纏わる気候と枯渇は無頼の安堵を横目に見ながら、「明日(あす)」の労苦へ乱心(こころ)を仕向ける脆弱(よわ)い闊歩にその日を繕い、〝脆弱(ぜいじゃく)〟ばかりが頼みでないと、分厚(あつ)い人壁(かべ)から未練を断ち切り、弱い体裁(かたち)へ奮起して生く〝不相(ふそう)の女神〟を子供に吐いた。過去の誉(ほまれ)を自由に紐解き「改竄して生く物憂い暗(やみ)」には、当り障りの固陋の件など孤独の幾つに見様(みよう)が捕われ、或いは死に生く無機の幻覚(ゆめ)から魅惑を忘れた恩義が立った…。〝小泉今日子〟の緩さを吟味(あじ)わい、小宙(そら)に彩る魔性(ましょう)の単調(リズム)は発端(はし)に巻かれる嗣業の単調(リズム)と何ら変らぬ美彩(びさい)を施せ、「明日(あす)」の迷路へきちんと居着ける不安の游路をその掌(て)に保(も)った。幻(ゆめ)と自覚(かくご)の程好い御託は気楼に好く観た御殿の空間(すきま)で、明日(あす)から現行(いま)へとそのまま延び生く〝気味の迷路〟へ試算を講じ、乱歩(ある)く速度は杜撰を呈(しめ)さぬ〝億劫乍らの相歩(あいほ)〟と成った…。過去の静寂(しじま)が俺へ懐ける〝小泉今日子〟の小片(かけら)の一途(いっと)は、幻(ゆめ)の結界(かぎり)に陽(よう)を見抜ける〝侍ばかりの舞踏(ダンス)〟へ相成(あいな)り、暗(やみ)の静寂(しじま)に付き添う人陰(かげ)には「未練の羽衣(ころも)」が想像され得た。白亜(しろ)い四季(きせつ)に過去が活き抜く幻想(ゆめ)の乖離が程好く成るのは、常識ばかりに孤独が息衝く不浪の理性(はどめ)が未完(みかん)を培い、幻想(ゆめ)の連歩(れんぽ)が独創(こごと)を退(しりぞ)く不法・投棄(ふほうとうき)の未熟に在った…。固陋に信じる加担の暗(やみ)には無感の幻(ゆめ)への〝真嗣暗(まっしぐら)…〟が在り、明日(あす)と現行(いま)との懐かしさに観た無法の邪気への怨霊さえ発(た)ち、一色(いろ)を交える古来の精華(はな)には朗(あか)るい審議が飾られても在る…。見様見真似で孤独を相(あい)して、暗(やみ)の静寂(しじま)が空間(すきま)を埋め得る未知との共歩(きょうほ)を私中(しちゅう)に置くのは、一幻(ゆめ)の枯渇に一切触れない「孤高の孤踏(おどり)」が化けたからにて、無垢を着飾る無要(むよう)の境地は一切迷わず檻から発(た)った…。白亜(しろ)い佳日にその芽を求めて〝拾う神…〟から日本人(ひと)を観た儘、無浪(むろう)に培う「流行りの唄」には幻(ゆめ)に幾つの詩吟が立ち行き、朗(あか)るい奮起に流浪が着飾る夢想の教致(きょうち)は呈(しめ)さずとも在り、明日(あす)へ活き貫(ぬ)く不義の小敗地(アジト)は鉄板から観た炎天下に在る…。塵(ごみ)を尻目に過去を活き貫(ぬ)く無浪(むろう)の極致は未(いま)も観て居り、分厚(あつ)い孤独に静寂(しじま)を相(あい)せる白亜(しろ)い恐怖は厳つい目をして、〝女遊び…〟にその芽を吹かせる精神(こころ)の極意に蛇を賄う果実を訴え、神に依るのを〝人間(ひと)の見定(さだ)め…〟と相(あい)する両眼(まなこ)に透って入(い)った。返(かえ)す返(がえ)すに四肢(てあし)の暗(やみ)には、幻想(ゆめ)に未活(みかつ)の個動(こどう)が立ち活き、幻想(ゆめ)と温故に身悶えして行く孤高に身軽な日々を寄り添え、〝女性(おんな)の四肢(てあし)と精神(こころ)と性器〟を、小泉今日子のそれ等に飼った。小宙(そら)に見積もる気球の活路は一女(おんな)の目をした陽(よう)が飛び交い、微睡む間も無く試練が培う「人間(ひと)と一人(ひと)との噂」が流行(なが)れて…、〝併せ鏡〟に自己(おのれ)を射止める「不自由から成る身重」を識(し)った…。―――。無類の小敗地(アジト)に気憶(きおく)を観た儘「通り縋りの孤独」を養い〝固陋〟と寝たのは、幻想(ゆめ)の身重と酸化して生く不装(ふそう)の寝間から這い出た男・女(だんじょ)と、幻想(ゆめ)を得たまま見果てぬ身欲(よく)との…、一通退(さ)がった「通り相場」の個笛(こてき)を鳴らせる至順(しじゅん)であった。苦労して生く〝当面鏡(とうめんきょう)〟には明日(あす)の鑑(かがみ)が一重(ひとえ)を脱ぎ捨て、密(みつ)に見果てぬ安い〝売り〟から幻(ゆめ)と精神(こころ)の残像など見て、幻(ゆめ)の身欲(よく)へと独走(はし)り続ける従順(すなお)が活き貫(ぬ)く枯渇を買った…。分厚(あつ)い人壁(かべ)から〝佳日〟が脱(ぬ)け尽(き)る夢の行方の迷路は銀杏通りを…、気楼に見付けた概(おお)きな闊歩と合算した儘〝体躯〟を実らせ、焦点射陽(スポットライト)に一人(ひと)を寄せ得ぬ〝見事の斜景(しゃけい)〟に総身を置いた。幻想(ゆめ)の奥義(おく)へと漫々(そろそろ)見送る〝一人(ひと)の小手(こて)〟には慢性さえ在り、幻想(ゆめ)の枯渇を見果てぬ憂慮は上(かみ)に見定(さだ)める奮起を暗転(ころ)がせ、安心立命…、都会の精華を漫ろに独歩(ある)ける「幻(ゆめ)の一夜(ひとよ)」がそのまま謳歌し、明日(あす)の気憶(きおく)へそのまま繋げる微粒(びりゅう)を伴う縁(えにし)の見定(さだ)めは、紅(あか)い孤独を夕日に向け得る死相の伝授に相異して生く…。不安ばかりの思想に伴い朗(あか)るい歩先(ほさき)を暗(やみ)に置くのは、幻(ゆめ)に蔓延る無秩と空間(あいだ)の華美に認(みと)めた思牢(しろう)の成果(はて)にて、安く射止めた空想(おもい)の生果は意図も容易く身切(みぎ)れを指した。幻(ゆめ)の小窓を炎天(そら)へ培い人間(ひと)の間近に斜光が乞うのは、分厚(あつ)く漂う無機の小躍(おど)りと無心を逸した思牢(しろう)の楯(たて)にて、幻(ゆめ)と夜伽を相(あい)せる〝想いの創華(そうか)〟をその掌(て)に採るのは、幻(ゆめ)の安みと〝間際の美声(こえ)〟から軽く射止めた試算と成った。雁字搦めの思想の結界(かぎり)に幻(ゆめ)と自己(おのれ)は段々遠退き、幻想(ゆめ)の安みに按じて伴う精神(こころ)の景色は辛うじて活き、漆黒(くろ)い小宙(そら)から小泉今日子(おんな)が閃く微弱(よわ)い性気(せいき)は乱心(こころ)を折り曲げ、幻(ゆめ)と乱心(こころ)に端正(きれい)に色付く未活(みかつ)ばかりの遊離の程には、分厚(あつ)い静寂(しじま)の空虚の暗(やみ)との舗道に息(いき)する独理(ドグマ)が立った…。

