トレントキングの森①

「うーん。まだこの森に入ったばっかりだからなのかわからないけど、あんまりモンスターでてこないな」


 ここ、ほんとに推奨レベル20なのかな?そう思っていると、グリスラが急に進むのをやめ、近くにある木に威嚇をしていた。


「ん?どうしたの?」


 そう聞くと、威嚇をしていた木に毒液をかけた。


「え?なんで木なんかに…」

『グヲォォォ』

「って、木がしゃべった!?」


 この木、実は木に化けていたモンスターだったのだ。グリスラの毒液がかかったモンスターは、悶えながらもこちらに木の葉っぱで攻撃を仕掛けてきた。


「あぶな!」


 私は驚きながらも余裕で葉っぱをよけた。


「やったなぁ。反撃だ!」


 装備している太刀を鞘から引き抜きグリスラの毒液で溶けている部分にぶっ刺す!


『グガァァァ‼』


 モンスターの脆い部分を攻撃したことによるクリティカル判定で大ダメージをあたえ、モンスターはポリゴンへと姿を変えていった。


『魔石中×1 トレントの原木×3 500Gを獲得しました』


「倒せた!ていうかさっきのやつはトレントっていうのか…ん?何か聞き覚えのあるような…あ!思い出した!私が敵モンスターの攻略サイトを見ているときに書いてあったモンスターだ!確か出現エリアはパレスティオじゃなかったかな?」


 おかしいな。ここは始まりの森だけど…あ、そういえば隠しエリアの『トレントキングの森』に入ったんだった。しかもエリア名にトレントキングってモンスターの名前があるんだから、トレントが出たって不思議じゃないか。


「多分トレントキングがボスだと思うかあら、あらかじめ攻略サイトで行動パターンでも見ておくか」


 私はVRゴーグルを外し、攻略サイトを開き調べた…が、そこにトレントキングというモンスターは載っていなかった。


「え?載ってないの?ということは未発見モンスターってこと!?」


ということは…やった!私が初発見者だ!この情報を使えば、モンスターの情報を知りたがっている考察クランから金を搾り取ることだって…っは!いけない、いけない。悪魔の私が出てきちゃってた。


「まあ、トレントキングっていうモンスターを倒して情報を手に入れないとなんも始まらないんだけどね」


 と、愚痴りながら散策していくと、またもやグリスラが木に威嚇をし始めた。しかも近くにあるもう2つの木にも。


「ということは…グリスラ!毒液!」


 グリスラは木に向かって毒液を放とうとしたが、急に体を震わせた。


「グリスラ!?どうしたの?」


 私が心配していると、震えが収まった。そして同時に、毒液が散弾状に飛び散った。


『グヲォォォ!?』

「え!?いつそんな技を!? 」


 グリスラ…恐ろしい子!と思いながら流れ作業のようにトレントにクリティカル判定で大ダメージを与えていく。


『魔石中×3 トレントの葉っぱ×4 1500Gを獲得しました。個体名グリスラのレベルが上限に達しました。進化先を選んでください』

「も、もう進化!?」


 グリスラ…マジで恐ろしい子!!

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