僕と透明な雨
三毛犬
第一話 笑顔
僕は幼少期から人と関わることがなかった
重なる転校や自分表現の皆無からで友達もいなかった
それで良かったと昔の自分なら言ってただろう
母「大丈夫?学校まで送ろうか?」
勇躍「大丈夫だよ、それよりお母さんの病状はどう?」
母「大丈夫よ、心配なし!!」
外は台風の接近による大雨だった
母は膵臓がんを先月から発覚しており
もう長くはないらしい
僕の前では苦しい顔すら見せてくれなかったけどね
学校につくと仲が良い人もいない教室で
一人うずくまりながら、好きな曲を脳内再生させていた
ゆみ「おはよう!!」
彼女は「ゆみ」、なんかわからないけど
心配して話しかけてくれてるんだろう
勇躍「う、うん!お、おはよう」
ぎこちないのはわかってるでも
うまくできないんだ、、、
ゆみ「お母さん大丈夫?なんか病気?って聞いたけど!」
勇躍「あーうん、、、きっと大丈夫だよ」
ゆみ「それなら良かった」
隣のクラスの女子「ゆみー!いくよー?」
ゆみ「はーい!じゃ!またね勇躍くん」
僕は首を縦に振った
雨の音がポツポツと降る、外は朝なのに暗くてでもどこか暖かくて
なぜか「寂しい」とつぶやいた
自分のせいだろ!!って自分に言いたくなった
学校が終わると母はいなかった
お隣の佐藤さんが教えてくれた
僕が帰って来る前に倒れて、病院へと運ばれたらしい
僕は考えるよりも足が動いていた
たった一人だけの味方がいなくなるのが怖かったのだ
母の病室にいく、やはり前より元気はなかった
お医者さんが言うにはあともって2週間ほどらしい
僕は膝から崩れ落ちた
すると僕の胸辺りに肌白い細い手が差し伸べた
???「どうしたの?」
それは僕より一個か二個上だろうか
少し大人っぽい女性が手を差し伸べていた
勇躍「な!なんでもないです、、、」
???「うそだー!」
彼女はニコッと微笑む
勇躍「ほんとです!!ではここで!!」
僕は逃げようとした
なぜか胸が傷んだのだ
あの細くて小さい体に何本も針が刺さっている
僕はここに居てはいけない
そんな気がした
???「まって!!」
???「これ!落としてるよ」
彼女は母からもらった青色のハンカチを持っていた
勇躍「すいません、、、」
???「いいんだよ!まぁ私も一人で寂しかったしちょっとそこで話そうよ」
勇躍「は、はい」
僕はよくある観葉植物の横のベンチに座った
???「私ね、実は悪性新生物っていうがんなんだ、」
勇躍「、、、」
???「ごめんね?!急に何?ってなるよね!」
勇躍「いや!、、、実は僕の母もがんなんです、、、」
???「ごめんなさい、、、」
勇躍「いいんです!!、だからもし叶うならもう一度元気にならないかなって」
???「そうだよね、、、」
僕は母に何をしてやれただろうか、
勉強もできない、家事もできない、
勇躍「僕はなにをしてあげればいいんでしょう、、」
なぜか目には涙が垂れていた
???「なにもしなくていいんだよ、きっとそばに居てあげたら」
???「それだけで!!お母さんは喜ぶよ」
勇躍「そうですか、、、あ、あの!!お名前は?」
???「私の名前は「ねね」!!」
勇躍「そうですか、覚えときます!」
ねね「うん!」
なぜか僕は救われた気がした
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