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 …その大阪城へ辿り着く前か後かで、俺は女の子の自分の子供を持って居り、佐賀の田舎のような家の中のあの四畳半のような部屋から居間まで、帰ろうとしながらその光景は又何処か饂飩屋のような店の中のように成り、俺は三つ四つ位の自分の娘を抱いて歩いて居たが、店内(家屋)よりも店外(屋外)を見て歩く事を好み、そうした。自分が(可愛い)娘を持った事が、恥ずかしかったのかも知れない。俺は娘を綾(あや)した。娘は一寸気難しそうで、べそを掻いて、愚図って居た。泣かないように、俺は抱きながら「よちよち」と機嫌を取った。俺の嫁も何処(どこ)かに居たかも知れない。周りからの受けは矢張り良かった気がする。俺は娘をまるで片手に抱きながら、城下町か、城内の砂利道(昔の土の道)を歩いて居た。友人や、少数の有名人が何人か居り、相応に心地良かった気がする。

      *

 孤独の従者と共に在るのが宙(そら)の小鳥に見送られて行き、明日(あす)の魅惑に虚遁(きょとん)と定まる普遍の雄姿にその目を追うのは、翌朝(あさ)に懐けぬ不法の従者の欲望から成る孤独と成った。日本に産れて「暗(やみ)」を見出し男女(ひと)と一人(ひと)との虚偽を目前(まえ)にし、或いは貴く主観(あるじ)を失くせる不応の従者にその芽を汲むのは、情事(こと)に概(おお)きな憤慨ばかりの孤踏(ことう)の哀れの相談事から、器用に保(も)ち出す普遍の論旨の小宙(そら)を飛び交う無法に在った。白亜(しろ)い霧から独歩(どくほ)が産れて仕儀を相(あい)する御託の総ては、幻想(ゆめ)の過保護にその実(み)を好く観る光沢(ひかり)ばかりの杜撰の容姿で、分厚(あつ)い傘下で人間(ひと)に阿る不浪の真夜(しんや)の真似事だった。過去に見出す自体(おのれのからだ)は一幻(ゆめ)の過保護にその実(み)を和らげ、友人(ひと)と一人(ひと)とが飼い葉を好く観る不変の主観(あるじ)と相場を決め付け、幻想(ゆめ)の日頃と過去を統(たば)ねる男・女(だんじょ)の翳りにその芽を保(も)った。自己(おのれ)の身欲(よく)から陽(よう)が抜け出す不変投棄の真似事等から、「明日(あす)」に好く見る男・女(だんじょ)の哀れは自己(おのれ)の過去へと活気を見出せ、旧い男・女(だんじょ)の四肢(てあし)の側(そば)には児(こども)の生憶(きおく)が泥濘(ぬかる)み出した。不相(ふそう)の教区を訓(おし)えに基づき幻想(ゆめ)の幸(こう)から不倖(ふこう)を買うのは、猛暑続きで〝火照り〟を止(や)めない〝旧い煉瓦〟の日頃の鬼畜で、明日(あす)に蔓延る〝活き血〟を見付ける不解(ふかい)続きの貧乏だった。俺の過憶(かおく)を蹂躙する程、幻想(ゆめ)の許容(うち)へと器用に蔓延る「無心を徹した男女(ひと)に集める気力の限り」は、児(こども)の頃から暑さを忘れる通り相場の奇怪を経て来て、幻(ゆめ)の男・女(だんじょ)の試練を漏らせる「不倖の扉の施錠」と成った。幻想(ゆめ)の気力に彷徨う〝男・女(だんじょ)〟は明日(あす)に蔓延る佳日を異(い)にして、脆弱(よわ)い孤独を独理(ドグマ)に根付かす不応に按じた孤独の様子で、幻想(ゆめ)の一重(ひとえ)に苦しむ男・女(だんじょ)の寝間の明かりに当惑して居た…。真昼(ひる)に始まる〝レガッタ・レース〟を情事(こと)に極める漆黒(くろ)い儀式は、英国から観た琥珀の態度の朗(あか)るい景色に感覚(いしき)を保(も)ちつつ、暗(やみ)に紛れる不正の関与は、無刻(とき)に戸惑い微弱(よわ)くも成った…。明日(あす)の宙(そら)から〝見様見真似…〟が女性(おんな)の思乱(あらし)へ追随しながら、精神(こころ)と生気に悪態吐(づ)き生く不相(ふそう)の正義に欲目(よくめ)を凍らせ…、男女(ひと)の快感(オルガ)を血相(かお)に変え生く「幻想(ゆめ)の景色」の色香(いろか)を識(し)った。精神(こころ)の許容(なか)では孤独が吟(うた)われ、旧い佳日が欲を挟むと、私闘の総ては孤踏(ことう)を啄む旧来挿話(むかしばなし)の孤独に謳われ、漆黒(くろ)い暗(やみ)から翌朝(あさ)を啄む明日(あす)の八頭(おろち)は恰好(かたち)を識(し)った…。過去の視野から八頭(おろち)が飛び出し幻想(ゆめ)の囲いに宙(そら)を観ながら、精神(こころ)の〝教区〟を不安に採るのは夜半(よわ)に見慣れた孤独であった。不悶(ふもん)に朗(あか)るい孤独の文言(ことば)に幻想(ゆめ)の電子は瞬く間に燃え、明日(あす)の光沢(ひかり)が左右を照らした孤高の畔は白亜(しろ)さを脱して、脆弱(よわ)い佳日に族を観て居る不当の「様子」は海図を拾う…。幻想(ゆめ)に溺れた家畜の従者は幻想(ゆめ)の従途(じゅうと)に寝首を反らせて、小宙(そら)に佇む滑稽(おかし)な余韻(ゆとり)と孤独の主観(あるじ)を無機に沿えつつ、房(ふさ)に溺れた乱心(こころ)の続者(ぞくしゃ)は不法に寄り添う信者と成った。過去に活き生く自体(おのれのからだ)が不為(ふい)に埋れる不義を目にして、幻(ゆめ)と精神(こころ)の投棄を続けた挨拶(ことば)の界(かぎり)に不問を見出せ、夜半(よわ)の目下(ふもと)へ朝陽を突き差す〝琥珀の色香(いろか)〟を準じて待った。俗世(このよ)の悪(あく)から人間(ひと)が生れて善(ぜん)の行為に縋れる驚異は、幻想(ゆめ)と理性(はどめ)の迫りに芽を保(も)ち、不惑に並んだ孤独を刺した。男・女(だんじょ)の悪から朝日が産れて暗い快感(オルガ)に身悶えしたのは、低い腰から目線を費やす不当の主観(あるじ)と相談して生く、旧い白衣(ころも)の造作であった。幻想(ゆめ)の朝日に暫く託け、精神(こころ)の律儀に精華(はな)を観たのは、過去に咲き生く不当の正義の精華(はな)の周囲(まわり)の小宙(そら)の辺りで、青い果実にその孤(こ)を描(えが)ける一人(ひと)の躰は無体を発し、白亜(しろ)い〝霧〟から活力(ちから)を得るのは幻想(ゆめ)の間の独創(こごと)であった。女性(おんな)の瞳(め)を観て〝過去〟を得るのは、暗(やみ)の光沢(ひかり)に相槌打ち生く空気(もぬけ)の周辺(あたり)とそのまま同じで、白亜(しろ)い〝霧〟から「日々…」を観たのは〝通り相場〟の御殿の思乱(あらし)と、底から湧き来る旧(むかし)の独語(かたり)の分厚(あつ)い生憶(きおく)の憂慮であった。無根の共鳴(さけび)を土(つち)に幻見(ゆめみ)て、不法に相(あい)せる永久(とわ)を按じて不倖を呼ぶのは、幻想(ゆめ)と自己(おのれ)の過去の許容(うち)から精神(こころ)に静かな無法の一派で、精神(こころ)に埋れる活力(ちから)の返りは、夜半(よわ)に寄り付く生憶(きおく)と成った。幾ら書いても〝白紙〟が埋まらぬ幻想(ゆめ)の結界(かぎり)は宙(そら)に浮んで、白亜(しろ)く潰れる「震えた形成(かたち)」は過去の両眼(まなこ)で明日(あす)を観る内、不意に息衝く幸(こう)と〝日々〟とを床(ゆか)に持ち上げ繰り越し乍らも、明日(あす)の界(かぎり)に幻覚(ゆめ)を観ながら孤独の制覇を目論み始めた…。器用に培う自己(おのれ)の分派を身欲(よく)の常緑(みどり)にそのまま見立てて、明日(あす)の所在(ありか)を小宙(そら)へ置き出す〝不法〟へ越え生く未来(さき)の新地(しんち)は、自体(おのれ)の過去から端正(きれい)を培う明日(あす)の旧さを堂々射った…―――。

