第6章:新たな夢
コンビニの評判は日に日に高まり、遠方から絵を見に来る人も増えた。そんなある日、アートギャラリーのオーナーが訪れ、少女の個展を開きたいと申し出てきた。
美咲は驚きつつも、少女と両親に相談した。みんなで話し合った結果、個展を開くことに決めた。ただし、少女の病気のことは公表せず、作品そのものを楽しんでもらうことにした。
準備は大変だったが、美咲は生まれて初めて、何かに打ち込む喜びを感じていた。コンビニの仕事、写真撮影、個展の準備……。忙しい毎日の中で、美咲は自分の新たな才能に気づいていった。人と人をつなぐこと、そして人の可能性を引き出すこと。その事に喜びを感じている自分がいること……。
個展当日、会場は多くの人で賑わった。車椅子の子供たちも大勢招待された。彼らの目は輝いていた。自分たちと同じ境遇の子が、こんなにも素晴らしい才能を発揮している。それは、彼らにとって何よりの励みとなった。
美咲は、会場の隅で静かに涙を流していた。喜びと感動で胸がいっぱいだった。
そこに、あの老婆が近づいてきた。
「よくやったね、美咲さん」
美咲は驚いて振り返った。
「ありがとうございます。……でも、あの……どうして私の名前を?」
老婆は優しく微笑んだ。
「私は、あんたの中に眠っている可能性を見たのさ。あんたは、人々の心をつなぐ才能を持っている。一目でわかるさ」
美咲は、自分の心の中に芽生えた新たな夢を、老婆に打ち明けた。
「私、これからはイベントプランナーになりたいんです。人と人をつなぎ、みんなに幸せを届けられるような仕事がしたいんです」
老婆は満足そうに頷いた。
「その想い、大切にするんだよ。きっと、素晴らしい未来が待っているからね」
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