「不定期」『ガチャで職業が決まる世界に召喚されました。』
宮月零
チュートリアル編
「さぁ、ガチャを引いて出た職業でこの世界のクリア目指して楽しんでください」
ピピピピピ
ん…スマホのアラームで目が覚める
ガチャを引いてってなんの夢だよと思いつつスマホを確認すると一件のメッセージが入っていた。
最高レアゲットしたと写真付きで報告してきた友達に少しムカついたが、おめでとうと
返信し制服に着替え準備を済ませ家を出る。
歩いて登校していると後ろから「おはよう」と元気よく背中を叩いてきたのは栞だ
栞は背は低いが元気で明るく男子女子両方
から人気がある女の子だ。
朝から自慢メール送るなよ羨ましいと言うと
「良いキャラゲットしたら誰かに報告したくなるじゃん、しかも君が欲しがってるキャラなら尚更ね」
なんて会話しながら登校していると突然前方から猛スピードで車が突っ込んで来た。
俺は栞を安全な方へ突き飛ばしたが目の前
まで車は迫っていた
「 やばい死ぬ」
そう思った瞬間自分の体がガチャガチャの
カプセルのような物に包まれて目の前が真っ暗になり意識を失った。
目が覚めると全く知らない空間にいた
ここは何処なんだと思っていると
「目が覚めたのね、ざっくりと説明するね
これから貴方が行く場所はガチャで色々なことが決まる世界例えば職業や武器 アイテム等の入手もガチャです。
食料とか生活に必要なものはお金で買えるよ
ガチャを引いて最初に出た職業に見合った能力が与えられ、レベルをあげると更に色々な
能力を獲得することができます。
この世界のクリア条件は職業によって違うから決まるまでのお楽しみってことでまぁ頑張ってね以上説明終わり何か質問ある?」
聞きたいことが沢山あるけど君は誰?
「ごめんごめん自己紹介忘れてたね私の名前は『ミラ』この世界の神の1人よ貴方は私の能力で召喚されたの。」
ミラ様俺は死んだの?
「死ぬ前に召喚されたから生きてるよ君がいた場所では行方不明になってるけどね」
俺を召喚した理由は?
「理由なんて無いよ私の能力は異世界から
ガチャでランダムに人を呼び出しこの世界のプレイヤーにすることだからね」
もとの世界に帰れるの?
「この世界のクリア条件を満たすかアイテムをゲットすれば生きて帰れるよ」
この世界で死んだらどうなるの?
「この世界で死んだら君のいた世界では死体で発見されるよ、今ここで帰ることが出来るけどその場合召喚される直前の場所に戻るよ」
直前に戻るってことは車に引かれる前だから
やるしか無いってことね、俺からの質問は終わり。
「さぁ、ガチャを引いて出た職業でこの世界のクリア目指して楽しんでください」
ミラが手を叩くと目の前に神々しく光るガチャマシンが現れ俺は驚いていた
「1度決まった職業は変更できないからね」
なんだって!?
俺のいた世界でも最近は親ガチャとか職場ガチャ等自分で決めれない事をガチャと表現していて馬鹿馬鹿しいと思っていたが、何処だかわからない場所で1回のガチャを引きそれが職業になり転職不可って酷い話だ。
そんなことを考えてるうちに早く引けよと言いたげな顔で俺の方を見てるので覚悟を決めてレバーにに手を掛けガチャを回した。
レバーを回すとマシンの中から金色に光るカプセルが出てきたのだ、俺はカプセルを開け自分の職業が書かれている紙を確認した。
そこには《勇者》と書かれたていた、それを見てミラは驚きをながらちょっと楽しそうにこう言った
「おめでとうございます、貴方の職業は勇者です。レア職業ですよ!運が良いですね。」
運が良いだって?勇者だったら死ぬ確率高いじゃねーか最悪だ…というか職業が勇者って
なんなんだよとツッコンだ。
お願いします1度だけ引き直しさせてくださいとミラに頼んでみるも
「1度決まった職業は変更できないって伝えたばかりじゃん、だから引き直しはできないよ勇者で頑張ってね。」
否応もなく俺は勇者になったのだこういう時
アニメや漫画だったら喜んだりするのだろうが、現実はめんどくさいや死ぬのが怖いなどの感情の方が大きかった。
うじうじしてても仕方ないので俺は一旦深呼吸をし覚悟を決めた。
ところでミラ様さっき言ってたクリア条件って何ですか?と俺は気になっていたことを聞いた。