      *

 ―――…俺達は何か、橋を走って居た。下は溝川(どぶがわ)だ。日焼けした黒豚らしい馴染みの女が居り、他には知らん奴等も一緒に走ってた。俺達の周りには子供も居て、俺達と同じ方向に走って居た。前から来る子供が居た。俺達の周りに居た子供達と目が合うと互いに何人か笑い合って居た。それを見て俺が、「まぁ、子供同士、通じ合うものが在るんやろう」と少々可笑しく言うと、馴染みの女が爆笑し、暫くしても笑って居た。他の何人かも釣られて笑った。何処(どこ)がそれ程(続く程)笑えるのか知らなかったけど、まぁ冗談に笑って貰えたので、悪い気はしなかった。

      *

 切羽詰まった峠の彼方に小宙(そら)に見送る孤独が乗り出し、柔い生憶(きおく)に緩々流行(なが)れる不応の朝日は男女(ひと)を雇った。自己(おのれ)の無為から生憶(きおく)を辿れる不孝の小敗地(アジト)は極限から観て、安い八頭(おろち)にその実(み)を消し尽(き)り、幻想(ゆめ)の労気(ろうき)と目下(ふもと)を見限る不応の初春(はる)へと孤独を射った。無言の一途(いちず)にその芽を見て取り、白亜(しろ)い吐息に概(おお)きく噛むのは、無機に沈める人間(ひと)の活き血と固陋の住処を失(け)し尽(き)る初春(はる)にて、軟い躰を無傷で射止めた一人(ひと)の生果(かなた)へその実(み)を遣りつつ、不能ばかりに孤独を培う明日(あす)の女神を自由に描(か)いた。白亜(しろ)い一夜(とばり)に景色を観たのち浮遊して生く一対(ひとつ)の人間(ひと)には、生憶(きおく)ばかりにその身が具わる旧い生育(そだ)ちにその芽を奪われ、寒く問いつつ二月を毛嫌う幻想(ゆめ)の八頭(おろち)にその日を描(か)いた。精神(こころ)の孤独と朝日の一連(ドラマ)は暗(やみ)の感覚(いしき)にその芽を観た儘、苦悩ばかりに生憶(きおく)を辿れる旧い景色を蹂躙して活き、幻想(ゆめ)の活き血に粋(いき)り立ち生く死相の論破をその日に解(と)いた。幻(ゆめ)の景色に御託を並べる無垢の光沢(ひかり)は御殿の空(すき)から、一糸纏えぬ女性(おんな)の人姿(すがた)が気楼を射るまま無言に這い擦(ず)り、明日(あす)と現行(いま)との並べる景色を漆黒(くろ)く歪めた精神(こころ)に観る儘…、人間(ひと)の活き血が脚力(ちから)を得るのは無敵ばかりの優雅を気楼に解(と)き生く「不頼」ばかりに追い着く我が身の女性(おんな)の背後の独談(どくだん)とも成る―――。幻想(ゆめ)の魅力に精神(こころ)が解かれる旧い孤独は技術を伴い、安い魅力に活命(いのち)を得るのは精神(こころ)の一歩に程好く固まり、幻(ゆめ)の然りにその実(み)を挙げ抜く不法の一途にその身を賭した。幻想(ゆめ)の初めに虚無を観てから気楼の端切れを一心(こころ)へ宿すは、旧い小敗地(アジト)に緩々流行(なが)れる不応に見積もる虚無さえ牛耳り、幻想(ゆめ)と精神(こころ)の相乗効果で欺瞞を揺さ振る確信すら得た。精神(こころ)の虚無には地雷が寝そべり、精神(こころ)の無形(かたち)は憂慮に久しく、宿を知らない物憂い速水は矛盾を消し去る文言(ことば)を並べて、幻想(ゆめ)の許容(うち)へと紛れる情事(こと)から精神(こころ)の徒歩には利損(りそん)が成り立ち、不問に活き尽(き)る無尽の自活(かて)から大いに寝そべる小宙(そら)など観て居る…。男女(ひと)の生憶(きおく)に無重を観るうち幻(ゆめ)と生憶(きおく)は「明日(あす)」など見守り、旧い生果に象る哀れは精神(こころ)の病をその掌(て)に失(け)し去り、脆弱(よわ)い拍車が幻(ゆめ)に追うのは〝端切れを識(し)らない無情〟であった…。無言の一途(いちず)に幻想(ゆめ)を追う儘〝日々の流行(ながれ)〟は生憶(きおく)を保(も)ち出せ、男女(ひと)に静まる旧来挿話(むかしがたり)は「明日(あす)」を信じぬ梯子を観た儘、暗い夜路(よみち)を探索して生く〝幻(ゆめ)の相場〟へ案内され得た…。既憶(きおく)に空転(ころ)がる無心の活き血が小宙(そら)を観たまま無断に象(と)るのは、孤独と交せる滑稽(おかし)な区切りと〝孤高に活き尽(き)る無為の相異〟で、思牢(しろう)と孤独にぽかんと死に得る無尽の景色に相当して居り、安い活命(いのち)に孤独を奏でる不応の朝陽に廻転(かいてん)して生く…。水を着飾る幻想(ゆめ)の初歩(はじめ)に未知を見出す不応の夏日は、幻想(ゆめ)と文言(ことば)を常緑(みどり)に見出す旧い気色にその日を歪めて、虚空に息する無言の活命(いのち)は幻(ゆめ)を遮る発破を識(し)った…。無根の情化(じょうか)を幻想(ゆめ)に置きつつ〝不論の佳日〟にその芽を観た時、暗(やみ)に埋れる滑稽(おかし)な巨躯から女性(おんな)の共鳴(さけび)が御託を並べて、幻(ゆめ)の生憶(きおく)と滑稽(おかし)な素顔は無垢を装う無尽の最中(さなか)で、明日(あす)の陽(ひ)に咲く無根の景色は夜半(よわ)の許容(うち)から日溜まりだけ観て、幻想(ゆめ)に始まる無沈(むちん)の孤独は〝木霊〟を相(あい)せる極意を識(し)った…。無知に蔓延る一人(ひとり)の独理(ドグマ)は器用に息する魔人と連れ添い、「明日(あす)」の生憶(きおく)にきちんと阿る幻想(ゆめ)の弱火と寝床と共にし、脆弱(よわ)い景色に感覚(いしき)を観て取る不頼の気色にその芽を噛んだ…。生憶(きおく)違いの妄想狂から幻想(ゆめ)の曲解(まがり)を愚痴に問うのは、人山(やま)の自然(あるじ)に無機を統(たば)ねた乱心(こころ)の生憶(きおく)を上手(じょうず)に勝ち取り、小宙(そら)に描(えが)ける不沈の情(じょう)等、幻(ゆめ)と感覚(いしき)へ紛れて観得つつ…、暗(やみ)の景色に人群(むれ)を成すのは精神(こころ)の謳歌の馴れ合いでもある…。気楼の一夜(とばり)に策を弄(ろう)じて暗(やみ)と現行(いま)との空間(あいだ)に繰(く)るのは、男女(ひと)の感覚(いしき)に白亜(しろ)さを見逃す不安ばかりの核(かく)の感覚(いしき)で、白亜(しろ)い千夜(とばり)に折り好く成すのは男女(ひと)と幻(ゆめ)との情景でもある。幻(ゆめ)の日々から無根が織り成す旧い相場は大海(うみ)より離れて、偉大なる哉、精神(こころ)に越え得る未知の囀(こえ)には徒労に端正(きれい)な成就を買った。幻なる哉、女性(おんな)の存在(かたち)は地獄に病み堕ち、不沈の景色に陽(よう)が流れる「旧い恋」からその芽を射るのは、予感され生く古来の景色と、欲芽(よくめ)が見守る固陋の景色と、人間(ひと)に囀る夢想の流行(ながれ)に無刻(とき)を信じぬ安堵を射った―――…。

