第9話 親密な関係
「あぅ……ごめんなさい」
恥ずかしそうに謝るれのちゃんに対して、俺は優しく微笑んであげることにした。
そして――。
「何か作ろうか?」
と提案してみると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべて頷いてくれたので、俺はキッチンへと向かうことにする。
冷蔵庫を開けてみると、中には卵や野菜などの食材が揃っていた。その中からオムライスを作ることに決めた。果たして上手く作れるだろうか? 少し不安になりつつも調理を始めることにした。
まずはチキンライスからだ。ご飯をボウルに入れて味付けをして炒めた後、一旦お皿に取り出しておくことにする。そして次は、卵だ。フライパンにバターを入れて溶かし、卵を入れ、そこに牛乳を加えることでふわふわの半熟状態にすることができたため、早速チキンライスの上にのせることにする。我ながら上手くできたのではないだろうか? 自信をもって言えることではないが、少なくとも不味くはないはずだ。
「よし! できた!」
俺がそう言うと、れのちゃんは嬉しそうに微笑んでくれた。
早速二人で食卓につくことにした。
「「いただきます」」
一口食べると口の中に旨味が広がり、自然と笑顔になってしまうほどだった。
「口に合う? 星宮さん」
俺が尋ねると、れのちゃんは満面の笑みを浮かべて答えてくれた。
「はい! すごく美味しいです!」
俺はその言葉にホッと胸を撫で下ろすことができた。その後も会話を交えつつ食事を進めていき、あっという間に完食してしまった。
「「ごちそうさまでした」」
二人で手を合わせて感謝の意を示すと、れのちゃんが食器を片付けようとする素振りを見せたので、俺は慌てて止める。
「片付けくらい俺がやるよ!」
しかし、れのちゃんは首を横に振って拒否してきた。
「いえ、これくらいやらせてください」
そんな彼女の熱意に押される形で任せることにした。キッチンへ向かうれのちゃんの背中を見つめながら、俺は改めて幸せを感じていた。
(天使だなぁ……)
そんなことを思いながら見つめていると、視線に気づいたのかこちらを振り向いて微笑んでくれたので、ドキッとしたと同時に照れくさくなってしまい思わず目を逸らした。
それから数分後――れのちゃんが戻ってきたので、二人でソファーに座ってくつろぐことにした。
「あの、坂柳さん……」
隣に座るれのちゃんが声をかけてきたのでそちらを向くと、彼女は顔を赤らめながらモジモジとしていた。その様子を見てなんとなく察してしまった俺は、彼女を抱き寄せた。すると、れのちゃんは抵抗する素振りはなかったので受け入れてくれたようだ。
そして――唇を重ねるのだった。
最初は軽く触れるだけのキスだったが、次第にエスカレートしていき……舌を絡ませるような濃厚なものに変わっていった。そして――名残惜しげに唇を離すと、銀色に輝く糸を引いたまま見つめ合ったのだった。
「坂柳さん、好き……大好き……」
れのちゃんは蕩けきった表情でそう呟いてきたため、俺もそれに応えることにした。
「俺もだよ……」
そう言い終わると同時に再びキスをすることになったのだが、今度は先程よりも激しく求め合うようなディープキスになっていった。お互いに息が続かなくなって苦しくなったところで、ようやく唇を離すことができたのだが……その際に唾液の橋が架かったのを見て、余計に興奮してしまった。それから余韻に浸っていたのだが――れのちゃんが不意に立ち上がると、恥ずかしそうにしながらもこう言ってきた。
「坂柳さん……あの……一緒にお風呂に入りませんか?」
一瞬何を言っているのか分からなかったが、すぐに理解することができたため首を縦に振ると、れのちゃんは嬉しそうに微笑んでくれたのだった――。
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