「そうね、まずクリア条件とは君のような呼び出された人間にだけあるの元々ここの世界で生まれた人や魔物にはそれがありません。
そして勇者のクリア条件と言うのは魔王を4人倒す事です。
もしクリアできたら貴方の願いが3つ叶えられます、例えばもとの世界に帰りたいとかね。」
成る程、俺以外にもこの世界に召喚された人が他にもいる事を知り俺は少し安心した。
「そろそろ君がこれから旅をする世界に送るけどその前にプレゼントがあるよまずは勇者に必要な能力を付与します。
といっても君はまだレベル1だからそんなに強い能力じゃないよ、この世界で魔物との戦闘やギルドで依頼をクリアしてレベルをあげると更に強い能力が獲得できます。
次に初期装備をプレゼント!高いランクの装備が欲しい時は、ダンジョンを攻略し攻略後に引けるガチャを引き強い装備をゲットしてください。
そして最後にナビゲーター兼旅のメンバーに《アセビ》を連れていってあげて、わからないことがあればこの子に聞くと教えてくれるよ」
「アセビです。よろしくお願いします勇者様」
こちらこそよろしくお願いしますアセビさん
その…勇者様って呼ぶの恥ずかしいのでやめてください、俺の事は颯太そうたで良いよ
アセビさんは中性的な見た目でいかにも仕事ができますといった秘書みたいな人だ
「わかりました颯太様、私の事はアセビとお呼びくだい。」
「それじゃあ、颯太 アセビ クリア目指して頑張ってね!運が良ければまた会えるから」
そう言ってミラが手を2回叩くと俺達はここに来たときと同じようにカプセルに閉じ込められ目の前が真っ暗になり意識を失った…
「起きてください颯太様」
その声で目が覚めたと同時にカプセルが開き
眩しい太陽の光と共に目に写ったのは俺が居た世界とは全く違う、自然が豊かな町の前だった。
あぁ俺は本当にガチャで職業が決まる世界に召喚されたらしい暫くキョロキョロと辺りを見渡してから隣にいたアセビに俺達はどこに飛ばされたんだ?そう聞くとアセビは教えてくれた。
「颯太様、ここは始まりの町サートスという町です。
この近辺では強い魔物がいないのでまずは能力の使い方や魔物の倒しかた等を覚えて貰いますついてきてください。」
俺は言われた通りについていき町から少し離れた草むらでアセビは立ち止まると目の前に
小さなウサギのような生き物がいた。
「それでは颯太様まずは、ここにいる
俺は今ゲームでよくあるチュートリアルの説明を受けているのだが、初めて倒す魔物がこんなに目が丸くて可愛いウサギのモンスターだとは少しやりづらいと思い攻撃を躊躇っていると魔兎が俺に跳びかかって来たので
剣を振ると魔兎の首が切れていた。
俺は剣など勿論振ったことは無いのだが驚くほど簡単に扱えていた。
この事をアセビに聞いてみると
「颯太様は職業が勇者に決まったときに剣術や攻防御力アップや言語変換スキルも付与されていますのでこの世界での戦闘や言葉がわからない等の問題ありません。
それと、今魔兎を倒したことで颯太様の
レベルが2にあがりました。
更に攻撃スキル2連撃を入手しました。」
成る程勇者のスキルがあるから剣も扱いやすいし言葉の心配が無いのは良かったと俺は安堵していた。
辺りを見渡しているとまだまだ魔兎がいたので、どんどん倒して経験値を稼いでレベルが3まで上がったが、その分攻撃も食らっていた周辺の魔兎を倒し終えた時にアセビがこう言った。
「颯太様、次はアイテムの使い方です。
まずこの冒険で入手したアイテムや旅に必要なテント等は私が保管魔法で所持していますので必要な時に声をかけてください。
そしてこれが低級回復薬です、飲むと体力が少し回復します。」
そう説明しながら低級回復薬をくれたので
飲んでみた、すぐに傷も癒えていた更にこの回復薬は甘くて美味しかったのだ。
色々と説明を受けているうちに日が暮れて夜になろうとしていたので町に戻って倒した魔兎の皮や肉を売ったお金で宿屋で部屋を借りて飯屋に行くことにした。
宿屋の人におすすめされた飯屋に着いて食事
をした、おすすめされた場所だけあって確かにご飯が旨いずっと動いていてお腹がすいていたのでとても嬉しかった。
食事をしながらアセビに、気になっていたことを聞いていてみた。
なぁこの世界の神はミラ様以外にも居たりするの?
