第15話 ……私とすればいいじゃん
「前科、ねぇ……」
一歩、未奈の方に近づく寧々。
「な、なによ……そんなにジッと見て」
「ううん? なんでもないけど?」
見つめれた未奈は、気まずくなって目を逸らす。
今のはお前が悪いぞ。自分から墓穴を掘ったんだからな。
言わないでいいことを言ったから、変に詰められるんだぞ。
「お、いいな……」
呆れて肩を竦めた俺であったが、少し目線と落とせばそこには絶景が広がっていた。
寧々のほどよい大きさの胸と、未奈の豊満な胸がむぎゅっとくっついている。
二人には申し訳ないが、これほどまでに幸せが詰まってる光景を意図的ではないとしても見せられると、一生そのままでいてくれと思ってしまう。
うん、胸はやっぱいいものだ。
巻き込まれるのがめんどくさいと思っていたが、これを見せてもらったんだ。全部チャラ。
「とにかく! 二人で家に行くのはダメ! 蓮馬は連れて帰ります」
「お、おい」
このまま話していても埒が明かないと思った未奈は、俺の手を掴むと廊下へと引っ張り出す。
「ちょいちょい! まだ話は終わってないじゃん~!」
それを阻止するように、反対の手を引っ張る寧々。
「なんだよ、このハーレム展開は」
つい、ボソッと呟いてしまう。
俺ってモテてね? と錯覚してしまうくらいのラブコメ展開。実際、これはモテてるのでは?
恋愛のモテというよりは、棒がモテてるのだろうけど。
「その手を放しなさい! この淫乱女!」
「誰が淫乱女ですってぇ! この関係だけ優勢なズル女!」
「痛てっ」
「幼馴染だからなによ! 嫉妬なのかな?」
「嫉妬ですよ~! 寧々が幼馴染だったらとっくに蓮馬をものにしてますから~!」
「痛ててて……痛いって」
段々と引っ張る力が強くなる両者に、俺の嘆きの声は届いておらず、更にヒートアップする一方。
「蓮馬は寧々とシたいんだもんね~?」
ニパーっと笑顔を向けてくる寧々。
「俺に言われてもな~」
「えぇ~、意外に乗り気だったくせに~」
「捏造はやめような?」
「ホントじゃん~。蓮馬の変態さん」
と、寧々は鼻の下をちょんと突いてくる。
寧々の方に苦笑いを浮かべていた俺は、チラッと未奈の方を向いてみる。
「……」
真顔でこちらを見つめている未奈。
怖い怖い! それどんな感情⁉
怒り? 妬み? 悲しみ?
いや、幼馴染の俺なら分かる。
無表情ではではあるものの、背中から怒りのオーラを発している。そして、瞳の奥からは殺すぞ、と聞こえる。
ヤバい、このままだと寝ている間に部屋に侵入されて、次は包丁を持った状態で馬乗りにされそう。
「そんなにシたいなら……」
一瞬、引っ張る力が弱くなったと思った未奈だが、ぎゅっと俺の手を握り、
「そんなにシたいなら……私とすればいいじゃん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます