《唐仁王伝説》九風録Ⅱ

布武スター

第1話 「凌霄求仙」

西部・西域戎州

吐蕃・万剣山・凌霄城

12月・正午


大唐王朝の西部に位置する万剣山の頂上に、年間を通じて白い雪が積もる地域があり、そこには巨大な城がひとつそびえ立っていた。

その城は凌霄城と呼ばれ、武者や修行者たちが修行を求めて集う場所だ。

凌霄城には仙術を使う仙人が住んでおり、仙人の導きを受けることで人生が変わると言われていた。


今日の天候は悪く、万剣山では吹雪が吹き荒れていた。

その中で苦しい旅をしていた一人の少年がいた。


「ここで終わりなのか?私の運命は変えられないのか?」

厚い防寒着を身に纏っていた少年も力尽き、倒れこんでしまった。

カンダン!少年は暗闇に包まれた。


……


「起きなさい!君、大雪の中で寝てはいけません!」

「さっきの状況は本当に危なかったよ!」

少女が少年を起こした。


少年が目を覚ました最初の光景は少女ではなく、目の前に広がる雪に覆われた巨大な城だった。

「ここはどこ?」

少年は自分が高速で移動しているような感覚を覚えながらも、風を感じることはなかった。


「少々お待ちください、もうすぐ到着しますよ!」

少年が振り返ると、白い道着をまとった道姑が空を飛びながら言っていた。

その傍らには16歳の美しい少女がいた。


「ああ、これは高すぎる!」

少年は下を見下ろし、数千メートルの高さにいることに気づく。下には広がるのはただの山々と白い雪だけだった。

「あなたたち、一体何をしているんですか?これはあまりにも危険です!」


「安心してください、師匠はとても強いんですから!」

美しい少女が自信たっぷりに言った。

「私たちは、凌霄城の修士なんです!」


三人は凌霄城の上空に到着し、一瞬で隕石のように地面に向かって急降下し、地面から30センチの距離で静止した。


「ははは、師匠の駐車技術は本当に素晴らしいですね!」

美しい少女が道姑に向かって大声で笑った。

「もう一度、もう一度やって!」


「失礼ですが、ここはどこですか?」

数十秒後、少年は急降下からの驚きからようやく立ち直り、道姑に尋ねた。


「ここは凌霄城です。」

「私たちは、一心問道の修仙者です。」

道姑は静かに朱唇を動かし、その言葉を口にした。


「凌霄城」と「仙」の二つの言葉を聞いて、少年はすぐにひざまずいて頭を下げた。

「仙師と仙子、私を救ってくれてありがとう!」

「頼む、凌霄仙術を教えてください!」


少年が地に伏しているのを見て、道姑の目が氷のように青く光った。

まるで少年を見透かそうとしているかのように。

「悪くない。お前ば、いいよ。」


「ありがとうございます、上仙様!ありがとうございます、上仙様!」

少年の李久諒は、仙子たちにひたすら礼をし、まるで臣下が皇帝に会うような姿勢だった。


「立って。お前の命は、俯首せずに済むほど弱くはない。」

道姑は言葉を続け、少年の手を引いて起こした。


「刀は猛虎の如く、剣は飛鳳の如く、槍は游龍の如しという。」

「そして、私はお前を見ると、真の龍である。」

道姑の話し方は平静だが、それは李久諒の体内に眠っていた血脈を目覚めさせたようだった。

まるで長い間眠っていた雪の白い飛龍が、李久諒の身から飛び出し、天を衝いた。


「これから、お前は私と共に槍法を修練するのだ。」

道姑は平然と言った。


「はい、師匠!」

李久諒は再びひざまずいて、三度頭を下げた。


以後、李久諒少年は道姑と共に仙術と槍術を学び始めた。

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