「はい、ミラ様の他に4名の神が存在していますが、異世界から召喚できる能力を持っているのはミラ様しかいません。
この世界では、初めに5人の神様が存在していました。その神様は世界を1つ造り色々な種族を造り知恵と能力やスキルを与えましたすると、能力が強い種族が弱い種族を蹂躙し争いが絶えず世界が滅びかけた時に神様は話し合いをしました。
そして今まで与えていた能力やスキルを1度全て没収し、能力(人間でいうところの職業)をランダムに決定してそれに関連する能力を付与するように世界を造り直したのです。
スキル等を奪われた事により争いは少なくなっていきました。」
ミラを含む5人の神が造った世界か、でも何でガチャに決めたのか知ってるのか?と俺はまた質問をするとアセビは
「それは、ミラ様が昔、異世界の日本という場所で見つけた面白い機械を参考にしたらしいです。」
やっぱり日本に来たことがあったのかそうじゃなきゃあんなにそっくりなガチャを作れるはずがないと俺は思った。
その他にも色々とこの世界について話を聞いて、食事を済ませ宿屋に戻って部屋に入ろうとした時に「颯太様、明日はギルドに行って依頼を受けてもらいます。ではおやすみなさい」
わかった、おやすみ~俺はそう言って部屋に入りベットで横になると今日1日信じられないことの連続で疲れていたのですぐに眠ってしまった。
「おはようございます颯太様」
俺は朝が弱いからもう少し寝たかったが 何時に出発するのかを伝えてなかった、というか昨日は色々とありすぎて直ぐに眠ってしまった。
はぁ…ため息を吐きながら、ギルドに行く準備し宿屋を出て目的地まで歩いていた。
なぁ、アセビこの世界では職業はガチャで決まるって言われたが昨日倒した
なんとなく気になったので聞いてみた
「確かにこの世界では、職業はガチャで決まりますがそれは知性ある種族だけです。
馬とか牛の家畜や魔兎 スライム等のモンスターも職業は与えられません例外はありますが。」
例外ってなん…と聞こうとしたがアセビは
立ち止まり目の前には看板にギルドと書かれた建物に着いていた。
「ここがギルドです、颯太様には始めに職業申請とクエスト依頼を受けてもらいます。」
相変わらずの説明口調だなと思いながら言われた通りに俺はギルドに入り辺りを見渡した
おっおい…あそこに居るのは
俺はエルフに見惚れているとアセビが肩を叩き早くしろ、と言いたげな顔をしていた
もう少しエルフを見ていたかったが受付に向かった。
「ギルドへようこそ本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付のお姉さんが笑顔で尋ねてきたので職業申請とクエスト依頼を受けに来ましたと言うと1枚の紙を渡された
「この紙に手を置いてくださいそうすれば貴方の名前 職業が自動で書かれ登録完了となります。」
言われた通りに手を置くと紙に文字が浮かび出し俺の情報が全て写し出されお姉さんに渡した。
「これは珍しい職業が勇者の人が来たのはとても久し振りで驚きました。ギルドカードをお渡ししますね、これがあればどの町のギルドでもクエストが受けられ更にステータス、覚えているスキルの確認もできます。
クエストを受けたい場合は奥の掲示板様々な依頼が書かれた紙が貼っていますので剥がして受付に持ってきてください。」
説明を聞いた後俺は早速掲示板に向かい
アセビと共にクエスト依頼を眺めていた。
「まずは簡単なクエストを選びましょう」
アセビが隣で言っているのを聞きつつ俺はクエストに目を通し、どれを挑戦しようかと悩んでいた。
しかし色んなクエストがあるんだな~回復草探しに洞窟探索、畑作業の手伝いとかもあるんだなと俺は驚いた。1時間くらい掲示板を見ていて俺が選んだのは、魔兎15匹退治のクエストだこれなら経験値も上げつつギルドからの報酬も出て更に、昨日知った事だが魔兎の肉はとても美味しいらしいこれは一石三鳥なのではと思い掲示板からクエスト依頼が書かれた紙を剥がして受付に持っていきお姉さんに渡した
「それではクエスト頑張ってください」
これから俺の異世界での初クエストが始まる
期待に胸を膨らませながらギルドを後にした
昨日魔兎を倒した場所に来た俺とアセビは
2人で魔兎を狩るために野原を駆け回っていた
クソ…昨日はめっちゃ居たのに何で今日は全然居ないんだよ中学 高校と帰宅部だった俺は今までに無い位走って息があがっていた
あ…アセビ今何匹狩った?俺はまだ1匹なんだけど…
「わ…私はまだ0匹です…」
畜生まさかアセビもスタミナがなかったのか
これは予想外だった…俺は息を整えて一旦遠くでバテているアセビを呼び作戦を考え直した。
アセビ、魔兎の特徴を教えてくれ
「は…はい魔兎の特徴は夕方から夜にかけて行動する夜行性の魔物です。そ…その為朝や昼等は行動していない事が多いです。」
アセビはまだ息があがっていた…どれだけスタミナが無いんだよと俺は言おうとした…ん?
