婚約破棄公爵令嬢リルオードは最後に第二王子の寵愛を受ける.12

 結局、アルフレッド王太子の野望を知った国王陛下により、王太子は妻のクラリッサ共々、王家を追われることになりました。

 ああ、可哀想なクラリッサ。

 後に聞いた話だと、お腹の赤ちゃんは産むことが出来なかったそうです。

 愛する旦那様は断頭台に。

 アレンくんは孤児院に。

 肝心のクラリッサは。


 お腹の赤ちゃんを流産した翌日、幽閉されていた塔から身を投げました。


 可哀想ですか?

 わたくしはひどいですか?


 かまいません、別に。


 わたくしは、に、復讐を成したのですから。


 では、ここからはあの日のダイジェストをお見せいたしましょう。


 ……


「はあっ? あ、あんたっ、うちの家がそんな馬鹿げたことしようとしてるとか、ほんきでそ、そう思ってるんじゃないでしょうねっ」

「貴様、我が王家と妻を侮辱するのは、ゆるさないぞ! だれか、だれかこの女をつまみ出せ! ……だれか! なぜ誰も来んのだ!」


「それは兄上。すでに王家には私から話を通してあるからだ」


「アレクシス……な、何を言ってる?」

「そこのリルオード・イングラム公爵令嬢が仰っていることは誠だ。なにせ私が七年かけて内偵させた結果だからだ。……そなたも分かっていて、兄に近づいたのだろう、クラリッサ・ウェントワース」

「あ、アレクシスさま、あ、あたくしがそんな大それたこと出来るはずが……」

「出来るんだよ。君はお父上から全てを教え込まされて、今ここにいる。すでにウェントワース家には憲兵の捜索が入っている。証拠も山のように出たとの通知が来た」

「くっ……弟の癖にっ! 誰がここまで育ててやったと!」

「なんとでもおっしゃい。もはやあなたは王家の者ではない」

「は……?」


「アルフレッド。私がアレクシスから報告を受けた時、お前をどう思ったと思うね?」


「ち、父上! 違います、全てはこの者たちのが謀ったこと! 私は王家のためクラリッサと結婚し……」


「それはお前のため、ではないのかね」


「ち、父上! 父上!」

「捕らえろ」

「父上! アレクシス! 違うんだ、信じてくれ、父上ーっ!」

「あなたー! あなたーっ!」


「ひどい、ひどいわリルオード! あたくしたちの家族を引き裂いて! ひどいわ!」

「あら、クラリッサ。ひどくなんかないわ……だって」


「とっても美味しい前菜オードブルだったもの」

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