      *

 …―――そしてマラソンのラストスパートに成り、俺は感動的な程、懸命に走って居た。高速で過ぎる景色を横目で見ながら、横を俺の嘗てのライバルの様(よう)な男が、俺を追い抜こうとするのが見えた。

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 無心(こころ)に懐ける孤独の猛火が人間(ひと)の頼みを浪漫に遣る時、幻想(ゆめ)の最中(さなか)に文言(ことば)を失くせる不安の果実は孤高を織り成す無形(かたち)を観て居た。漆黒(くろ)い宙(そら)から幾夜を過せる一女(おんな)の四季(きせつ)は明日(あす)から目覚めて、他人(ひと)の景色を精神(こころ)に保(も)たない浮浪の小敗地(アジト)に窮屈しながら、果てを見知らぬ滑稽(おかし)な共鳴(なげき)は郷(さと)へ還らず不尊を射った。対岸(きし)に寄り付く無想の哀れは一女(おんな)の躰を意図に与(あず)けて、陰府(よみ)の発端(はし)から躰を懐ける夏の驕りを宙(そら)へと宿し、人間(ひと)に寄り付く不当の景色に意味を訓(おし)える不従(ふじゅう)を識(し)った。過去の許容(うち)から一人(ひと)を手伝う人物(もの)の生憶(きおく)は段々割かれて、白亜(しろ)い四季(きせつ)に〝佳日〟を透せる不安の限度は固陋を呼び付け、自己(おのれ)の無口に向日を問うのは不安ばかりの連夜の生録(きろく)で、自己(おのれ)の感覚(いしき)に過去を問うのは自然気儘の成り立ちでもある。自由を手にして文言(ことば)を育む自己(おのれ)の意志から巨体が息衝き、不孝を手にした宙(そら)の悼みは過去を射るまま女性(おんな)に頼られ、幻想(ゆめ)に息衝く自己(おのれ)の感覚(いしき)は地響きから成る心地を保(も)った。幻想(ゆめ)に吸われる旧い一夜(とばり)に躰の気色は寸(すん)とも懐かず、幻(ゆめ)の還りを密かに待ち往く旧い挨拶(ことば)は生憶(きおく)を好く観て、幻想(ゆめ)の傍(そば)から究(きょく)を見て生く地蔵の感覚(いしき)に緩々して居る…。人間(ひと)の帳に明日(あす)が生くのに気楼の発端(はし)には悪魔が散(ち)ら突き、自己(おのれ)の佳日を無効に帰(き)すのは旧い典型(タイプ)の呪(まじな)いばかりで、明日(あす)の無形(かたち)に好く似た両眼(まなこ)は仮死を信じた脆(よわ)さを識(し)った。…幻(ゆめ)の初めへ果敢に挑める孤高の正義は髑髏を携え、幻想(ゆめ)の日々から個録(ころく)を惑わす〝旧い相場〟は昨日から成り、幻覚(ゆめ)の活き血を郷(さと)に好く観る不相(ふそう)の輪舞曲(ロンド)は〝始め…〟を知らずに、幻想(ゆめ)の巨躯から夢限(むげん)を気遣う分厚(あつ)い景色を伽藍に貼った。無断に活き生く〝不相(ふそう)〟の四肢(てあし)は精神(こころ)の佳日にその芽を安めて、不安を取り巻く自己(おのれ)の生躯(からだ)と精躯(せいく)を宿せる不幸を律して、幻(ゆめ)の夜半(よわ)から賄う体は、未知を報せず不毛を突いた―――。暗(やみ)の信途(しんと)を物怖じしながら精神(こころ)の労苦にそのまま遣るのは、明日(あす)に傾く自己(おのれ)の文言(ことば)を生憶(きおく)の通りに賄うからにて、悪しき紐から密(みつ)に飛び交う自体(おのれのからだ)は感覚(いしき)を感じ、白亜(しろ)い砦に「明日(あす)」を見て居る不毛の小敗地(アジト)をそのまま射った…。固陋から成る努力の信途(しんと)が過去に根付ける自己(おのれ)の身欲(よく)には、明日(あす)の肴を女性(おんな)に根付かす不浪の主観(あるじ)と相場が好く似て、明日(あす)の孤独と個録(ころく)の空間(すきま)に〝幻(ゆめ)の夜半(よわ)〟等ごまんと知った。体裁(かたち)を損ねる夜半(よわ)の界(かぎり)は〝女性(おんな)の活き血〟を体に吸い込み、白亜(しろ)い景色に自己(おのれ)を費やす不問の小敗地(アジト)を暗(やみ)へと遣りつつ、不応に損なう自然(あるじ)の景色は肴を欲して泳いで行った…。精神(こころ)の佳日が女性(おんな)を伴い、幻想(ゆめ)の妖女(ようじょ)に活命(いのち)を観たのは、暗(やみ)の界(かぎり)へ感覚(いしき)を伴う虚偽の感覚(いしき)に粋(いき)り立ち故、分厚(あつ)い空壁(かべ)から八頭(おろち)を成すのは継続され生く徒労に在った。精神(こころ)の四隅(すみ)へと確かに息衝く旧い孤独は一女(おんな)を好(よ)く図り、宙(そら)の佳憶(かおく)に自己(おのれ)を観て居る無欲の景色は電子を幻見(ゆめみ)て、孤高と自己(おのれ)を起死に取るのは不安を牛耳る加担であった。一人(ひと)の佳日が徒労を突き貫(ぬ)き宙(そら)の身元を悠々問うのは、幻想(ゆめ)と自己(おのれ)を架空に彩る不憶尽(ふおくづく)めの精神(こころ)の進歩で、白亜(しろ)い景色に尾骶を紐解く不応の自然(あるじ)は乱心(こころ)を異(い)にして、見様見真似で乱歩を着飾る分厚(あつ)い流行(ながれ)をそのまま彩(と)った。過去の空間(すきま)に一女(おんな)を立たせて身欲(よく)の成るまま宙(そら)へ逝くのは、幻(ゆめ)の生憶(きおく)と佳憶(かおく)の空間(すきま)の〝白亜(しろ)い労途(ろうと)〟に上辺(うわべ)だけ観て、精神(こころ)の流行(ながれ)に気楼を見送る不安を異(い)にした狂想さえ鳴る…。一人(ひと)に囀る無己(むこ)の景色は自己(おのれ)を貸し生く自然(あるじ)に戯れ、企図を知らずに過去を縫い生く〝気楼〟の芥(あくた)をそのまま幻見(ゆめみ)て、幻想(ゆめ)と乱心(こころ)の佳日の景色は〝霧〟に紛れてそのまま失(け)し去り、暗(やみ)の許容(うち)へと器用に活き貫(ぬ)く不当に導く佳日を保(も)った…。矛盾に帰(き)せ得る〝もどろ…〟の効果は無垢の景色を佳日に見上げて、明日(あす)に蔓延る感覚(いしき)の空間(すきま)を無心の景色にその芽を見て取り、脆弱(よわ)い女性(おんな)の気色を人物(もの)に見立てて白きを突いた。精神(こころ)に模し生く幻(ゆめ)の佳日は、自己(おのれ)に蔓延る景色を彩り、隈なく見据える四方(よも)の〝佳日〟を幻覚(ゆめ)の感覚(いしき)へそのまま見送り、精神(こころ)に棄て得る気楼の四季(きせつ)は凡庸(ふつう)に見送る精神(こころ)と成った。日々の経過に人間(ひと)が訪れ、悪しき成果(かなた)を幻(ゆめ)に観るのは、無法に見守る乱心(こころ)の成果と幻想(ゆめ)の佳日の最中(さなか)にそのまま見て取り、脆(よわ)い一女(おんな)の一体(からだ)を頬張る無心ばかりの往路(おうじ)と成った…。生録(きろく)に啄む一人(ひと)の佳日は〝自己(おのれ)の感覚(いしき)〟を宙(そら)へ名付けて、幻(ゆめ)に見送る不要の白衣(ころも)と物怖じせぬ魔の感覚(いしき)に名高く、悪しき旧巣(ふるす)へ女体(からだ)を突くのは不論の佳日と相場を取った。緊(きつ)い縛りの無欲の音頭は一人(ひと)を離れて小宙(そら)へと通り、自己(おのれ)の肢体(からだ)を母体へ返せる不倫ばかりの生憶(きおく)に従い、分厚(あつ)い日々から男・女(だんじょ)を観るのは旧来挿話(むかしがたり)の不純の一途(いっと)で…、悪しき罠より一人(ひと)を見出す不惑に基づく佳労(かろう)を彩(と)った。白亜(しろ)い四肢(てあし)に覇気が流れる気楼の進化は感覚(いしき)に気高く、暗(やみ)を見守る無数の静寂(しじま)に身欲(よく)を馴らせる不安が飛び交い、既知の無心(こころ)に旧(むかし)を問うのは〝暗(やみ)の静寂(しじま)〟ばかりで、過去に活き生く自己(おのれ)の扉は感覚(いしき)へ抜け生く生憶(きおく)を乞うた…―――。