ちょ…ちょっと待て今なんて言った?
「え…あっはい…魔兎は夜行性で…あっ!」
アセビも気付いたようだった 、そう今はまだ照りつける太陽が眩しい朝なのだそりゃ狩れない訳だ仕方ない夜になるまで一旦
俺の、異世界での初クエストクリアはお預けとなったのだ…
町に戻る間アセビはずっと落ち込んでいた。
「すみません颯太様、私がクエストを受ける前に伝えていればこんなことにならずに済んでいたのに…あれ程ミラ様に忘れっぽいとこがあると注意されていたのにすみません。」
アセビ、誰にだって失敗はあることだから
そんなに落ち込まずに気持ちを切り換えようぜ、何より俺はアセビがスタミナが無くて
ちょっと抜けてるのがわかって嬉しかったよ
俺がそう言うとアセビは前を向いて顔を赤らめながら笑顔で「ありがとうございます」と言った、アセビとの距離が縮まった気がした。
サートスに戻ってきた俺達は夜まで暇なのでこの町を見て回る事にした。
平和だし、町の人も皆優しくて良い町だな
と考えていると、とてもいい匂いがした
そういえばまだ朝ご飯も食べてなかったな
しかしこの匂いは何処からだ?
匂いをたどっていると大衆食堂的な場所に着いて 俺達はお腹がすいていたので迷わず店に入った。
この店はメニューが豊富で悩んでいると店主
らしき男性が声をかけてきた
「お客さん初顔だねメニューに迷ってるならこのサートス名物の魔兎のシチューだよ是非食べていって。」
とおすすめされたので俺達は魔兎のシチューを頼んだ。
暫くすると料理が運ばれてきた、とても良い匂いだそれに魔兎の肉が沢山入っていて凄く旨そうだ、いただきます早速1口食べてみると
やはり旨い肉は柔らかく野菜もじっくり煮込まれていてシチューとの相性が抜群だ。
アセビもどうやら気に入ったらしくとても
幸せそうに食べていた。
「お兄さん達、気に入ってくれたかい?
美味しそうに食べてくれて嬉しかったから
これサービスのプリンだよ」
店主がプリンを持ってきてくれた。
このプリンは柔らかくて卵の風味が強く感じ
カラメルも程よい苦味でとっても美味しい
お腹も膨れたので店をでた、夜まで適当に
時間を潰して日が暮れてきたので俺達はまた
野原に戻り魔兎狩りを再開した朝に比べると
楽に狩れる。
待て今日の晩御飯と魔兎を追っかけ狩っていたお昼に食べた魔兎シチューを思い出し、もう魔兎を食材としか思えなくなっていた。
暫くして2人あわせて15匹狩るとギルドカードにクエスト達成のスタンプが押されていた。
「颯太様、クエストクリアしたのでギルド受付に戻りましょう」
アセビがそう言ったので俺達はギルドに戻り
受付へ行きギルドカードを見せ報酬のゴールドを受け取り宿屋に戻った。
アセビに明日もギルドへ行くことを伝え今日も疲れていたので、ベットに入るとまたすぐに寝てしまった。
「おはようございます颯太様」
朝か…アセビの声で目が覚めると、今日も経験値とゴールドを稼ぐために準備をしながらいつも起こしてくれるアセビに今度プレゼントでも渡そうと思いながら宿屋をでてギルドへ向かった。
ギルドに着いた俺達は、また掲示板を眺めていた
討伐クエストか…今回はこれにしてみるかと決めて早速受付のお姉さんに渡し受理された。
「それではクエスト頑張ってください」
俺達は満腹熊討伐の為に
なぁ満腹熊っていったいどんなモンスターなんだ?
