白い尻尾と妖怪退治

小花し

プロローグ

 なんてことの無い土曜日の朝。


 いつも通り朝起きて、着替えて、ご飯を食べて学校に行く。

 進学校が故の土曜登校をいつも通り愚痴りながら家を出る。


 そんな土曜日の朝のはずだった。

 いつも通りの速水碧人の朝のはずだった。

 だったと言うからにはいつも通りではない。


 その原因を掛け布団の上に見つけてため息をつく。


「どけ、降りろ。」


 そう言って布団の上の“原因”をどかして起き上がる。


「うるさいなぁ。朝から忙しいやつだにゃん。」


 そう言いながらもそいつはおとなしく僕の上から引き下がる。

 起き上がって猫の形をした“それ”改めて観察する。


「早くこんな化け物なんとかしないとなぁ。」


 その“化け物”は一見猫のようで、それでも一見すればそれがただの猫じゃないと気が付くだろう。


 ぱっと見は純白の毛並みを持つ血統書でもついていそうな白猫である。

 しかし、明らかに普通の猫とは違う不気味な点がある。


 まず尻尾が四本生えている。

 それでもって目も三つ。

 額にいかにも“第三の目”という感じでついているそれは今は閉じられている。

 というか三つとも閉じられている。

 結局、布団から降りたのはいいが、また椅子の上で寝始めたようだ。


「なんでこんなことになっちゃったかなぁ。」


 そんな独り言をつぶやきながらこいつと出会った日のことを思いだす。

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