      *

 ―――…気配と予測で、男だと分かった。見ると、ひょろ長い白体(はくたい)をした中学時の級友・退屈な男(やつ)だった。通称をぽんと言う。俺がスピードを上げると、ぽんと同じ程に上げ、嫌な好敵手(やつ)を踏襲してくれて居た。「なんでそんなに早よ走れんねん」と俺は〝付いて行けない〟と言った感じにスピードを緩め、脱落したように後ろへ行ったが、又もや、振(ぶ)り返して、俺の真横少し後方気味辺りに位置し、走った。が、矢張り走るのを辞めるように、失速した。しかし、俺には、態とのようにも見えた。

      *

 無機の集成(シグマ)にその実(み)を見果てて〝暗(やみ)の孤独〟へ安堵を観るのは、迷いを償う吐息の微かに「常に弱気の孤踏(ことう)」を強いられ、不安ばかりに幇助を養う不毛の小敗地(アジト)を転覆させ得た。気楼に見限る人山(やま)の中途で幻想(ゆめ)の弱音を情事(こと)に吐くのは〝迷い…〟さえ無い文言(ことば)の住処の鼓動に宣う人間(ひと)の体裁(かたち)で、意気込み忘れた孤独の姿勢(すがた)は過去に鳴かない浮浪を囀り、人間(ひと)の疾風(はやて)を虚空に据え置く魔法の人陰(かげ)など伽藍に散った…。幻(ゆめ)の生憶(きおく)に素通(すどお)る真昼(ひる)には〝夜半(よわ)の両腕(かいな)〟が紛れも無く在り、休み休みに気憶(きおく)を牛耳る精神(こころ)の模倣にその実(み)を限られ、旧(ふる)びた住処は感覚(いしき)を降ろせる不相(ふそう)の間を隈なく見て居た。人間(ひと)の両腕(かいな)と孤独の小宙(そら)には、人山(やま)に見積もる孤独が表れ、女性(おんな)の刹那は〝活き…〟が遠退く夜分の節度にその眼(め)を彩(と)られて、安み安みに巨躯を賄う無尽の朝日に揺らめき乍らも、今日を好く観る不尊の自然(あるじ)は血相(かお)を換え生く空転(まろび)を識(し)った…。気楼に伴う安い二性(ふたり)は過去の無様を錦(にしき)に掲げて、「明日(あす)の文言(ことば)」を上手(じょうず)に画(え)にする不惑の主観(あるじ)をその実(み)に寄せつつ、〝不頼(ふらい)〟ばかりを単調(リズム)に載せ生く「不毛の性差」をその眼(め)に買った…。幻想(ゆめ)の過憶(かおく)にその掌(て)を観る内〝不毛の成就…〟は孤独を介して、〝文句(ことば)〟を知らない孤踏(ことう)の前後で「白亜(しろ)い霧」など真横に置き観て…、幻(ゆめ)の一女(おんな)に過去を乱せる不論の成就をそのまま買った。過去の身欲(よく)から憂いが活き発(た)ち、幻想(ゆめ)の身重に発狂(くるい)が立つのは、加減を知らない不倖の〝女性(おんな)〟と、渡航を知らない堅い〝男性(おとこ)〟に、するするするする…文句(もんく)を言われて、滑稽(おかし)な生憶(きおく)に居座り続ける不論を牛耳る三日月だった。〝三日月〟から成る最期の人砦(とりで)に自己(おのれ)の意欲は散漫気味にも、明日(あす)を窺う魅力の思乱(あらし)に健康から成る御託を発し、幻想(ゆめ)に浮き立つ人煙(のろし)の如きは小宙(そら)へ失(け)される虚空の小敗地(アジト)に、そのまま返らぬ徒労の孤独は一人(ひと)に依り着く哀れを買った…。白亜(しろ)い床(ゆか)には寝相が観られて、漆黒(くろ)い小宙(そら)機嫌が成り立ち、幻想(ゆめ)に差し込む涼風(かぜ)の如くは体裁(かたち)を成さずに〝相図(あいず)〟を拵え、幻覚(ゆめ)の奥地へ温味(ぬくみ)を培う不法の〝小敗地(アジト)〟を払って行った…。固陋を剥き出す無様の哀れは「奈落の底」から元気を培い、幻(ゆめ)の雅に貴く流行(なが)れる〝器用な眼(め)〟をした孤踏(ことう)に突っ伏し、幻(ゆめ)の女性(おんな)は過去を振り分け精神(こころ)を拝する「不要の如く…」をその日に差し向け、淡い独創(こごと)は余所を知らない〝男性(おとこ)の理性(はどめ)〟を保(たも)って在った…―――。過去に活き尽(き)る欲の内実(なかみ)が孤踏(ことう)に冴え得る精神(こころ)の強靭(つよ)みは、普遍に集える体裁(かたち)の内実(なかみ)を暗(やみ)に伴う思乱(あらし)を呼び付け、幻想(ゆめ)と精神(こころ)に飛び交う快感(オルガ)を相撲に見立てて主観(あるじ)を呼んだ。幻想(ゆめ)の着物が白衣を投げ掛け白亜(しろ)い項(うなじ)に女性(おんな)を見取れば、過去に役立つ炎の小敗地(アジト)は向日に突っ立つ不憫を手に取り、暗(やみ)の静寂(しじま)に虚空を見抜ける不為(ふい)の成就に志願を立てた。白亜(しろ)い吐息に充満して居る不毛の感情(こころ)は感覚(いしき)を見遣れど、分厚(あつ)い空壁(かべ)から人物(もの)を描(か)くのは無報(むほう)の一派を分裂させ活き、幻(ゆめ)と孤独に白体(からだ)を仕留めた〝不毛の輪舞曲(ロンド)〟をその瞳(め)に彩(と)った。美声(こえ)のする間(ま)に悪魔が囁き不毛の小敗地(アジト)に傀儡(どうぐ)を立てれば、幻想(ゆめ)の速水に孤独を忘れる孤踏(ことう)の連呼に連歩(れんぽ)を編む付け、明日(あす)に好(よ)く咲く不幸の一歩(はじめ)は苦行の亘(わた)りにしどろを編んだ。男女(ひと)の寝る間(ま)に不等を這わせる不意の独理(ドグマ)に下降を観るのは、夜半(よわ)に死に生く不幸の小敗地(アジト)と「一幻(ゆめ)の逆行(もどり)」に律儀を組み換え、分厚(あつ)い夜空に感覚(いしき)を翻(かえ)せる不惑の遊歩は機嫌を損ねて、安い旧巣(ふるす)に不安を伴う「幻(ゆめ)の儀式」へその芽を遣った。過去に降(お)り立つ不安の連歩(れんぽ)は安い旧巣(ふるす)に安堵を欲しがり、安く気取れる滑稽(おかし)な幻(ゆめ)には白体(からだ)を欲しがる不幸を信じて、虚無に昇れる不孝の成就は未知に伴う妄想ながらに…、一幻(ゆめ)の連呼と鬼畜を欲しがる「幻覚(ゆめ)の女性(おんな)」に迸々(ほとほと)化けた。架空を空転(ころ)がる未信の人群(むれ)には安い八頭(おろち)が意固地を得ながら、自己(おのれ)の虚無へと身塵(みじん)を引き抜く不幸の体裁(かたち)を女性(おんな)に好く観て、人間(ひと)と形(なり)から美声(こえ)を高める不安の成就は小宙(そら)を知りつつ、自体(おのれ)を騙せて不幸を伴う旧い〝人社(やしろ)〟へ秘(ひっそ)り入(い)った…。幻想(ゆめ)と乱心(こころ)が幾夜に寝覚めて「明日(あす)」を切り裂く不幸を知らねど、不為に稼げる不安と成就は密(みつ)に咲かせる〝不幸〟を見詰めて、一幻(ゆめ)の寝覚めを甲斐に負わせる「不安と安堵」を欲しがり続けた…。自己(おのれ)の木霊を気憶(きおく)に遣りつつ不応に馴らせた後光は静かに、不穏を按じぬ未活(みかつ)の勇気と緑(りょく)に訓(おそ)わる四季(きせつ)に焼噛(やっか)み、白亜(しろ)い木霊が佳日に観るのは幻想(ゆめ)の分業(ノルマ)と同等巡(どうとうめぐ)りで、白亜(しろ)い四季(きせつ)に流行(ながれ)を観るのは〝幻想(ゆめ)の私欲(よく)〟と語って行った…。一幻(ゆめ)と個欲(こよく)に精神(こころ)を観るのは旧来挿話(むかしがたり)の孤独と一緒で、白亜(しろ)い佳日に人物(もの)を問い生く乱心(こころ)の効果と無論に在るのは、行方知れずの孤独の背後の「小宙(そら)」を見積もる加減と同時に、淡い四季(きせつ)に白体(からだ)を欲しがる無根に賑わう流行(ながれ)であった…。幻想(ゆめ)の生憶(きおく)と効果を労い虚偽を感じて連想(ドラマ)を成すのは、孤高に息衝く不感の成就と漆黒(くろ)い結界(かぎり)の浮沈と同じで、如何(いか)に遮る無心の小敗地(アジト)は男女(ひと)の体裁(かたち)を滔々越え得る…。未知の目下(ふもと)でこっそり活き貫(ぬ)く無沈(むちん)の浄化と起死の連ねは、甘い小声(こえ)から小声(こごえ)を発する「幻(ゆめ)と不惑」の限りを訴え、白亜(しろ)い霧から人体(からだ)を問うのは以前(むかし)に好く似た格好(かたち)を偽り、安い夜宙(よぞら)に化身を観守(みまも)る〝孤踏(ことう)の人社(やしろ)〟を上手(じょうず)に射った―――。