「満腹熊はその名前の通り常に満腹の熊です毎月の15日に小さな村へ現れるモンスターです。満腹熊を倒すと経験値が普通のモンスターに比べ多く獲得でき、
成る程満腹熊はこの世界でのレベル上げキャラということか、しかし1ヶ月に1度しかでないとなると効率が悪いなやっぱり地道に魔兎を狩るしか方法は無いのかとがっかりしていた時に俺はアセビの最後のひと言がどうにも気になった。
その何年かに1度の空腹期間っていつなんだと尋ねてもそれはランダムなのでわからないと言われてしまった。
嫌な予感がしたが、心配事の9割は起こらないっていわれてるからと自分の心を落ち着かせた。
目の前に村が見えた瞬間
『きゃーーーーー』
小女が叫びながらこっちに走ってきた。少女は人を見つけて安心したのか涙を流しながら
「と…突然村にでかいモンスターが来て畑にいたおじいちゃんと私を襲おうとしておじいちゃんが『もうすぐ村にこのモンスターを倒しに来てくれる人が来るはずだから走って呼んでくるんじゃ』って言われて走ってたら貴方達を見つけたんです。
お願いしますどうか村とおじいちゃんを助けてください。」
切羽詰まった表情で頼んでいる少女に『大丈夫、任せて』と言ってモンスターがいる村の畑まで走って行こうとしたらアセビが
「颯太様、この
モンスターがいる場所まで全力疾走で向かい数分で着き、おじいさんがやられる寸前で何とか攻撃を防ぐことに成功した。
「ありがとうございます」
お礼はいいからまずは安全な場所まで離れてください。と言うとおじいさんは急いでその場から離れた、とりあえず戦い易くなったが嫌な予感が当たってしまったアセビがフラグを立てるからだ。数年に1度の空腹期間に当たってしまった満腹熊の名前とは裏腹に痩せていてとても狂暴だ、「レベル3」の状態で勝てるのか不安だが『大丈夫、任せて』と少女に言ったし何より俺は勇者なのだからやるしかないと覚悟を決めて剣を振り下ろした。
「「ヒュン」」
避けられた!こいつ、でかいうえに素早い!
それから何度も攻撃を仕掛けるが全て避けられる。1回の攻撃を避けられるならこれだ…
俺は攻撃スキルの『2連撃』を使用した1撃目は躱されたが2撃目の攻撃は手応えがあったしかし傷が浅かったので直ぐに爪で攻撃をしてきた。その攻撃を何とか剣で防ぎ俺はまた『2連撃』を使用したがまた、1撃目は躱され2撃目のみあたった。
スキルを使い2撃目だけをあて続けるのは効率が悪いし何よりスキル使用に必要なポイントが無くなるそうすると攻撃を当てる手段が無くなり討伐できなくなるから何か良い方法を考えなければ…そうだ!アセビに渡されたアイテムポーチこの中に確か昨日狩った魔兎の肉が入ってるはずだ、俺はアイテムポーチを開けて中に入っている15匹分の肉を全て取り出し満腹熊に向かって投げつけた。俺が投げた肉を満腹熊が食べていると痩せていた体は一瞬にして太って動きも鈍くなったのでこの隙に攻撃をし続けて満腹熊の討伐に成功した。
討伐した満腹熊を解体している俺は疲れたので少し休憩しているとアセビが少女とおじいさんを連れて来ていたので「終わったよ」と言うと少女とおじいさんはとても感謝していた。しかし村は無事だったがおじいさんの畑が満腹熊によって荒らされていたので俺は満腹熊の胆嚢を渡したすると、お礼をしたいと言われが俺達はまだやることがあったのでまたいつかお願いしますと行ってギルドへ戻ろうと村を出ようとすると少女が
「本当にありがとうございました。いつでも遊びに来てください」
そう言って少女は手を振りながら俺達を見送ってくれた。
この世界に来て初めて勇者らしいことをしたなと思っていたらギルドカードが光だし、俺のレベルが「3」から『5』に上がり
勇者ランクも「0」から『1』になっていた。
