女騎士さん、子どもを拾う~ひたすら愛でながら復讐の旅へ~

公公うさぎ

第1章

プロローグ

「おいで、アンジュ!」


 うら若い女騎士が少年の名を呼びながら手を伸ばす。


「うん! シルヴィアおねえちゃん!」


 まだ幼さの残る少年が笑顔で女騎士、シルヴィアの手を握る。


 満面の笑顔だったが、しかしその目だけは何よりも昏かった。




 その昏さは、かつて少年が悲惨な目に遭った証。

 そして、まだ傷が癒えていない証。


 だからこそ、女騎士はその目を見るたびに決意を新たにする。


 これからは私が必ず守る。

 必ず幸せにする、と。


「よしよし、アンジュはやっぱり可愛いなぁ!」

「うぅ……おねえちゃん……」


 これから2人で旅に出る。

 辛いことも悲しいこともたくさんあるだろう。


 だけど2人一緒なら必ず乗り越えられる。


「ほら、疲れただろう? 抱っこしてあげるぞ!」

「い、いいよぉ……」




 時に悩み、時に過剰に触れ合い……全ての根底にあるのは少年への絶対的な愛情。


 これは、そんな女騎士が少年を愛でながら復讐の旅をする物語である。

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