      *

 ―――ラストスパートの時、ポンは後方を走る事が決定したように定着し、俺達は土の坂道を必死で走り始めた。黒い女や、周りに居た者達も居た気がする。一緒に走る者達と走り、ゴールでは、若き日の長渕と、『ろくでなしブルース』の仲間のような一寸顎のあたりが太目で不細工な中学の頃の俺の先輩のような奴等が出て来て、俺や、他の奴等をも励まして居た。

      *

 先を知れ得ぬ女性(おんな)の交響(ひびき)は小宙(そら)に蔓延る無心の一座で、暗(やみ)を掌(て)にする浮浪の小敗地(アジト)を幻想(ゆめ)の孤憶(こおく)にどぎまぎさせつつ、不意の集体(シグマ)を精神(こころ)に宿せる無穏(むおん)の兆しをそのまま観て居た…。過去の対岸(きし)から乱心(こころ)を揺さ振る浮浪の孤独は〝小敗地(アジト)〟を識(し)りつつ、幻想(ゆめ)に蔓延る無残の集体(からだ)は枯渇を手にして暗(やみ)へと葬り、安い体を気憶(きおく)に揺さ振る不倫仕立ての妄想から成る…。幻想(ゆめ)と精神(こころ)の交差の前後に孤高の小宙(そら)から身元が移ろい、幻想(ゆめ)と真綿の姑息の所在(ありか)は過去の〝問い〟まで浮沈に置き去り、分厚(あつ)い人壁(かべ)から技巧を表す無名の進度(しんど)を素早く識(し)った。孤高に息衝く乱心(こころ)の生果は女性(おんな)の体を上手(じょうず)に擡げて、安まる幻想(ゆめ)から無駄を省くは帰省の最中(さなか)の恰好(かたち)に同じで、漆黒(くろ)い手綱に奇妙を失くすは幻(ゆめ)の成果の逆転から成る。不安ばかりにその身が相(あ)され幻想(ゆめ)と夜半(よわ)とが重なる日々には…、脆弱(よわ)い振動(うごき)が過去を懐かす旧い典型(タイプ)の一女(おんな)が着飾り、分厚(あつ)い流行(ながれ)に生憶(きおく)を灯すは無幻(むげん)の一座と同様だった―――。架空に紐解く試算の哀れは身重を蹴散らす御殿を遠ざけ、精神(こころ)と中身を無断に設ける私利の限りが四季(きせつ)に朗(あか)るく、緊(きつ)い体裁(かたち)に一夜(とばり)を設ける旧い野菊の文言(ことば)の上では、安い体裁(かたち)が稼業に徹する〝不要の努力〟にその芽を割いた…。自体(おのれ)の過去から無幻(むげん)が逆巻き宙(ちゅう)を揺れ浮く乱心(こころ)の信途(しんと)は、幻想(ゆめ)に始まる固陋の小敗地(アジト)が噴散(ふんさん)して生く未完(みじゅく)を按じて、幻(ゆめ)の許容(うち)へと仕舞われ始めた。無垢に活き貫(ぬ)く体裁(かたち)の総ては理想に燃え生く四季(きせつ)を報され、不穏と豪気が佳日を仕分ける不為の活き血に躰を創り、初めて相(あい)せる〝安味(やすみ)〟の呼吸(いき)には〝無論〟が蔓延る好(よしな)を識(し)った…。分厚(あつ)い流行(ながれ)が俗世(このよ)を脱(ぬ)け出て〝幻(ゆめ)の夜半(よわ)…〟加減を射るのは、孤踏(ことう)を取り巻く精華(はな)を幻見(ゆめみ)る思記(しき)の心地を無断に介して、〝併せ鏡〟に許容を据え置く「幻(ゆめ)の躰」は単純(ひとえ)に相(あい)さず、旧い野原を小宙(そら)に描ける不明の情緒を反転させ得た―――。孤高に色付く気色の許容(うち)から女性(おんな)の掌(て)に依る不真面目だけ見て、安い調子を一体(からだ)へ懐かす不満の途切れを夜半(よわ)にも幻見(ゆめみ)て、片々(かたかた)震える余信(よしん)の合図は〝相図(あいず)〟を忘れて迷路へ発(た)った…―――。幻見ヶ丘(ゆめみがおか)に気道を見限る〝都市の謂れ〟は従順(すなお)を講じて、精神(こころ)の所在(ありか)を追い駆け生く内、過去の冴えから軒端が芽生え、幻(ゆめ)の遥かを覆い始める白雲(くも)の流動(うごき)を逆転させ得た…。奇妙を覗ける恰好(かたち)の上では徒労に突き出る万歩が抜け出て、安み安みに体裁(かたち)を象る浮浪の囃(はや)しは孤独に冗(じょう)じて、安い男性(おとこ)の幾多の幻(ゆめ)には徒労に相(あい)せぬ不浪の一種は、多言(たごん)を相(あい)せぬ無浪(むろう)が飛び出て、暗(やみ)に仰け反る不覚の思乱(あらし)は孤高の御託と暫く眺めて、愛する孤独に既知を感じる無限の生憶(きおく)に終止を打った。紅(あか)い夕日に寝首を擡げて精神(こころ)に相(あい)せる不倫の一種は、幻想(ゆめ)の孤憶(こおく)に表情(かお)を描(か)き生く自己(おのれ)の不覚に美声(こえ)を挙げつつ、〝面喰(めんく)い…〟ばかりが興(きょう)を換え得る不応の主観(あるじ)をその意(い)に採った。自体(おのれ)の過去から夕日が漏れ出る精神(こころ)と不覚は匂いを遠ざけ、脆弱(よわ)い体裁(かたち)に白亜(しろ)さを纏える不盲(ふもう)の主観(あるじ)をその掌(て)に遣った…。幻(ゆめ)と乱心(こころ)は不束成れども途方に暮れ行く際(きわ)では朗(あか)るく、〝練習〟ばかりが宙(そら)を牛耳る男性(おとこ)の理想(ゆめ)など為体(ていたらく)に観え、野暮を片手に見限る景色は人間(ひと)の感覚(いしき)に相乗して生く…。無言に気遣う空気(もぬけ)の暗(やみ)には幻(ゆめ)の人煙(けむり)が〝徒労〟を掲げて、不為の感覚(いしき)と俄かに駆け寄る不論の共鳴(さけび)は感覚(いしき)を遠退け、暗(やみ)の最中(さなか)へその実(み)を保(も)つのは驚愕から観た延描(スケッチ)だった。精神(こころ)の無理から孤独が描(えが)ける不浪の幾多は残念乍らも、幻想(ゆめ)の問いへとその場を設ける深い生憶(きおく)へ苛まれて活き、固陋を扱う最果(はて)の盲者(もうじゃ)は自己(おのれ)の過去から阿漕を採った…―――。

