外周連絡通路

連絡通路~目に留まる作品、目に留める眼差し

 作品が目に留まる、これが常態。小説というのは読んでもらうためにカクものであることは、必然であろう。誰もが宮沢賢治のような書聖人ではないのだ、そこには読まれたいという欲があり、目に触れたいという自我がある。


 では、ヨム側が作品に添える感想というものは、果たして作品たり得るのであろうか。


 その書かれた感想文章によっては、作品を超えて心を揺さぶるほどの熱を持った感想というものも、少なからず存在する。二次創作と言っては言い過ぎかもしれないが、それはもはや元の作品を越えた魅力を創出していると言ってもいいのかもしれない。決して、作者のヨイショのためだけに生まれたものではないだろう。


 哀しいことだが、この界隈では読まれる作品より読まれない作品のほうが圧倒的に多い。以前何処かで書いたが、☆100を超えたならその作品は無条件で上位5%に入っているのである。100人中の5番目。

 ……私自身、人生においてそんな例は殆ど無かったと言っていいだろう、せいぜい高校の時の保健体育のテストの成績くらいのものだ。(←クラスで1位学年3位)


 しかし、そんな名誉かどうかも分からないような実績でさえ、自分という人間を知ってもらうには幾らかでもプラスであったようにも思う。是非はともかく、目を向けてもらわないことには何も始まらないのだ。とにかく評価の俎上に上がったいうだけでも前進と言えるであろう。カクヨム同様、読まれなければ始まらないのは事実である。


 読まれないのには理由がある、等と云うが単純に目に触れていないだけという事実も同時に真実である。私が賞選定の際に☆の数の少ない作品を優先しているのにはそういう理由がある。なにより、楽しいのだ。まだ誰の目にも触れていない、生まれたばかり、いや、誰にも気づかれずともその美しい花をひっそりと咲かせていたという奇跡に立ち会えたこと。それもまた、ささやかな奇跡であると思っている。


 作品に出会うとはそんな奇跡の連続だ。


 そして、この奇跡は起こせるものであるということを、感じさせてくれるレビュアーに出会った。

 https://kakuyomu.jp/works/16818093084176963114/reviews/16818093084182802343

 過去、3度も天川賞関連に選ばれている、失礼ながら無名と言ってもいいであろう作者様。

 確かに、その文章は万人受けではないかもしれない。しかし、誰かの胸に刺さると云う意味ではこの上ない鋭さと冷たい熱を持った作品の数々である。


 そして、多数派、マジョリティという世間のセオリーに真っ向から立ち向かえる力を持った「眼差し」をお持ちであると感じている。


 この方の眼差しには、評価を超えた高みがあるように感じる。

 誰も目を向けていないものであっても、強いものは強いと言い切れる絶対軸をお持ちの方だと思う。

 語弊を恐れずに言えば、まだ界隈の読み手たちは人の目を気にして忖度しながら読んでいると言わざるを得ないであろう。この人は、そんなものには揺るがない芯をお持ちだ。


 その方に、選んでもらえたことを私は誇りたい。

 そして、この方が見ているものに近づきたいと思わずにはいられない。


 


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