とある寿司屋にて 回顧録
ピースの嵐が吹いてからすぐに、この世界には一方の性でなければ務まらない仕事など存在しないことが証明されつつあった。女性が総理大臣、男性がポルノスター、大いに結構なことだ。世界はそれを受け入れ、称賛した。
その名残はいまだ残ってはいる。
気難しそうに寿司を握る職人を見たことがあるのは、もはや元因子の連中だけだ。今、目の前で寿司を握る高校生くらいの少年は、俺の目にはアルバイトにしか見えないが、その手さばきと他の弟子たちの彼に対する態度を見れば、この店の大将に間違いなかった。
俺はその少年が握った寿司を頬張る。美味い。めちゃくちゃ美味い。
人生で食べた中で一番美味い寿司だった。
島から生きて帰ったら、寿司を食いたいとみんな言っていた。俺もその一人だった。
ピースフルのせいで島に送られ、ピースフルのおかげで美味い寿司にありつける。
世の中は皮肉の塊かもしれない。
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