      *

 ―――…俺は、走ってテンションが上がった為か、妙にヒーロー気取りに成り、手を差し伸べようとする者達(長渕、中学の先輩のような不良少年達)の手を振り払って、無言で(内心では、邪魔してんじゃねぇ、と言ったような一端いっぱしの台詞を相応に恰好付けて宣うて居た)、高みへ走り込んだ。坂道の或る程度まで上り詰めた所がゴールなのだ。

      *

 過去の歴史を紐解き生く頃「自己(おのれ)の規律」は左往に基づき、旧い空扉(とびら)を孤憶(こおく)へ沈める無用の極意をその掌(て)に採った…。気楼に基づく日々の糧には、人間(ひと)の木霊が〝孤独〟を織り成せ、病める乱心(こころ)を宙(そら)に求める疲労の局致(きょくち)が基(もとい)を促せ、脆弱(よわ)い文言(ことば)に過憶(かおく)を気遣う無用の主観(あるじ)を小言に保(も)った。幻想(ゆめ)の行方に四季(きせつ)が流行(なが)れる旧い過憶(かおく)に沈んだ運気は、幻(ゆめ)の孤独と四季(きせつ)の孤独を人間(ひと)へ投げ掛け感覚(いしき)を問いつつ、無闇矢鱈に情事(こと)を懐ける「無要(むよう)の信義(しんぎ)」に難儀を識(し)った。孤高に導く「旧(ふる)びたその掌(て)」は過去に基づく心地を呼び付け、日々の温味(ぬくみ)を躰へ躾(しつ)ける幻想(ゆめ)の動作へ渡って行った。幻想(ゆめ)と乱心(こころ)を無欲に問ううち精神(こころ)の乱れは気憶(きおく)に吊るされ、幻想(ゆめ)と歌舞伎を一重(ひとえ)に見守る孤高の仕種に〝女性(おんな)〟を射ながら、過去の空間(あいだ)を無用に懐ける「幻(ゆめ)の一夜(とばり)」へ如何(どう)でも入(い)った…。旧い気憶(きおく)と現行(いま)の記憶が旧来独語(むかしがたり)にその実(み)を観るのは、思い逸(はや)れる孤高の震度(しんど)と自体(おのれのからだ)の密(みつ)に感けて、安い千夜(とばり)にその芽を見下ろす不用の主観(あるじ)の機嫌を取った。自己(おのれ)の過去から機嫌を損ねる〝旧い盲下(もうか)の茂(しげ)り…〟の許容(なか)では、過去の人生(みち)から概(おお)きく跳び立つ不応の主観(あるじ)にその芽を留めて、過労に突き出る未知の生憶(きおく)は加減を識(し)らない普遍を知った。幻想(ゆめ)の四季(きせつ)に孤独が漲り過去の木霊を好(よしみ)に観るのは、旧来独語(むかしがたり)の問わず語りを白亜(しろ)い調子にすんなり射通(いとお)し、安い玩具(おもちゃ)を見様見真似で〝世間〟へ繋げる過憶(かおく)として居た…。白亜(しろ)い気取りに未然が跳ぶのは理然(りぜん)の許容(うち)へと孤独が先駆け、無知の仕種に孤独が飛び交う女性(おんな)の集体(からだ)の火照りは紅(あか)らみ、安い佳日に導く文言(ことば)は自己(おのれ)の無心に上手(じょうず)に発(た)った…。虚無の内から無闇が先駆け、白亜(しろ)い四季(きせつ)に自己(おのれ)が問うのは、未然に尽き切る脆(よわ)い効果と煩欲(ぼんよく)から成る不能とを観て、安い仕事に〝私事(しごと)〟を突き刺す「孤独ばかりの器量」を知った。過量(かりょう)に伴う〝器量〟の行方は、対岸(きし)の好さから運路(うんろ)を悦び乍らも、過去に活き尽(き)る不毛の主宴(うたげ)が呑気を渡れる精神(こころ)を着せ替え、脆(よわ)い四季(きせつ)に運路を這わせる〝不能〟に導く兆しを買った…。自己(おのれ)の無口に幻想(ゆめ)を相(あい)させ、精神(こころ)の鬼畜に〝女性(おんな)〟を観るのは、醒めた精神(こころ)の無情の明かりと乱心(こころ)の従途(じゅうと)を沈殿させ得て、安(やす)む間も無く四季(きせつ)を合せる不能の体裁(かたち)を自然(あるじ)へ射った…。

