ルーニィ・ジェムレインと言う、、、

@Y0shi_N0n0

第1話 プロローグ


深緑の森の中でその線の細さを称えた様な銀髪を揺らし行く一人の年老いた女性。


立ち止まっては輝く星空にチラリと目を遣り歩を進める。


「東の鳥が哭いてるわ、ヘイズそこに居るのでしょう?」


少し掠れた高い声は、木々の間に投げ掛けられた。


「マダム・サラ、此処に、、」


その暗がりから漂い出た女性は、黒装束に身を包み彼女の前に跪いた。


「協会への帰依は、今回も見送らせていただくわ」


星を眺めながらそう言って微笑む。


「、、、会長にお伝え致します」


言葉とともに足音もなく黒装束の女性は、暗闇に消えた。


独り立ち尽くす彼女は、思い出したかのように歩みを進めだす。


「一人は楽だけれど、味気ないものね、、、?」


風もなく揺れた茂みに立ち止まり淡い緑の双眸を細め覗き込む。


そこには、闇より黒い髪をした少年がボロボロな布を身体に巻き付ける様にして倒れていた。

首を傾げつつ、彼女は指を振る。


途端に少年は宙に浮いたが、意識が無いのか動かない。


「、、、どうしましょう、、」


何かを考えた後に「そうだわ」とにっこり笑い、ぱちんと指を鳴らす。


次の瞬間には森ではなく、灯りのついたログハウスの前に立っていた。


ドアを開けると、本や皿、カップにグラスとフラスコからビーカーが入り乱れ、走り書きのメモや開いてない手紙がテーブルの上を占領している。


ソファーに置かれた無造作なブランケットを手に取ると、彼女は再度指を振り少年をソファーに寝かせた。


「後の事は、起きたら考えましょ」


ブランケットを羽織ながら暖炉の側にあるロッキングチェアに揺られ、彼女は灯りを眺めた。

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