大好きなお兄様を守れなかったバリキャリウーマンの私が幼女に転生したので、次は絶対に大好きなお兄様を守り切ります!!.13

「アリッサちゃんっ? だめよお、オトナのパーティに勝手に入ってきちゃあ」

「かってにはいってきたのは、バーバラオバサン、あなたじゃなくて?」


 私は冷たい目でオバサンを睨みつける。

 オバサンの顔には、まだ余裕があるように見える。

 ……その余裕、いつまで持つかしら。


「みなさん、これをごらんくださいまし!」


 そう言ってわたしは収支報告書を高らかにパーティ会場に撒いた。

 ……誰も取ろうとしない。


「ぷっ……アリッサちゃん? そういうイタズラはね、やっていいことと悪いことが」


 もちろん、想定済みだ。

 そのうちの一枚を持って、つかつかと陛下の前に持っていった。


「こ、これ、陛下の前で無礼であろう!」

「まあ、まて……」


 陛下が興味を示した。


「……随分、支出が増えておるな?」

「はい」


 私が笑顔で答える。

 そして、バーバラオバサンの所に駆け寄って、左手をひっぱった。


「あれれー? これ、おかあさまのかたみのエメラルドのゆびわとそっくりー! おかあさまとおそろいなのかなー? ……それとも、とっちゃってたりして?」

「……アリッサちゃん。イタズラはその辺にしないとおばさん許しませ──」

「あれれー? オーウェンおにいちゃんとオリヴァーおにいちゃんのタイピン。おとうさまのとそっくりー! これもとっちゃったのかなー?」

「アリッサ! いい加減に──!」


「盗ったんですよ」


 ざわっ。

 車椅子に乗ったその人の影に、皆が注目する。


「……レイモンド……お前なんで……」


 オーウェンが呟いた。


「僕は半月前、その兄弟に突き落とされました。階段から」


 ピエールさんに車椅子を押されて、お兄ちゃんが入ってきた。


「そして、その時、薄れゆく意識の中で聞いたんです。……『この家を乗っ取るためだ』『母さんに頼まれただろう』……ってね」


 皆の視線がバーバラに集まる。


「しょ、証拠は? 証拠が何もありませんわ! ねえ、陛下、この者達の発言には全て証拠がございませんわ!」


 バーバラが必死に訴える。

 ……やっぱり、アレを使わなきゃだめそうね。


「アシュリーさん、おねがい!」


 私がそう呼ぶと、ひとりのメイドが、何か大きな装置をトローリーに乗せて運んできた。

 そして、神妙な面持ちで、静かに言った。


「みなさまのお耳に入れたいことがございます」

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