      *

 …そこで目が覚めた。漫画みたいなキャラに陥って、ヒーロー気取りした自分が先ず恥ずかしく、笑っちまうものに見え、次に、娘を持って居た自分に驚いて居た。

      *

 古墳に際する不問の動きは好(よ)くも悪くも成果(かなた)に弄(あそ)び、白亜(しろ)い四季(きせつ)に煩悶して生く〝水と霊との…〟を観て居た。過去に逆行(もど)れる気楼の生果(かなた)に安む間も無く乱雑さえ研ぎ、自体(おのれのからだ)を自由に保(たも)てる不在の延路(えんろ)を心理(こころ)に留(と)め置き、旧来挿話(むかしばなし)に無刻(とき)を過せる〝不頼の小敗地(アジト)〟を丈夫に保(も)った。自体(おのれ)の過去から未来(さき)が活き過ぎ、永久(とわ)の流行(ながれ)に孤独を観てから、脆弱(よわ)い過去への曲がりの巨躯には〝未知〟に埋れる人間(ひと)など活き過ぎ、挨拶(ことば)巧みに感覚(いしき)を統(たば)ねる幻想(ゆめ)の弱気をその掌(て)に採った…。自己(おのれ)の空間(すきま)に徒労を二重(かさ)ねる〝不穏続き…〟の小敗地(アジト)の小宙(そら)には、旧(むかし)から在る未然の幾多が星を手に取り休む間も無く、幻(ゆめ)と未知とに果(さ)きを識(し)る儘「不頼に活き着(づ)く文言(ことば)」を保(も)った…。可笑しい小宙(そら)が棚引き、幻想(ゆめ)の行方に木霊が載るのは、暗(やみ)の彼方へ果(さ)きが届かぬ「未来挿話(みらいそうわ)」の小敗地(アジト)が飛び越え、幻(ゆめ)と電子(ひかり)にその芽を観て生く固陋の独創(こごと)に悪態吐(づ)いた。孤高に活き着(づ)く旧(むかし)の景色は「一幻(ゆめ)の音頭」をその目にした儘、安い体裁(かたち)を留(とど)まる事無く、精神(こころ)の情緒へ紡いで行った…。無刻(とき)に蝕む自己(おのれ)の孤独は〝肢体(からだ)〟を観るまま無残に着せ替え、惨い仕打ちに過度を割き生く未踏(みとう)に蔓延る無解(むかい)を知った。無刻(とき)の生くまま旧(ふる)びた宮(みやこ)は過去の掌(て)に堕ち暗(やみ)へと空転(ころ)がり、しどろもどろに羽(はね)を翻(かえ)せる不要仕立ての地雷を拵え、過去に導く自体(おのれのからだ)を無言に帰(き)せ得る未来(みらい)を採った…。炎の灯(あか)りにその実(み)を横たえ、無心の生命(いのち)に一通(とおり)を詠むのは、開闢から成る〝夜半(よわ)の過去…〟など堂々巡りの太鼓を持ち出し、女性(おんな)の芽に着く「不毛の八性(おろち)」は〝不悶(ふもん)〟に差し込む従順さえ観た…。脆弱(よわ)い過去から宙(そら)を観たまま見上げた孤独は個力(こりょく)を相(あい)して、暗(やみ)の肴をその掌(て)に好く観た旧来挿話(むかしばなし)の嫌いを負った…。自己(おのれ)にはにかむ八頭(おろち)の両刃(やいば)が過去に昇るは必定なれども、遠い大宙(そら)から凍り付くのは旧(むかし)だてらの音頭の相異で、気楼に培う八人(ひと)の多くは精神(こころ)の無知から御殿を廃して、安い畝(うねり)にその実(み)を催す白亜(しろ)い一灯(あかり)に念頭(あたま)を保(も)った…。漆黒(くろ)い景色が感覚(いしき)を保(も)つのは、幻想(ゆめ)と生憶(きおく)の孤踏(ことう)の最期の一夜(とばり)を保(も)たない遊戯に呑まれて、段々遠退くマンネリズムが男性(おとこ)の仔細を牛耳り始めた…。自己(おのれ)の過憶(かおく)を身欲(よく)に引き出し甘い果実に夢想を観るのは、通り相場の過去の生憶(きおく)と自己(おのれ)の気色の理性(はどめ)と異なり、安(やす)む間も無く呼吸を培う〝旧い果実〟をその掌(て)に採った…。明日(あす)の孤独を孤踏(ことう)に観守る人間(ひと)の奥義は底へと寄らずに、宙(そら)の目下(ふもと)で可笑しく気遣う「無心の情緒」をその芽に濡れさせ、分厚(あつ)い吐息と御殿を観るのは〝旧来情緒(むかしじょうちょ)〟の悪魔と成った…―――。遠距離走(マラソン)だけする家屋の信者は、孤踏(ことう)に導く旧さを見守り、幻想(ゆめ)と孤独の家畜に苛む脆弱(よわ)い過憶(かおく)にその芽を彩(と)られて、幻想(ゆめ)の淡味(あわみ)に身欲(よく)を費やす〝旧巣(ふるす)の自覚(かくご)〟をその掌(て)に結(ゆ)った…。

幻想(ゆめ)に始まる旧(むかし)の擬音は孤踏(ことう)に振り生く不沈を拵え、暗(やみ)の許容(なか)へとその身を見果てぬ個録(ころく)の感覚(いしき)と景色を観ながら、明日(あす)に棚引く孤独の様子は不順に従う気色を結(ゆ)った…。男女(ひと)の小敗地(アジト)に生命(いのち)が活き着(づ)く無想の波乱に活路を射った。幻想(ゆめ)の活路を道程(みち)に沈める〝不論続き〟の無想の精華(はな)には、幻(ゆめ)の身活が沸々蔓延る乱心・乱歩が身分を偽り、逸る景色に感覚(いしき)を見て取る「孤高と自己(おのれ)の領土」を詳しく保(も)った…。固陋の人陰(かげ)から無進(むしん)が息衝く不相(ふそう)に信じた夜半(よわ)の内(なか)では、幻想(ゆめ)と自己(おのれ)の色香(いろか)を気にする「無像・無欲」が這い擦(ず)り息衝き、紺(あお)い感覚(いしき)が孤踏(ことう)にぬかづく悲壮の自覚(かくご)が人並から漏れ、暗(やみ)の果てから幸先(さき)を巡れる孤相(こそう)の終焉(おわり)に精神(こころ)を保(も)った…。自己(おのれ)に始まる無想の忌みには、暗(やみ)の感覚(いしき)がそのまま成らずも、化身に好く観た孤独の最期と不通に好く似た地獄が表れ、幻想(ゆめ)の幸先(さき)から無断が空転(ころ)がる無音の哀れがこの世に飛んだ。分厚(あつ)い人壁(かべ)から不惑が飛び交い人間(ひと)の両腕(かいな)に魔の手が寄るのは、自己(おのれ)に好く似た躰の景色が脚色(いろ)に見舞われ乱転(らんてん)して活き、幻想(ゆめ)の初めに八頭(おろち)を失くせる〝不和の夢路〟は清く緩まり、明日(あす)の褐色(いろ)から見真似に彩る不応の小敗地(アジト)の亡命も在る…。感覚(いしき)の理性(はどめ)に未知が落ち込み、幻想(ゆめ)の初歩(はじめ)へ乱歩が生くのは、途方に暮れ生く未活(みかつ)の小敗地(アジト)の精神(こころ)の向きから葉月を好く観て、女性(おんな)の小片(かけら)を物憂く集める不穏の果実を呼び込み始めた。生憶(きおく)へ棚引く不装(ふそう)の愛奴(あいど)が未知に戯れ歩先(ほさき)を丸めて、問わず語りの落ち度を見付けた不和の空気をその手にした儘、精神(こころ)の過憶(かおく)と人山(やま)の生憶(きおく)は脚色(いろ)を組み分け活命(いのち)を買った…。悲壮に組み入る旧(むかし)の流行(ながれ)は生憶(きおく)の許容(なか)から瞳を見守り、安い枯渇に自己(おのれ)を好く成す不倖の両手を程々好く観て、安い生憶(きおく)が下等を好く観て〝不義の要(かなめ)〟に未来(さき)を詠むのは、幻想(ゆめ)に始める自己(おのれ)の感覚(いしき)の身欲(よく)を束ねる無想であった…―――。

      *

 過信に生き足る静かな許容(うち)には、自己(おのれ)の旧来(むかし)が活き活きして居た…。

      *

 自身(おのれ)の旧(むかし)に過実(かじつ)が生くのは、幻想(ゆめ)の一通(とおり)の撃退から成る…。

      *

 夢想に蔓延る無心の乱歩は、堂々巡りに小宙(そら)を渡って、人間(ひと)に知られた精神(こころ)の両刃(やいば)を下等に毛嫌い妄想して居た…―――。


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~股間の小敗地(アジト)・続編~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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