第42話 嫌な予感
昨日のことがあってか、あまり寝れもせずに朝も迎えた。
顔を洗い、歯を磨き、制服に着替えて登校の準備をする。
未奈に連絡……しようとしたのだが、まだ一人で登校しよう。
家から出ると、いつも通りに通学路を進む。
しかし、昨日のことがあってか、やはり俺の心にはモヤが掛かっている。
嫌な予感がするというか、悪寒が走っているというか……。
とりあえず、早く学校に行こう。
いつもと同じ学校の様子を見れば、このモヤモヤも少しは晴れるだろう。
そう思った俺は、足早に学校へ向かう。
道中は特に変わったことなく、正門へと到着する。
下駄箱から階段を上がるが、その途中で俺の足が止まる。
「……騒がしいな」
なんか、廊下からわざわざと声が聞こえるな。それもこの騒がしさ、タダ事じゃない気がする。
不審に思った俺は、恐る恐る踊り場から顔を出してみる。
「……なんだ、あれ」
目の前に広がる光景に、俺は一歩あとずさりしてしまう。
一つの教室、それも未奈の教室の前に広がる人だかり。何やら教室の中を見ようとごった返す人で溢れていた。
また、悪寒が走る。
しかしそれを感じる前に、俺は教室へと走り出していた。
人をかき分けてかき分けて、目の前の人たちをなぎ倒すように教へと向かう。
そのときだった。
「……っ!」
「おい未奈!」
突然教室から出てきた未奈は、俯いたままどこかへ走り去ってしまう。
ふと見えた未奈の横顔には、涙が溢れ出ていた。
「チっ……なんなんだよ」
何がどうなってるんだよ! 教室の中で何が起きたらこうなるんだよ! クソっ!
苛立ちを覚えながら、教室の中に体をねじ込む。
未奈を追いかけるのは後だ、それより今の状況を理解するのが最優先だ。
だがその反面、知りたくもなかった状況だということを、俺は知ることになる。
黒板を見た瞬間に、絶句してしまう俺。
大小関係なく、黒板びっしりに書かれた文字の数々。
『ビッチ』『ヤリマン』『童貞狩り』『誰でも抱く』『軽い女』『未奈はヤリマン』『未奈はビッチ』
未奈のことを書かれた言葉が、黒板を埋め尽くしていた。
その言葉の数々は、未奈の机にも書かれており、机の中には開封されたゴムや、ディルド、ローションなとでベトベドになっていた。
悪い予感が的中してしまった。
これも全て、昨日のストーカーが原因に違いない。
あいつがこれの実行犯。手伝ったのは多分……未奈と一度は関係を持った相手。
その逆恨みか何かは分からないが、こんなの許せるわけがない。
憎悪の気持ちで吐き気がしてきた。
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