Say.1. Prolog.

桜舞う春の日。

暖かい雪が降る春の中に君はいた

その日、眩しい日差しが あなたの顔を遮ったけど

記憶の中の君はいつも笑って私を呼んでくれるそんな人だった。

「早く来て、 そま!」

「待って、あやめ! まで....早すぎるよ

…はぁはぁ…」

君は幼い頃から明るくて活発な子だったので後追いすることが私には簡単なことではなかったが、

それでも私は、そんな君を追いかけるのが本当に好きだった。

その春の日。

日差しとともに桜の下を走っていくあなたを追いかけて花びらに反らしていく服を私は忘れられないだろう。

君の笑顔を私は今も夢見ている。

あやめ.

私はいつも君を追いかけていた。

今この瞬間にも私はそんな夢を見る。

君と共に駆け付けた春の日。

私の人生、現実での最後の場面を思い浮かべながら。

君はいつもそこにいた。

その時、視野がぼやけて私の体が揺れた。

抜け出す力とともに鼻からは血が流れた。

その時はまだ知らなかった。

君に二度と会えないとは。

あやめ.

あやめ.

ずっと君に言いたいことがあったの。

あの時はまだ幼すぎて思いもよらなかった言葉だが、今は分かる。

だから、あやめ。

私の話を聞いてくれる?

ずっと君がそうだったように。

今度は私があなたに私の話を聞かせてあげる。


*


ピッ ピッ ピッ-


静かな病室の数多くの機械装置に囲まれた少年の心拍音が静かに流れた。

その中でまるでバイクのヘルメットのような少年の頭を覆った装置だけが静かにその冷たい部屋に色を加えた。

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