「おめでとうございます颯太様レベルとランクが上がりましたねランクは『その職業にあった活動』をすると経験値が貰えます、さっき少女とおじいさんを助けた事でランクが1上がりました。」
流石アセビさん俺が聞こうとしたことを質問する前に教えてくれた勇者活動ね…そう俺の目的は『魔王を4人倒す』そうすることで願いが3つ叶うらしい。
だが俺はまだレベル5だしクリアするためにはまだまだ時間がかかるだろう。
サートスに着きギルドへクリア報酬のゴールドを受け取り俺達は直ぐに魔兎狩りのクエストへ出発した。
満腹熊を倒した俺は攻撃するための
走っているアセビを眺めていた。
「そ…颯太様助けてください」
アセビが息を上げながら逃げる魔兎を追いかけ俺に助けを求めてきた。
まったくスタミナがないからあんまり無理するなよと声をかけ俺も残ったSPを全て使い4匹の魔兎を狩った。
さて帰ろうにも俺達は疲れていて町まで歩いて帰れそうになかったので今日はここで野宿することにした。
アセビがポーチからテントと寝袋を2つそして今日狩った満腹熊の肉と毛皮を取り出した。
どうやら毛皮を置いていると臭いで魔兎等の弱いモンスターは警戒して襲って来ないから
安心して眠れるらしい。
集めた薪にマッチで火をつけてモン○ンの
肉焼きセットみたいな物で満腹熊の肉を焼いていた。
誰もが1度は憧れたであろうモン○ンの肉焼きをこの世界で体験できるとは俺は少し感動した。
暫くして肉が焼けたので「いただきます」と同時に肉にかぶりついた。
旨い!!熊特有の臭みは無く脂が乗っていて柔らかく噛めば噛むほど肉汁が出てくる最高だ!
小さい頃1度だけ熊肉を食べた事があったが
その時はあまりにも獣臭くて吐いてしまったから満腹熊も臭いかもと警戒していたがそんなことは無くて良かった。
隣で幸せそうに肉を頬張っているアセビをみているとお腹だけでなく心まで満たされた。
ご飯を食べ終わるとアセビが「おやすみなさい颯太様」と言って自分のテントの中に入って行った
俺は焚き火をみながら満腹熊との戦闘を思い返していた。
あの時、俺にポーチを渡したって事はアセビは魔兎の肉を食べさせたらおとなしくなるって知ってたんじゃないか?だとすると無駄に
SPを消費しなくても済んだし楽に倒せていたかもしれない。俺がしっかりしないとこれから先もっと強いモンスターや魔王との戦闘の時に直ぐにやられてしまう…
よし…明日からダンジョンに行って装備や
アイテムを取りに行こう。
そう決めて俺は火を消しテントに入り寝た。
翌朝寝たことで
ランプに火をつけてダンジョンに入ろうとしたが中は明るくてその必要はなかった。
なんでも『勇者』や『冒険者』などの職業には暗闇でもはっきりみえる能力『暗視』が付与されているらしい。
確かミラとかいう女神様が「勇者に必要な能力を付与します」って言ってな…その時に与えられてたのか。
俺は自分の付与されている能力や使用できるスキルを知らなかったのでダンジョンの奥に進む前に確認することにした
なぁアセビ今俺にある能力と使えるスキルを
教えてくれと言うと彼女は答えてくれた。
「颯太様が今ある能力は『身体強化』『暗視』『剣術』『勇気ある行動』『諦めない気持ち』
『善の心』『『???』』で使えるスキルは
『2連撃』『攻撃回避』です。最後の『???』は付与されているのですがどんな能力か確認できませんでした。」
ありがとうアセビ
確認できない『???』は、おいといてだいたい能力とスキルを把握したところでダンジョンの攻略を始めた。
中は想像していたより綺麗なダンジョンだな
俺は帰る時に迷わないよう壁に数m間隔で目印をつけながら奥に進んでいた。
暫くすると広い場所にでた、するとそこにはでかい蜘蛛「
