第20話 今日は何て日だ。
四月八日、午前の入学式で生徒会長から注意され、ホームルームでは担任の
持参した課題テキストの提出義務もなく昼食用のお弁当を忘れて、緊張して挑んだ実力テストは拍子抜けした三科目。
家で昼寝しようと帰る前に呼び止められたバスケ部で、全国レベルの新入生を紹介された。
帰宅した僕はバスケ部以外の件に付いて報告した
「そもそも実力テストは現在の学力を計るものでしょ、裕人君は心配しすぎよ」
「そうかな?」
「そうよ、それより私が用意したお弁当を忘れたでしょ、先に家を出る私があれほど忘れ物は大丈夫って?口を酸っぱく注意したのに、お世話になった
え、どうして知っているの?不思議に思う僕の表情を察した天野さんは、
「お腹を空かせた裕人君を見つけてご飯を与えたって、エミちゃんから私にメールが来てたよ」
「不運続きの今日は何て日だ、厄日か仏滅、三隣亡、天中殺、大殺界のどれかに違いない」
何の根拠も無いが、誰かの所為にしたい僕の愚痴を聞いた
「裕人君、そんな事を言うと罰が当たるわ、今日の四月八日はお釈迦様の誕生日で花祭りよ」
「マジですか」
それなら、既に
これはパグの呪いでないと信じたい。
「それで、私が用意したお弁当をどうするの?」
ダイニングテーブルの上に忘れられた包みを指した
それは至極当たり前の事で、僕は、
「勿論、今すぐに頂きますよ、モグモグパクパク・・・」
白い布巾に包まれたアルミ製のお弁当箱を開いて、白米からチキンの唐揚げ、牛蒡と蓮根のキンピラ、ホウレン草入りの玉子焼きを数分で完食した。
「そんなに急いで食べなくても、誰も取らないから、もっと味わって食べてよ、まるで犬みたい」
あぁ、そうだよ本能に任せて食べる僕は犬タイプだから、
「そうだ、明日はオリエンテーションよ、知っているでしょ裕人君」
え、オリエンテーションって何だ、何処かで聞いた事はあるが思い出せないけど急に閃いた。
「あれだよね、地図を持って野原や山を歩く、ハイキングのスポーツ的な」
良くぞ思い出した自分を誉めてあげたい僕へ、
「それはオリエンテーリングでしょ、私が言っているのはオリエンテーション、校内案内やクラブ紹介の行事よ、高校生なんだから裕人君しっかりしてよ」
なんか知らんが
「じゃあ、バスケ部に決めている僕は参加しなくても良いよね」
何の疑問も無く、本心から出た僕の言葉に、
「校内行事だから裕人君がクラブを決めていても一年生は全員参加に決まっているから」
速攻で否定された、その天野さんは、
「でも美術科、音楽科、芸能科の芸術クラスはそれ自体が専門分野でクラブ活動に入らないからオリエンテーションには自由参加よ」
それは白梅高校内で天野さん達は上級生徒で、僕達の普通科は下級生徒みたいな気がする。
「それとね、私、明日は東京で面接が有るから休みよ、校内ルールで認められた公休だけど」
僕には縁の無いインフルエンザ感染なら欠席扱いに成らない公休と聞くが、まさか仕事で欠席が公休とは、白梅高校の芸術系学科は上級生徒だ。
将来を約束した幼馴染は小悪魔な新人女優。 鮎川 晴 @hotetu99370662
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