魔蜘蛛を倒して奥に進もうとしたら道がニ手に分かれていたのでとりあえず右の道に進んだら中央に宝箱が置かれている部屋に着いた
アセビのポーチに低級回復薬を入れさっきの場所に戻り今度は左の道へ行き更に奥まで進んでいた。その道中に
それからまた歩いていると何もない場所へ辿り着いた。
行き止まりかと思い部屋の周りを歩いていたら床から『カチッ』と音が鳴ったと同時に隠されていた下の階に行ける階段が現れたのだ。
「こんなところに隠し階段があったんですね初めて知りました。」
どうやらアセビも知らなかったらしい。
まだ誰も知らない場所を見つけた俺達は下の階に降りて行くとそこには大きな部屋があり
中央にゴーレムがいた。
ゴーレムは「ようやくこの場所に人が来たか俺はこのダンジョンの『ボス』だ、さぁ始めようか俺と勝負しろ」と言って立ち上がり戦闘が始まった。
俺は『2連撃』使ったが、ゴーレムの体が硬くて攻撃が効いてる気がしなかった。するとゴーレムは俺に反撃をしてきたので剣で防御したが壁まで飛ばされた。
「グッ…」
攻撃が重すぎる『身体強化』が無かったら即死だった、だがゴーレムの事がわかった攻撃力と防御力は高いが動きは鈍い
アセビから低級回復薬を貰い受けたダメージを回復しながらゴーレムを倒す為、アセビに水の魔法を俺に使えるのかと聞いてみたら
「低級魔法ですが使えます」
と答えたのでやってくれと言うと詠唱を始めた。
「神秘の波動に包まれし水の精よ
我が呼び声に応え、颯太に流れを生み出さん。」
『アクア・ブースト』
詠唱が終わると同時に俺は水に包まれ
『2連撃』が『2連水撃』に強化された
2連水撃でゴーレムを切るとゴーレムの体が水を含んで脆くなり崩れていたので俺はゴーレムの首を一刀両断した
「負けるのか…この俺が…次は絶対にか…つ」
そう言ってゴーレムは消えそれと同時に上からコインが3枚とガチャマシンが現れた。
「おめでとうございます颯太様ダンジョンクリアです。このようにダンジョン内のボスを倒せばコインとガチャマシンが現れるので早速手に入れたコインを使って『ガチャ』を引いてみましょう!運が良ければ強い武器や貴重なアイテムをゲットできるかもしれません。」
そう言われてガチャマシンにコインを1枚入れレバーを回した
「チャリン…ガチャ、ガチャ…ゴトン」
職業を決めたときと同様にカプセルが出てきたので開けてみると中に紙が入っていてそこには
「武器をゲットしましたね。これは炎の力が宿っている剣で装備した人の技に火属性が付与されます。」
火炎剣をゲットしたことで『炎の勇者』になった
後2枚コインがあるので続けてガチャを引いた
「チャリン…ガチャ、ガチャ…ゴトン」
次に出たのは低級回復薬だった折角ゴーレムを倒して手に入れたコインでどこでも買える低級回復薬とは…ガチャだから仕方ないのか…
でもショックだ、後残り1回か俺は
「チャリン…ガチャ、ガチャ…ゴトン」
なんだ?出てきたカプセルの色は『金色』だったそのカプセルを見てアセビは
「これはレアアイテムか強い武器が確定でゲットできるカプセルです!」
祈って良かったと思い俺は金色のカプセルを
開けてたその瞬間…
「ボン!」
大きな音と共に煙が辺り一面に出てきて俺達は後ろに下がった
ごほっ、ごほっいったいどうしたんだ
「この気配は…まさか」
アセビは何か気づいたようだ
煙の中に人影が見えた、ガチャで出てくるのは
人影がこっちに近付いてきた、敵意はないようだがいつでも戦闘を行えるように警戒していた。
「けほっ…けほっ、急になんなの」
どこかで聞いたことがあるような声がして煙がだんだんと消えていくと同時に姿が少しずつ見えてきた、するとアセビが
「4日振りですね『ミラ様』」
ミラ様だって!?
俺は驚きながら煙が完全に消えてはっきりと見える姿を確認したら確かに俺を召喚した女神様その人だった、まさか神引きするよう願ったら神様を引くとはどんな運だよ
「そ…その声はアセビと颯太!?なんで私がこの世界に来ているの?」
どうやらミラ様も状況がわかっていないようだッたので経緯を説明した。
俺達はこのダンジョンのボスを倒した後ガチャを引きレア確定の金色カプセルが出たと思ったらミラ様が召喚されました。
するとミラ様は何か思い出したようで顔を青ざめながら
「そ…そういえばこの世界を造り直した時にふざけてダンジョンを初めてクリアした人のガチャ報酬に『極低確率』で私が召喚されて、一緒に旅をする設定にしてたんだ…後々めんどくさくなってこの設定を消そうとしたけど、
俺も後でやろうと思ったことよく忘れてたから気持ちはわかりますよ、とミラ様に声をかけたがずっとぶつぶつ言っていた。
「ミラ様、こっちに召喚できるなら元の場所に召喚スキルを使って戻れるのでは?」
アセビがミラ様にそう言うとミラ様は涙目になり
「この世界に召喚された私は、召喚した人と同じレベルになり職業もレベルも下がって能力とスキルが制限されるから無理なの…」
なんでそんな設定にしたんだと思ったが一緒に旅をするメンバーが神でチート能力とかあると面白くもないし楽しくもないから仕方ないかと納得した。
このままずっとダンジョンの中に居るわけにもいかないので俺達はとりあえずダンジョンを出ようとした。
つけていた目印を辿りダンジョンの入口に
戻っている道中にずっと気になることをミラ様に聞いてみた
ミラ様ずっと気になってたんですけど…
なんでジャージ姿なんですか?俺を召喚した時はいかにも神様って感じの服を着てたじゃないですかと言うと
「あれは仕事着みたいなもので今日は召喚する予定も無かったからこの格好なの」
人前じゃなかったら神様でもジャージ着るんだ、なんて思ったら入口に戻ってきた。
これからどうするんですかミラ様?
「召喚されたら一緒に旅をする設定だからこれから颯太 アセビと共に魔王退治に協力するよ。後私と話すときはため口でいいし名前に様とかもつけなくていいからね」
俺はこのダンジョンのガチャで「
ダンジョンも攻略し
服を買い終えると俺達は酒場に行きミラの能力やスキルなどの確認をおこなった
「ミラ様の、現在の『職業』『能力』『スキル』を確認します。
ミラ様
職業 『召喚神』から『召喚者』にダウン
能力 『神圧』使用不可
『異世界転移者召喚ガチャ』使用不可
『究極召喚ガチャ』 使用不可
『界渡り』 使用不可
『究極幸運』使用不可
『職業スキル付与』オート使用中
『職業能力付与』オート使用中
『職業ガチャ召喚』オート使用中
『報酬ガチャ召喚』オート使用中
『ノーマルガチャ召喚』使用可能
スキル 『攻撃ガチャ』
『低級召喚術』
『防御ガチャ』
一部能力は使用不可でその他のスキルは消滅しています。」
アセビこのオート使用中ってなんだ?
「オート使用中となっているのはこの世界で自動的に使われている能力です。」
ミラは頷きながら
「職業がガチャで決まるのは私の能力が
なるほど今のミラは俺と大差がないってことか
「それより颯太様、今日ダンジョンをクリアした事によりこの町でやるべき事は全て終わりました明日からは次の町に行くことをおすすめします。」
次の町か…アセビここから一番近い町ってどこ?
「ここから一番近い町はエルフが暮らしている
エルフの町か…俺は内心、とてつもなく喜んだがそれを悟られないようにした
ありがとう、よし今日はもう寝て明日朝早く出発すると言って俺達は宿屋に戻った。
部屋に戻ると明日の準備をして眠った…
・
・
・
チュートリアル編終わり
颯太の現在所持している能力 、スキル
職業
「勇者」
武器
「
能力
『身体強化』…身体能力が上がる
『暗視』…暗闇でも周りがはっきりと見える
『剣術』…剣の扱いが上手くなる
『勇気ある行動』…おそれず立ち向かう力
『諦めない気持ち』 …ピンチになると能力が上がる
『善の心』…困ってる人に手を差しのべる
『『???』』…不明
スキル
「火炎2連撃」
「攻撃回避」
「不定期」『ガチャで職業が決まる世界に召喚されました。』 宮月零 @miyazukiRay
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